ヒトラーを真似て支持率に執着する安倍政権の衆愚操作
フーテン老人世直し録(289)
弥生某日
「またか」と思わせる安倍政権の衆愚操作である。政権を直撃している森友学園問題から国民の目をそらすように、安倍総理は唐突に南スーダンから陸上自衛隊を撤退させる方針を発表した。
「またか」というのは、昨年暮れにもオバマ政権の逆鱗に触れて政権の支持率に影響が出かねないと思われた時、安倍総理は唐突に真珠湾訪問を発表して「反戦平和」を金科玉条とする国内の大衆心理に迎合しようとした(2016年12月5日ブログ「オバマ政権の怒りに触れ真珠湾訪問のカードを切った安倍総理」)。
しかし安倍政権の目的は都合の悪いことから国民の目をそらし、支持率の維持だけを考えているため、政策的に一貫した考えがあるわけではない。その場しのぎのポーズに過ぎないことが見え見えなのだ。
ただ「反戦平和」を念仏のように唱えれば世界は平和になると考える大衆には、時折その気持ちに寄り添うポーズをして見せることが有効な操作方法になることを安倍政権は知っている。
それはかつてヒトラーが用いた政治手法そのものである。ヒトラーは政権を獲得すると「平和演説」を行って諸外国に好感を与えると同時に、第一次大戦で敗れたドイツ国民の「反戦平和」感情を取り込むことに成功した。
そしてヒトラーは中央銀行総裁のシャハトと組んで経済再建に乗り出し、平和の祭典オリンピックに力を入れ、第一次大戦後のドイツ民主化によって力を得た勢力と敵対しながら財界、官僚、軍部など伝統的エリート層と友好関係を結んだ。
そのヒトラーが最も力を入れたのは国民の支持率である。そのため「失業」の撲滅、アウトバーン建設など公共事業の拡充、そして「強いドイツを目指す」ことを宣伝し、「民衆宰相」、「平和愛好家」のイメージを植え付け、人気の度合いを測るため国民投票を4度も行った。
かつて麻生副総理は「ナチスの手口を真似たらどうか」と発言したことがあるが、フーテンに言わせれば安倍政権は十分に真似している。黒田日銀総裁と組んでアベノミクスの幻想を振りまき、東京オリンピックは自分が主役とばかり力を入れ、戦後民主化政策の影響を受けたメディアを潰し、財界、官僚、軍部などの伝統的エリート層と友好関係を結んでいる。
そしてヒトラー同様に支持率には異常なほど気を遣う。それが昨年末の真珠湾訪問や今回の南スーダンからの自衛隊撤退のように「反戦平和」感情に寄り添うポーズとなるのだが、しかし安倍総理は天才ヒトラーにはなれない。そう思わせるのが昨今の情勢である。
ヒトラーはシャハトと組んで経済再建に成功したがアベノミクスは「まだ道半ば」と言うしかない。東京オリンピックの主役の座も小池百合子東京都知事という「壁」が現れた。そして森友学園の問題から目をそらせようと発表された南スーダンからの自衛隊撤退は、あまりにもタイミングが露骨すぎて逆に問題の深刻さを浮き彫りにしている。
フーテンは森友問題が国会で取り上げられた直後に、問題の小学校には認可が下りず、籠池理事長を「トカゲのしっぽ切り」をすることで問題を終息させるだろうと思った。それ以外に安倍政権が存続できる方法はないと思われたからである。
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