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迫る南海トラフ巨大地震!70%超の発生確率と過去の地震サイクルを防災士が解説

栗栖成之防災士ライター
出典:イラストAC

「南海トラフ地震」との言葉は、もはや知らない人はいないと言ってよいでしょう。元々は東海地震と東南海・南海地震と、分けて呼ばれていました。

ところがこれらの地震が起きた場合、南海トラフ全体が連動して地震が起きる可能性が高いことから、南海トラフ地震と呼ばれるようになりました。

そして、30年以内にこの地震が起きる確率は70~80%といわれており、既に数年が経過しています。

今回は、高確率で地震が起きる根拠と私たちができる対策を、防災士目線で解説します。

改めて南海トラフ地震はなぜ起きるのかを解説

出典:気象庁 南海トラフ地震とは
出典:気象庁 南海トラフ地震とは

ここでは改めて「南海トラフ地震がなぜ起きるのか」を、解説しておきましょう。

上記の図は、日本に存在するプレートの図です。南海トラフとは、大陸のユーラシアプレートと海側のフィリピン海プレートの境界を意味します。

この境界では以下の図のように、フィリピン海プレートが毎年3~5センチメートル(3~7センチともいわれている)大陸側に沈み込んでいます。

その際にユーラシアプレートの端が、一緒に引きずり込まれる現象が起きます。

そして、沈み込みが限界に達した際にプレートが元に戻るため跳ねあがり、このときに地震が発生する仕組みとなっています。

出典:気象庁 南海トラフ地震とは
出典:気象庁 南海トラフ地震とは

30年以内に70~80%の確立で、南海トラフ地震が起きる根拠は地震履歴

地震には周期性があり、南海トラフ地震も例外ではありません。そのため、過去に南海トラフで起きた地震歴を調べれば、地震が起きやすい「活動期」が分かります。

次に南海トラフで起きた、過去の地震歴を確認してみましょう。

  • 684年 白鳳(天武)地震
  • 887年 仁和地震《前回より203年》
  • 1096年 永長東海地震《前回より209年》
  • 1099年 康和南海地震《前回より3年》
  • 1361年 正平(康安)東海地震《前回より262年》
  • 1361年 正平(康安)南海地震《前回より262年》
  • 1498年 明応地震《前回より137年》
  • 1605年 慶長地震《前回より107年》
  • 1707年 宝永地震《前回より102年》
  • 1854年 安政東海地震《前回より147年》
  • 1854年 安政南海地震《前回より147年》
  • 1944年 昭和東南海地震《前回より90年》
  • 1946年 昭和南海地震《前回より2年》

冒頭でお伝えしたとおり南海トラフは、元々は東海地震、東南海・南海地震と区別されていました。

しかし、この地震履歴を見ると1361年と1854年には、2つの地震が同時に起きています。また、1099年の康和南海地震は永長東海地震の3年後に、最も直近である昭和南海地震も、昭和東南海地震の2年後と短い間隔で起きていますよね。

このことから、現在は両方の地震を統一して「南海トラフ地震」とされています。

これらの地震が起きた間隔を単純に平均すると約126年となり、2024年現在では直近の1946年から78年が経過しています。

これまでの最も短い間隔は、1944年の昭和東南海地震が90年で起きていますね。

高確率で南海トラフ地震が起きる根拠はこれだけではありませんが、難しいことを抜きにしても30年以内に70~80%で起きるといわれている理由は、お分かりいただけるでしょう。

南海トラフ地震震源域を地域別に見てみる

出典:地震本部 過去の地震の発生状況 
出典:地震本部 過去の地震の発生状況 

これは、南海トラフ地震の震源域で起きた過去の地震履歴を、地域別に分けて表示したものです。

南海地震と東海地震それぞれの地震発生間隔や、一度の地震でどの範囲まで影響していたかが分かります。

南海トラフ地震が『巨大地震』といわれる訳

出典:内閣府防災情報のページ 南海トラフ地震防災対策
出典:内閣府防災情報のページ 南海トラフ地震防災対策

南海トラフ地震は『南海トラフ巨大地震』とも呼ばれています。『巨大地震』と呼ばれる訳は、地震発生予測範囲が静岡県の駿河湾から九州東方沖までと、超広範囲に渡っているからです。

そのため、地震による直接被害や津波による被害が広範囲に渡るため、救援物資の到着には1週間以上の期間を要するとされています。

巨大地震は明日起きるかも知れない!今からでも対策は可能

出典:PhotoAC
出典:PhotoAC

南海トラフ巨大地震に限らず、あらゆる地震はいつ起きるか予想できません!30年で70~80%といわれていますが、地震は明日起きるかもしれないのです。

また、南海トラフ巨大地震が起きる前に、活断層による内陸性の地震が起きる可能性もあります。

我々が地震に抗うことはできませんが、自分の命を守るための準備はできるはず

家具や家電の転倒防止、「何も落ちてこない・倒れてこない」安全地帯を自宅に作るなどの対策は、今からでも十分可能です。

そして、いつ地震が起きても大丈夫な食料や飲料水の備蓄も、すぐにできる地震対策の1つです。自分の命は自分で守れるよう、今からでも対策をはじめましょう。

防災士ライター

これまで、洪水・土砂災害・地震・津波・高潮など、あらゆるハザードマップを作成。2017年に防災士とひょうご防災リーダーの資格を取得。2014年からWEBライターとして活躍し、現在では経験と資格を活かしてさまざまなメディアに多ジャンルにて記事を投稿中!

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