安倍総理が麻生副総理のまっとうな主張を退けた背景に何があるか
フーテン老人世直し録(227)
水無月某日
通常国会の最終盤で安倍総理と麻生副総理の考えが分かれダブル選挙は見送られた。麻生副総理は安部総理との二度目の会談で解散見送りを了承したが、翌日の記者会見で「(解散の)専権事項は副総理にはありませんから」と憮然としていた。
メディアの中には解散の見送りより消費増税延期に重点を置き、消費増税を求める財務省の手前、麻生氏が安倍総理に異を唱えたという解説もあったが、見当違いも甚だしい。
麻生氏の主張は、「14年の衆議院選挙で自公は消費増税を再延期しないと公約し、それで現在の衆議院議員が当選してきた。その衆議院議員によって安倍総理は選出され、安倍政権が組閣された。公約を破って再延期するのでは安倍政権の正統性がなくなる」というものだ。
安倍総理が消費増税を再延期し、なお正統性を維持するには、衆議院を解散し当選してきた衆議院議員によって選び直されなければならない。それをやらずに参議院選挙だけで正統性を維持することはできない。極めてまっとうな論理である。
メディアはこのまっとうな論理に注目し、その論理を退けた安倍総理の判断の背後に何があるかを追求しなければならないが、そうした報道を目にすることがない。解散見送りの理由を熊本地震とする政権の主張をそのまま受け入れているだけだ。
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