完成販売なのに「入居は4月以降」のマンション続出 背景にある不動産会社の都合とは
平成中期まで、建物が完成してもなお販売を続けるマンションは、「売れ残り」とされた。分譲マンションは建物が完成するまでに売り切るもの。売れ残った住戸があれば、不人気だった証拠となるので、建物が完成しても販売を継続するマンションはみっともない、ともされた。
だから、売れ残った住戸は、大幅な値引きが行われ、早々に売り切ろうとしたものだ。
しかし、今は建物が完成しても販売を続けるのは恥ずかしいことではないと考えられるようになった。結果、建物が完成した後、10年がかりで売り切るマンションが出現したり、建物が完成してから、ようやく販売を開始するマンションが出るようになった。
マンションの「完成販売」は、今や珍しいものではなくなっている。
そうなると、購入者の間にも、「完成販売」を好む人が出てくる。
モデルルームではなく、実際の住戸を見ることができるので、眺望や日当たり、音の有無などの確認がしやすい。そして、購入から入居までの期間が短いのも「完成販売」マンションの利点となる。
「中古マンションを買ってもいいかな」と思っている人の場合、完成済みマンションは入居までの期間が短いので、中古との比較検討がしやすいという利点もあるわけだ。
建物の着工と同時に販売を開始する従来型の販売では、契約から入居まで1年以上かかるのが普通。地上20階建て以上の超高層マンションであれば工事期間も長くなり、入居は2年先、3年先となるケースもある。
これに対し、「完成販売の場合」では契約後1ヶ月程度で入居することも可能。いろいろな事情で早く入居したい、という人にとって、完成販売のマンションには、大きなメリットがあるわけだ。
ところが、その完成販売のマンションで、入居までの期間が長くなる状況が生まれている。建物が完成し、すでに生活している人がいるマンションであっても、「入居は3ヶ月先の4月まで待って」といわれたりするのだ。
その理由とは、そして「入居は4月まで待って」という完成販売物件が増えていることから見えてくる、これからのマンション市況について解説したい。
本当なら3月までの入居は十分可能なのだが……
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