トランプ前大統領と安倍元首相も魅了した「銀座うかい亭」 近くにできた系列店の肉割烹がすごい!
アメリカのトランプ前大統領も訪れたレストラン
以前、2017年11月5日にアメリカのトランプ前大統領と安倍元首相も訪れた、あるレストランを記事で紹介しました。
・トランプ前大統領と安倍元首相も訪れた! 伊勢海老や毛蟹から和牛まで堪能できる名店はどこ?(東龍)/Yahoo!ニュース
そのレストランとは、鉄板料理の名店である「銀座うかい亭」。2003年12月4日にオープンして以来、VIPや食通が足繁く通い、名店がひしめく銀座の中にあっても、群を抜いた存在となっています。
肉匠としてリニューアル
「銀座うかい亭」のすぐ近くにあるのが、同グループの割烹料理「銀座 kappou ukai」。目の前で山海の恵みをダイナミックに調理する様子を楽しみながら、珠玉の料理を堪能できる割烹でした。
この美食の割烹が、2022年3月1日に肉割烹料理「銀座 kappou ukai 肉匠」としてリニューアルして、早速話題となっています。
「銀座 kappou ukai 肉匠」の料理長を務めるのが、「銀座うかい亭」料理長も務める半野雄大氏。支配人である遠山武実氏をはじめとして、「銀座 kappou ukai」時代からのスタッフもいるので、ゲストのことをよく知り尽くしており、チームワークも抜群です。
「銀座 kappou ukai 肉匠」は、どういったレストランなのでしょうか。
※価格は全て税込・サ別
「銀座 kappou ukai 肉匠」とは
「銀座 kappou ukai 肉匠」はランチとディナーに営業しており、提供されているのは季節ごとに変わるコースのみ。
ランチコースも充実していますが、圧巻はグランドコース(33,000円)。華麗なパフォーマンスによって10種類前後のメニューが紡がれます。
コースの中から代表的なメニューをいくつか紹介しましょう。
フランス産ホワイトアスパラガス・自家製牛生ハム
フランス産ホワイトアスパラガス、大分県のソラマメとグリーンピースを、鶏節のスープで茹でて、旨味を加えました。自家製の牛生ハムをのせて最後にパルミジャーノ・レッジャーノを削り、よりコクのある味わいに。ケッパーとタマネギのコンディメントがよいアクセントです。
鮑・牡丹海老・天然鯛
旬の魚介類を美しく盛り合わせた八寸。カラスミを散らした淡路島の天然のアマダイ、スダチが香るジュレとボタンエビ、肝のソースと合わせてやわらかく煮た三陸のクロアワビと、豪華な食材を揃えています。日本料理らしい技法が施された料理で、シャンパーニュの酸や泡、日本酒のほのかな甘味と相性がよいです。
牛タン
やわらかい牛のタン元を厚切りにして、赤ワインを加えたフォンドボーで8時間じっくりと煮込みました。牛タンは旨味がたっぷりと含まれていて、箸で切れるほどのやわらかさです。胡椒の香りが心地よい抑揚。
黒毛和牛タルタル・キャビア・トリュフ
黒毛和牛のタルタルの上に大粒のオシェトラキャビアをたっぷりとのせ、さらにオーストラリアの黒トリュフを削りました。下にはふっくらと炊き上げたモチっとした餅米。タルタルの肉感とキャビアの塩味に、黒トリュフの妖艶な香りがマッチしています。餅米の力強い弾力も印象的。贅沢な食材を合わせた和洋折衷の一品です。
鮎魚女新若芽
秋田県の天然アイナメをお椀に仕立て上げました。アイナメはミキュイに火入れされ、素材がもつ自然な味わいを尊重。ほんのりと燻香をまとっており、椀を口元に近づけると馥郁たる香りが感じられます。旬菜がたっぷりと加えられ、春の妙味が満載です。
肉匠厳選極上“神戸牛”
三大和牛のひとつである神戸ビーフのサーロインで、肉質等級はA5、B.M.S.(ビーフ・マーブリング・スタンダード)は8(取材時の牛肉)。脂は多いはずですが、肥育期間が通常の約30ヶ月よりも長い38ヶ月なので、食味が落ち着いています。炭火で余計な脂も落とされているので、旨味が凝縮されてより軽やかに。淡路島の新タマネギの炭火焼きが添えられ、箸休めにちょうどいい甘味となっています。
お好みの〆料理
牛丼と手打ち蕎麦から好みのものを選べますが、チョイスしたのは手打ち蕎麦。コシのある蕎麦に大根おろしと蕎麦の実がのせられていました。カフェインレスの黒文字茶も供され、ほっと一息付けます。
甘味
小カウンターに転卓して、最初に冷たいデザート、次に温かいデザートが楽しめます。
冷たいデザートは、ハチミツがかけられたショウガのアイスクリーム。2年に1度花を咲かせるジャラの木から採れる希少なハチミツは「メゾン ド アイビー」のプレミアムバージョン。キリッとした酸味と濃密な甘味のハーモニーが味わえます。
温かいデザートは、どら焼き。190度の銅板で黒糖が加えられた生地が焼かれます。生地の間にはカスタードクリームとシロップ漬けした黒豆。生地のもっちり感、黒糖のコクとカスタードクリームのやさしさ、黒豆の滋味が感じられます。
最後は目の前で点てられる静岡県の抹茶。適度な渋味と鮮烈な香りが、喉に心地よい潤いを与えてくれます。
リブランドの経緯
割烹と鉄板料理が融合した、うかいならではの素晴しい料理でした。
前身の割烹料理店「銀座 kappou ukai」は、どのようにして肉割烹料理へリブランドしたのでしょうか。
振り返ってみると、「銀座 kappou ukai」が新業態としてオープンしたのが2014年4月14日。料理の妙味ときめこまやかなサービスによって、銀座という地でしっかりとしたプレゼンスを確立しました。2022年に料理長が新しくなるタイミングで、銀座を知悉しており、「うかい亭」を歴任して肉を知り尽くした半野氏が監修することになりました。
半野氏は振り返ります。
「鉄板料理ではフィレやサーロインだけを焼くことが多いですが、肉割烹では炭火で色々な部位の肉を焼いています。調理方法の幅が広がりましたね。ただ、新業態だからといって、あえて意識していません。これまでと同じようにおいしい肉料理をご提供し、和と洋が調和した新しい世界をご体験いただけたら嬉しいですね」
和洋の世界観
和と洋が折衷した業態ということですが、料理人はどのような構成になっているのでしょうか。
「キッチンにいる料理人は、和食が6人、洋食が4人です。和食と洋食の料理人が異なるユニフォームを着用しているので、お客様も新鮮に感じてくださっていますね」
ゲストを迎える店内には、最初にフルート型シャンパーニュグラスが置かれているなど、和洋折衷のスタイルが随所で見かけられます。日本酒やワインなど、酒類も和洋折衷です。
空間や設えの変化
以前よりもカウンターや個室、テーブルの席数を減らしたことによって、もともと余裕のあった空間は、さらに優雅で贅沢なスペースとなりました。
これまでは大きなカウンターと小さいカウンターを同じように用いていましたが、現在では大きなカウンターは料理を食べるメインカウンターとし、小さなカウンターは食前のウェイティングバーや食後の転卓エリアとして利用しています。
小さなカウンターでは、食前にクラフトビールやノンアルコールドリンクを、食後には新設された茶釜で点てられた抹茶を味わえるようになっています。
ゲストも新業態に満足
ゲストの反応について、支配人の遠山氏に訊きました。
「割烹から肉割烹に変わり、お客様にも好評です。これまでと同じように魚介類が楽しめる上に、しっかりと肉料理も味わえるとあって、喜んでいただいていますね。2ヶ月で3回も訪れる方もいらっしゃるほどです」
グランドコースはもともとディナータイムでだけ提供されていましたが、ゲストからの要望が多かったので、ランチタイムでも体験できるように変更されました。
「新しく用意したテーブルウェアもお客様に好評です。陶磁器は陶葊(とうあん)などの京焼、磁器は九谷焼、陶器は唐津焼と色々な食器があるので、目でも楽しんでいただいています」
ワインも日本酒も充実
お酒も充実しており、ソムリエが2人、きき酒師がいることも特長的。きき酒師は次のように説明します。
「以前は魚介類が多かったので、料理に寄り添うようなミネラル感のあるお酒が中心でした。今はお肉が主体なので、ワインリストも新しくなり、料理から引き算をしてちょうどよいワインをご提供していますね」
ワインはフランスのシャンパーニュ地方からロワール地方、アメリカのナパ・ヴァレーまで取り揃えられています。「出羽桜酒造 平成三十一年度醸造 万禮 大吟醸酒」や「Ohmine 3粒 火入れ 雄町」といった希少な日本酒もラインナップ。
「ワインは50種類以上で、リストに掲載されていないワインもありますね。シャンパーニュはマグナムボトルも用意しています。日本酒も他ではなかなか仕入れられないようなものを厳選していますので、どうぞご体験ください」
フルペアリング(16,500円)やハーフペアリング(9,900円)に加えて、ティー ペアリング5種(6,600円)もあるので、料理とドリンクのペアリングを賞味するとよいでしょう。
うかい劇場
「kappou ukai」はカウンター越しに躍動する、熟練の料理人による技を眺めながら料理を味わえることから、「うかい劇場」と称されています。
割烹料理は目の前で調理する日本料理ですが、新たに鉄板料理「うかい亭」の肉に対する知見が融合したことによって、刺身、煮炊き、炭火焼きとライブ感がより満載された新しい食のシーンが紡ぎ出されることになりました。
今のところ肉割烹の次なる展開はないといいますが、割烹と肉が見事に諧調したうかいの肉匠からは今後も目が離せません。