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川崎Fの凋落はJリーグの凋落そのものである。日本サッカーが抱える構造的問題とは

杉山茂樹スポーツライター
(写真:森田直樹/アフロスポーツ)

 Jリーグ関連のニュースと言えば、浦和レッズのサポーター問題、ジャッジの問題が目に止まる。それはそれで追及されるべき大事な話だが、一方でサッカーそのものの話題が報じられない現実には、大いなる不満を覚える。

 2017年シーズンに初優勝を遂げて以来7シーズンで優勝4回、2位2回、4位1回と、Jリーグで断トツの成績を収めてきた川崎フロンターレが今季これまで9位に沈む現状を嘆いたり、案じたりする声は聞こえてこないのだ。一時代に終焉が告げられようとしている現状を目の前にしながら、ニュース性を見いだせずにいる特殊な風土を、そこに垣間見ることができる。

 川崎の前節の相手はJリーグでいま最も調子を落としている、過去8試合勝ちなしのコンサドーレ札幌だった。しかし川崎はその札幌に2点の先行を許す。相手に退場者が出たことで何とか同点に追いついき、引き分けに持ち込んだが、格好のいい戦いぶりではなかった。

 川崎はこの引き分けで5戦勝ちなし(2分3敗)に。25戦して9勝6分10敗と、借金生活から抜け出すことができなかった。強かった頃の面影はない。これは事件である。しかし活を入れるメディア、尻を叩くメディアはない。この現状にサポーターは大きな不満を持っているはずだ。この流れが続くなら、サポーターの怒りが早晩ピークに達するものと思われる。

 Jリーグのクラブでは試合後、スタンドに居残り、クラブの首脳部が謝罪に来るまで帰らないとか、選手やスタッフが乗ったバスを取り囲むとか、成績不振に陥ったクラブのサポーターが抗議行動に出る姿をよく見かける。だがそれはJリーグ特有のものと言える。

 欧州ではメディアが批判記事を書くなど、ファンの代弁者としてしっかり怒ろうとする。ガス抜きの役を積極的に果たそうとする。

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スポーツライター

スポーツライター、スタジアム評論家。静岡県出身。大学卒業後、取材活動をスタート。得意分野はサッカーで、FIFAW杯取材は、プレスパス所有者として2022年カタール大会で11回連続となる。五輪も夏冬併せ9度取材。モットーは「サッカーらしさ」の追求。著書に「ドーハ以後」(文藝春秋)、「4−2−3−1」「バルサ対マンU」(光文社)、「3−4−3」(集英社)、日本サッカー偏差値52(じっぴコンパクト新書)、「『負け』に向き合う勇気」(星海社新書)、「監督図鑑」(廣済堂出版)など。最新刊は、SOCCER GAME EVIDENCE 「36.4%のゴールはサイドから生まれる」(実業之日本社)

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