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遠藤航のリバプール移籍と見直されるべき森保監督の立ち位置、日本代表の強化策

杉山茂樹スポーツライター
(写真:REX/アフロ)

 遠藤航がリバプールに移籍。ボーンマス戦の後半、さっそく交代出場を果たした。前所属のシュツットガルトは昨季のブンデスリーガで18チーム中16位。プレーオフでハンブルガーを下し、辛うじて1部残留を決めたチームだ。遠藤はそこで中心的な存在として活躍していたとはいえ、リバプールへの移籍はまさにジャンプアップ。2階級どころか3階級の特進に相当する。

 1999-2000シーズンにペルージャからローマに移籍した中田英寿。2019-20シーズンにザルツブルクからリバプールに移籍した南野拓実。想起するのはこの2例になる。だが、それぞれの移籍はけっして成功とは言えなかった。

 南野はご承知のようにリバプールで出番が少なく、2年半後モナコに移籍するも右肩下がりの状態は続く。2022年カタールW杯以降は日本代表からも外れている。

 中田もポジションが重なる2トップ下にフランチェスコ・トッティというイタリアを代表する大物選手がいたため、ローマでスタメンとしてプレーする機会が少なかった。高額となった移籍金がネックとなり、引退を早める一因にもなった。

 3階級特進に相当する今回の遠藤の移籍は、嬉しいニュースではあるものの移籍にはリスクがつきまとう 。遠藤の出場機会がこれからどれほどになるか。静かに推移を見守りたい。

 リバプールが当初、獲得を狙っていたのはブライトンの守備的MF、モイセス・カイセドだった。チェルシーに契約の詰めの段階で横から攫われたことが、遠藤に白羽の矢を立てることになった理由とみられる。

 カイセドと遠藤。この両者を客観的に比べたとき勝るのはカイセドだ。昨季のプレミアでブライトンを6位に導いた最大の功労者は誰だと問われれば、いの一番にカイセドの名を挙げたくなる。

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スポーツライター

スポーツライター、スタジアム評論家。静岡県出身。大学卒業後、取材活動をスタート。得意分野はサッカーで、FIFAW杯取材は、プレスパス所有者として2022年カタール大会で11回連続となる。五輪も夏冬併せ9度取材。モットーは「サッカーらしさ」の追求。著書に「ドーハ以後」(文藝春秋)、「4−2−3−1」「バルサ対マンU」(光文社)、「3−4−3」(集英社)、日本サッカー偏差値52(じっぴコンパクト新書)、「『負け』に向き合う勇気」(星海社新書)、「監督図鑑」(廣済堂出版)など。最新刊は、SOCCER GAME EVIDENCE 「36.4%のゴールはサイドから生まれる」(実業之日本社)

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