「大阪のおっちゃん」と日本の最高権力者が黒白をつける異例の証人喚問
フーテン老人世直し録(291)
弥生某日
永田町には「さすっているようで叩いている」という言葉がある。困っている相手を優しくさすっているように見せて実はそれが相手に打撃を与えていることをいう。
竹下攻撃で有名になった「ほめ殺し」は嫌がらせであることが誰にでも分かるが、「さすっているようで叩いている」は誰も叩いていることに気づかない。周囲には優しく「さすっている」としか見えない。最近の森友問題でフーテンは久々に「さすっているようで叩いている」政治家の言動を感じている。
例えば共産党に資料を渡し、その後自ら記者会見を行った自民党の鴻池参議院議員は「籠池夫妻は悪人、安倍夫妻は被害者」と主張し、あくまでも安倍総理を擁護してみせたが、しかしこの会見で森友問題の注目度は大いに上がった。
しかも籠池夫妻に悪のイメージを塗り付けたことで、籠池氏を「しっぽ切り」するつもりの安倍総理は籠池夫妻に一層厳しく対応することになる。それが籠池氏を追い詰め、裏切られた思いを抱かせ、「窮鼠猫を噛む」ことになったのである。
その鴻池氏は18日に甲府市で開かれた輿石東元参議院議員の叙勲を祝うパーティに駆け付け、「東京の小池、大阪の籠池、甲府の鴻池」と挨拶して笑いを誘ったという。東京の小池、大阪の籠池は、現在、安倍総理を最も脅かす存在だ。
笑いを誘いながら籠池理事長を小池百合子東京都知事と同列に置いて見せるところに「さすっているようで叩いているのか、叩いているようでさすっているのか」なんとも絶妙の味わいがある。
一方の安倍総理には「さすっているようで叩いている」真似は決してできない。この人は叩くとなれば徹底して叩き、力で相手をねじ伏せようとする。一方で自分より強い相手にはすり寄ることしか知らない。
相手の言い分をよく聞いて調和点を見つける。強い相手の言うままにならないために知恵を絞る。フーテンは長年そうした政治を見続けてきた。そのため安倍総理を未熟な政治家としてしか見ることが出来ないでいる。
森友問題をここまで大きくしたのは安倍総理自身である。国会で必要以上に気色ばみ自分と夫人の関与を否定し、官僚に無理筋の答弁を続けさせ、それが国民を納得させるより疑惑を膨らませる方向に向かった。
その挙句に籠池理事長を追い詰め、裏切られた思いの籠池氏は家族ぐるみで反撃するしかなくなる。籠池氏は安倍総理から100万円の寄付金を受領したと暴露した。
これは何も安倍総理に打撃を与えようとしたわけではなく、自分たちが安倍夫妻の後押しを受けてきたことを訴えようとしただけだと思うが、安倍総理はそれを全面否定し、籠池氏を偽証罪に問うため与党は証人喚問を行うことを決めた。
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