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トランプ前大統領と安倍元首相も訪れた! 伊勢海老や毛蟹から和牛まで堪能できる名店はどこ?

東龍グルメジャーナリスト
「銀座うかい亭」の食材のプレゼンテーション (C) 東龍

岸田内閣が発足

2021年9月29日に、自由民主党の総裁選挙で岸田文雄氏が27代総裁に選出されました。10月4日に第100代内閣総理大臣として指名され、岸田内閣が発足。日本の政局は大きく動きました。

実は4年前のこの時期にも、日本を賑やかすようなできごとがありました。それは、アメリカのドナルド・トランプ前大統領が来日したこと。トランプ氏は2017年11月5日にアジア歴訪の国として、最初に日本へ訪れました。大統領就任後で初めての来日ということで、大きなニュースとなったのです。

トランプ前大統領の訪問

銀座うかい亭 (C) 東龍
銀座うかい亭 (C) 東龍

トランプ氏が訪問した11月5日の午前中は、安倍晋三元首相とゴルフを共にしました。そしてその夜に訪れたのが、鉄板料理の名店である「銀座うかい亭」。

「うかい亭」については、以前「六本木うかい亭」の完全オーダーメイド「オートクチュールコース」を紹介したことがあります。

記事の「六本木うかい亭」は2018年3月29日にオープンした新しいレストランですが、「銀座うかい亭」は2003年12月4日にオープンした歴史のあるレストラン。料理長は半野雄大氏、店長は藤澤浩幸氏、フロアマネージャーは山本光一氏が務めます。

「銀座うかい亭」を堪能できるコース

トランプ氏をはじめとする超VIPが訪れる「銀座うかい亭」は、名店がひしめく銀座の中にあっても、群を抜いた存在。そんな「銀座うかい亭」の醍醐味を体験できるコースは3つあります。

厳選したフィレとサーロインを食べ比べできる「銀座うかい亭厳選牛ステーキコース」 19,800円(税込・サ別)、「うかい亭」のシグネチャー料理でもある「鮑の岩塩蒸し」と「うかい亭」のために育てられた「うかい極上牛」を味わえる「鮑とうかい極上牛コース」 25,300円(税込、サ別)。

そして、とっておきの料理ばかりを堪能できる「スペシャルコース」 29,700円(税込、サ別)です。今回は中でも特別な「スペシャルコース」を紹介しましょう。

毛ガニのフラン

毛ガニのフラン (C) 東龍
毛ガニのフラン (C) 東龍

最初の一品は、秋になって涼しくなってきたということで、北海道根室の毛ガニのフランでした。カツオの出汁と白醤油で和風の味付けとなっており、身体も心もホッと温まります。柑橘の香りが軽やかなアクセント。

マグロのタルタル

マグロのタルタル (C) 東龍
マグロのタルタル (C) 東龍

脂を蓄えはじめたマグロのタルタルとオシェトラキャビア。マグロの脂にキャビアの塩味がちょうど合い、シャンパーニュも進みます。マグロとアマランサスの赤が非常に印象的。

フォアグラのソテー

「フォアグラのソテー」の仕上げ (C) 東龍
「フォアグラのソテー」の仕上げ (C) 東龍

「フォアグラのソテー」と、それに合わせられたソーテルヌ (C) 東龍
「フォアグラのソテー」と、それに合わせられたソーテルヌ (C) 東龍

表面をカリッと焼き上げた、なめらかなフォアグラです。オーストラリアで採取された「メゾン ド アイビー」のジャラハニーをかけて、よりクリーミーに。2年に1度だけ咲く花から採れたハチミツなので非常に濃厚。口溶けのよいフォアグラと抜群の相性です。

ボロネーゼパスタ

「ボロネーゼパスタ」にオータムトリュフをスライス (C) 東龍
「ボロネーゼパスタ」にオータムトリュフをスライス (C) 東龍

ボロネーゼパスタ (C) 東龍
ボロネーゼパスタ (C) 東龍

淡路島の太めのフジッリを使ったボロネーゼ。パルメザンチーズを散らし、オータムトリュフをふんだんに削っているので、非常に香り高いです。しっかりとした赤ワインがぴったり。

真鯛と五種のキノコのスープ仕立て

5種のキノコつくられたスープ (C) 東龍
5種のキノコつくられたスープ (C) 東龍

真鯛と五種のキノコのスープ仕立て (C) 東龍
真鯛と五種のキノコのスープ仕立て (C) 東龍

鹿児島県阿久根市のマダイを昆布で巻いて蒸し焼きに。2キロものマダイのアラからとれた出汁をベースにし、京都府の丹波シメジ、福島県のナメコ、群馬県のハナビラタケ、長野県の黒アワビタケ、山形県のタモギタケと、天然のキノコでつくったスープをかけました。料理長の半野氏いわく「潮汁をイメージした」という、山海の旨味と滋味に溢れたスープです。

焼き伊勢海老とカラスミ

イセエビにハーブをのせて焼いている (C) 東龍
イセエビにハーブをのせて焼いている (C) 東龍

焼き伊勢海老とカラスミ (C) 東龍
焼き伊勢海老とカラスミ (C) 東龍

千葉県産のイセエビが使われています。イタリアンパセリやディル、タイムをのせてから焼いてあるので、磯の香りが穏やかになり、爽やかな風合いに。アサリ、バター、西京味噌のソースは和洋のニュアンスを携えており、削られたカラスミによって味わいが深まっています。

牛タンとシイタケ

大分県「ステーキしいたけ」 (C) 東龍
大分県「ステーキしいたけ」 (C) 東龍

牛タンとシイタケ (C) 東龍
牛タンとシイタケ (C) 東龍

分厚い牛タンと、それにも負けない大分県「ステーキしいたけ」のプレート。どちらとも食べ応え満点の食感を有しています。コンディメントは、イギリスのマルドン塩からつくられた自家製燻製塩と、フレッシュなワサビ。どちらを付けても、食材の風味を引き立ててくれます。

うかい極上牛ステーキ

「うかい極上牛ステーキ」を絶妙な火入れで (C) 東龍
「うかい極上牛ステーキ」を絶妙な火入れで (C) 東龍

うかい極上牛ステーキ (C) 東龍
うかい極上牛ステーキ (C) 東龍

メインは「うかい極上牛」のサーロインステーキです。「うかい極上牛」は鳥取県と兵庫県の県境にある田村牧場で「うかい亭」のために育てられた黒毛和牛。通常より長い期間しっかりと肥育され、繊細で旨味のある肉質となっているのが特長です。

このサーロインはB.M.S.(ビーフ・マーブリング・スタンダード)が8だったので、しっかりとした旨味が堪能できました。噛みしめる度に、和牛香が広がります。

付け合せのサラダはクレソン、サラダ菜などの野菜を、ワサビ、白醤油、オリーブオイルのドレッシングで和えて。サーロインは重厚なので、フレッシュなサラダがよい付け合わせです。

食事

「うかい極上牛」のミスジをすき焼きに (C) 東龍
「うかい極上牛」のミスジをすき焼きに (C) 東龍

食事 (C) 東龍
食事 (C) 東龍

「うかい極上牛」のミスジをすき焼きにし、神奈川県伊勢原市の寿雀卵も添えてすき焼き風に。4~5年前から提供され始めた名物のひとつです。鉄板料理で最後の料理となる食事まで黒毛和牛が味わえるのは「銀座うかい亭」ならではの贅沢。

デザート

デザート (C) 東龍
デザート (C) 東龍

料理の後は、席を移動してのんびりと過ごせます。いくつかのデザートの中から好きなものを選べるので、甘いもの好きには嬉しいでしょう。

鉄板料理店にしては珍しくパティシエがいるので、デザートはどれも本格的。当日はプリン、ジャラハニーのアイスクリーム、和栗のモンブラン、ピオーネのナージュが用意されており、バラエティに富んでいました。

「銀座うかい亭」の特筆するべき点とは

「スペシャルコース」で用いられている食材は「うかい極上牛」のサーロインとミスジ、キャビア、イセエビ、カラスミ、トリュフと非常に豪華。

この珠玉の食材が一流の焼き手によって素晴らしい料理へと紡ぎ上げられていたので、大満足な内容となっていました。

これだけでも非常に素晴らしいですが、「銀座うかい亭」にはまだまだ特筆するべきことがあるので、ひとつずつ挙げていきましょう。

日本伝統の建築様式を活かした幻想的で贅沢な空間

エントランスからのアプローチ (C) 東龍
エントランスからのアプローチ (C) 東龍

第一に挙げたいのは、その非日常的な空間。エントランスではフォークとスプーンを模した食の案内人が迎え入れてくれ、中には美術館かと見間違うほどのアートやテーブルウェアが展示されています。

新潟県十日町の豪農の屋敷を解体し、その一部を「銀座うかい亭」に移築。土間の部分はエントランスに移され、梁は店内の至るところに再現。太い梁や高い天井によって、まるで2階建て家屋のような雰囲気をまとっています。

140年の歴史をもつといわれるドイツ製オルゴール (C) 東龍
140年の歴史をもつといわれるドイツ製オルゴール (C) 東龍

140年の歴史をもつといわれるドイツ製オルゴール、ドームのスタンド照明、 ルネ・ラリックのガラス器、クリストフルのアンティーク銀器、マイセンの絵皿、バカラの燭台、エミール・ガレの ガラス工芸品など、注目するべき美術品の枚挙には暇がありません。

店内に一歩足を踏み入れると、華やかな異世界に迷い込んだかのような高揚感に満たされます。ここまで心をドキドキさせる鉄板料理店など、他にはないでしょう。

広い鉄板カウンター

鉄板カウンター (C) 東龍
鉄板カウンター (C) 東龍

次に挙げたいのは空間の豊かさと臨場感。

「銀座うかい亭」は敷地面積約760平方メートル、全94席を有するという、非常に大きな鉄板料理店です。

扇形をしたカウンター24席は圧倒される迫力があり、部屋ごとに趣が異なる半個室が9部屋あるのも魅力。鉄板カウンターは深海を、転卓してからのデザートコーナーは自然豊かな森の中をイメージしています。

ドナルド・トランプ前大統領も利用した最も奥の半個室 (C) 東龍
ドナルド・トランプ前大統領も利用した最も奥の半個室 (C) 東龍

ちなみに、先に紹介したトランプ氏の会食では、最も奥の半個室が使われました。この部屋には藤がフレスコ技法で描かれ、白い花が飾られ、落ち着いた上質な雰囲気となっています。

統括マエストロ

クレソンのサラダをつくる「銀座うかい亭」料理長で統括マエストロの半野雄大氏 (C) 東龍
クレソンのサラダをつくる「銀座うかい亭」料理長で統括マエストロの半野雄大氏 (C) 東龍

「うかい亭」の鉄板料理人の中には、マエストロと呼ばれる人もいます。マエストロとは、「うかい亭」における鉄板料理のスペシャリストの称号。うかい料理の追求とおもてなしの心を実施している料理人から、その技術と心を伝えていく強い志を持った料理人に対して与えられます。このような称号が設けられている鉄板料理店を、私は他に知りません。そもそも「うかい亭」のように、たくさんの有能な鉄板料理人を擁している店舗は少ないです。

現在「うかい亭」でマエストロを務めるのは、何十名もいる鉄板料理人のうちのひと握りだけ。半野氏は料理長に加えて、統括マエストロも兼務しています。日々「銀座うかい亭」のスタッフに鉄板料理の調理技術の向上とおもてなしの心の伝承に努めると共に、「うかい亭」におけるマエストロの育成にも励んでいるのです。

これだけ日夜研鑽を積んでいる鉄板料理人がいる店舗は、他にはなかなかないでしょう。

心躍るプレゼンテーション

食材のプレゼンテーション (C) 東龍
食材のプレゼンテーション (C) 東龍

「うかい亭」では料理が開始される前に食材をゲストに見せますが、そのプレゼンテーションが圧巻です。「うかい極上牛」からイセエビやアワビ、カニや魚、さらにはキノコといった野菜など、山海の食材が大きなプラッターにのせられて紹介されます。

それぞれの食材について、名称や産地が説明され、どのように調理されるかが説明。これからどのようにして、目の前で調理され、至極の料理に仕上げられるのかと大きな期待がもたれます。

鉄板料理は、せっかく目の前で調理されるだけに、もとの食材についても知りたいところです。食材がしっかりとプレゼンテーションされるのも「銀座うかい亭」の素晴らしい点であるといえるでしょう。

豊富なワイン

大きなワインセラー (C) 東龍
大きなワインセラー (C) 東龍

シャンパーニュ「ルイ・ロデレール コレクション 242」 (C) 東龍
シャンパーニュ「ルイ・ロデレール コレクション 242」 (C) 東龍

メインディッシュの黒毛和牛は赤ワインと非常に相性がよいです。コースを通しても洋食のエッセンスがふんだんに盛り込まれているので、全体的にワインとの相性が抜群。

「銀座うかい亭」ではフランスワインを中心に世界各国のワインがたくさん取り揃えられており、ワインセラーに400本、それとは別に2000本があります。

2021年10月1日にリリースされたばかりのシャンパーニュ「ルイ・ロデレール コレクション 242」から、フランス・ブルゴーニュ地方・ムルソー地区の白ワインや、フランス・ボルドー地方・サン・ジュリアン地区の赤ワイン、甘口の貴腐ワインなど王道が多い印象。

ペアリングをオーダーすれば、ワインから日本酒までその料理にぴったりなものを合わせてくれるので是非ともお願いしてみましょう。

最初にオープンした東京都心の店舗

うかいにとって「銀座うかい亭」は特別な意味をもっています。なぜならば、1964年12月八王子市高尾に、いろり炭火焼料理「うかい烏山」を開業してから、東京都心に出店することを目指し、最初にオープンした店舗だからです。

店長の藤澤氏は「銀座は食の中心地であり、日本でも特別な場所。節目や会食の場として選ばれることも多い」といい、マネージャーの山本氏は「うかいのレストランは、それぞれの店舗で雰囲気が違い、異なるよさがある。銀座店は非常に華やかで活気に溢れている」と説明。

料理長の半野氏は「ゲストのご要望に応えるため、調理スタッフもサービススタッフもみんな誇りをもち、日夜切磋琢磨している」と力を込めます。

世界に発信する

黒毛和牛や鉄板料理は、世界中の美食家から求められている食材や料理であり、多くの訪日外国人が体験したいと思うもの。コロナ禍前には「銀座うかい亭」に訪れるためだけに、飛行機に乗って渡日する外国の方がたくさんいました。

藤澤氏は「残念ながら海外からのお客様はまだ戻っていないが、引き続き銀座から『うかい亭』の鉄板料理を発信していきたい」と述べます。

日本が世界に誇る黒毛和牛と鉄板料理の魅力を世界に伝える「銀座うかい亭」には、新型コロナウイルス感染の収束が見え始めた今、ますます期待したいです。

グルメジャーナリスト

1976年台湾生まれ。テレビ東京「TVチャンピオン」で2002年と2007年に優勝。ファインダイニングやホテルグルメを中心に、料理とスイーツ、お酒をこよなく愛する。炎上事件から美食やトレンド、食のあり方から飲食店の課題まで、独自の切り口で分かりやすい記事を執筆。審査員や講演、プロデュースやコンサルタントも多数。

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