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Z世代と会話できない「50代上司」3つの理由 部下からコーチングされて目覚めた事例とは?

横山信弘経営コラムニスト
(ChatGPT DALL-E 3 にて筆者作成)

Z世代と円滑なコミュニケーションができないと感じる人がいる。とくに50代のベテラン社員は難しいかもしれない。

しかし、よく考えたらわかる。Z世代だろうが、ミレニアル世代であろうが、いつの時代だって世代を超えたコミュニケーションは悩ましいものだ。

・X世代 → 1965~1980年
・Y世代(ミレニアル世代) → 1981年~1995年
・Z世代 → 1990年代後半〜2010年
・α世代 → 2010年〜2025年

54歳の私は俗にいう「X世代」だ。Z世代の人たちは2世代も超えることになる。50代にもなれば、よりいっそうコミュニケーションが難しくなるのも当然だろう。

とはいえ、

「Z世代の人たちのことが、よくわからん」

と愚痴っていても何も解決しない。いくら少子化とはいえ、今後はZ世代が多数派になっていく。

人生100年時代だ。50代でも、あと20年近くは働かなくてはいけない。Z世代が40代になり、α世代の人とのコミュニケーションで悩んでいるとき、アドバイスできるぐらいのスキルや度量を今から備えておくべきだろう。

■Z世代とコミュニケーションがとれない3つの理由

まず解決策を考える前に、Z世代と円滑なコミュニケーションができない理由を探っていこう。今回は「50代上司」に焦点を合わせて解説する。理由は大きく分けて3つある。

(1)価値観の違い
(2)上下関係の認識の違い
(3)上司側の問題

1つ目は価値観の違いだ。生まれた時からスマホやインターネットが生活の一部となっているデジタルネイティブのZ世代。この世代の人たちとは価値観が異なるのは当然だ。

2つ目はZ世代の「上下関係」に関する認識の違いだ。私の時代は、先生や先輩が言ったことは絶対だった。

「たとえ黒いものでも、先輩が白と言えば白になる」

という上意下達の空気が支配的だった。しかし現在の学校は以前と異なる。先生と生徒との距離が近く、昔と比べてはるかに友好的になった。部活でも先輩と後輩とが仲良くやっている。理不尽なリーダーは少なく、もっと理論的なリーダーが増えていると思う。

3つ目は、残念なことに上司側の問題だ。Z世代の価値観を受け入れず、一方的に自分の意見を押し付けようとする姿勢や価値観にこそ問題があるのかもしれない。

■想定される3つの問題点

次に、Z世代とのコミュニケーションを円滑にできないことにより、どんな問題を引き起こすのか。その問題点について解説していこう。大きく分けると3つある。

(1)部下との関係性悪化
(2)新しい考えを吸収できなくなる
(3)部下の仕事の質の低下

1つ目はもちろん部下との関係が悪化することだ。デジタルネイティブのZ世代は情報感度が高い。多様化する時代に合わせたコミュニケーションができない上司を、リスペクトはできないだろう。

2つ目は新奇性の高い情報や価値観を吸収することができなくなることだ。Z世代社員から新しい考えや、時代のトレンドを与えられることで柔軟性が身につくのに、それができない。

3つ目はとても残念なことだ。部下の仕事の質の低下である。上司とのコミュニケーションがうまくとれないことで、生産性も下がるし、成果も落ちることがある。

■3つの改善事例を紹介する

ではどうしたらこの問題を解決できるのだろうか? 改善策はいろいろあるだろう。積極的に話しかけたり、相手の立場に立って傾聴したり、共感することが大事だ。

そのような改善策は、探せばいくらでも手に入るだろう。

そこで今回はとても参考になる身近な成功事例を紹介しよう。Z世代と円滑にコミュニケーションをとるための、3つの事例である。

(1)部下から学ぶ
(2)読んだ本の発表会
(3)自分たちだけの造語

驚いてはいけない。1つ目の事例は、部下からのコーチングだ。たとえばZ世代の部下にデジタルツールについて、コーチングをしてもらうのだ。

「部下から、コーチング?」

と思うなかれ。もし自分がデジタルツールについてよく分かっていたとしても、

「こういうの苦手なんだ。うまく使いこなせるようになるまで、教えてくれないか」

このように言って部下にコーチングしてもらうのだ。部下は上司に教えることで信頼されていると感じることができる。そうすることで、Z世代社員との対等な関係性を作ることができる。

この「対等な関係性」というのは、とても大事なファクターだ。「上下関係」ではない。

2つ目は、自分が読んだ書籍の発表会を開くという事例である。月に一度、自分が読んだ本を要約し、説明する会を開催する。

私なら『7つの習慣』や『嫌われる勇気』、『影響力の武器』、『GIVE&TAKE』など、名著を選ぶだろう。実際の仕事にも役立つし、Z世代の考えを知り、自分の想いや信条を共有することもできる。

3つ目は、組織メンバーにしかわからない造語を作って、それを日々活用することだ。異なる世代でも同じ言葉を使うことができる。それに自分たちにしか分からないことで心理的な親密感が出る。

たとえば、営業全員で集まって電話する時間を「チートタイム」と表現したり、契約が取れた日を「チートデイ」と呼んだりする。

私の支援先の営業部は、チャレンジ企画のことを、みんなで「ワンチャン企画」と言っていた。このように自分たちだけが理解できる造語であることが大事だ。

■まとめ

「昨今は多様性の時代だ」

という表現が古くなるほど、多様性の時代になってからもう何年も経っている。だからこそ、Z世代の人たちに先入観を持つのは言語道断だ。うまくコミュニケーションをとろうと努力しないのも不誠実すぎる。

Z世代社員と円滑にコミュニケーションをとることで、新しい考えを学ぶことができる。気持ちも若返ることだろう。

年齢の概念が消える「消齢化」の時代が来ている。年齢や世代を理由にせず、積極的にコミュニケーションをとっていこう。

<参考記事>

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経営コラムニスト

企業の現場に入り、目標を「絶対達成」させるコンサルタント。最低でも目標を達成させる「予材管理」の理論を体系的に整理し、仕組みを構築した考案者として知られる。12年間で1000回以上の関連セミナーや講演、書籍やコラムを通じ「予材管理」の普及に力を注いできた。NTTドコモ、ソフトバンク、サントリーなどの大企業から中小企業にいたるまで、200社以上を支援した実績を持つ。最大のメディアは「メルマガ草創花伝」。4万人超の企業経営者、管理者が購読する。「絶対達成マインドのつくり方」「絶対達成バイブル」など「絶対達成」シリーズの著者であり、著書の多くは、中国、韓国、台湾で翻訳版が発売されている。

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