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安倍総理が麻生副総理のまっとうな主張を退けた背景に何があるか

田中良紹ジャーナリスト

フーテン老人世直し録(227)

水無月某日

通常国会の最終盤で安倍総理と麻生副総理の考えが分かれダブル選挙は見送られた。麻生副総理は安部総理との二度目の会談で解散見送りを了承したが、翌日の記者会見で「(解散の)専権事項は副総理にはありませんから」と憮然としていた。

メディアの中には解散の見送りより消費増税延期に重点を置き、消費増税を求める財務省の手前、麻生氏が安倍総理に異を唱えたという解説もあったが、見当違いも甚だしい。

麻生氏の主張は、「14年の衆議院選挙で自公は消費増税を再延期しないと公約し、それで現在の衆議院議員が当選してきた。その衆議院議員によって安倍総理は選出され、安倍政権が組閣された。公約を破って再延期するのでは安倍政権の正統性がなくなる」というものだ。

安倍総理が消費増税を再延期し、なお正統性を維持するには、衆議院を解散し当選してきた衆議院議員によって選び直されなければならない。それをやらずに参議院選挙だけで正統性を維持することはできない。極めてまっとうな論理である。

メディアはこのまっとうな論理に注目し、その論理を退けた安倍総理の判断の背後に何があるかを追求しなければならないが、そうした報道を目にすることがない。解散見送りの理由を熊本地震とする政権の主張をそのまま受け入れているだけだ。

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ジャーナリスト

1969年TBS入社。ドキュメンタリー・ディレクターや放送記者としてロッキード事件、田中角栄、日米摩擦などを取材。90年 米国の政治専門テレビC-SPANの配給権を取得。日本に米議会情報を紹介しながら国会の映像公開を提案。98年CS放送で「国会TV」を開局。07年退職し現在はブログ執筆と政治塾を主宰■オンライン「田中塾」の次回日時:11月24日(日)午後3時から4時半まで。パソコンかスマホでご覧いただけます。世界と日本の政治の動きを講義し、皆様からの質問を受け付けます。参加ご希望の方は https://bit.ly/2WUhRgg までお申し込みください。

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