開業5ヶ月で一つ星になった天才シェフのレストランは何がすごい? 全メニューを写真付きで紹介
「ミシュランガイド東京2022」が発売
2021年12月3日に「ミシュランガイド東京2022」が発売されました。
総掲載店数は432軒のうち新規掲載店が55軒と1割強も新しい店。このうち一つ星は20軒でビブグルマンは35軒でした。新規一つ星20軒のうちフランス料理は4軒もあり、美食の雄であることを示しています。
4軒とも素晴らしいフランス料理店ですが、特に注目したいのが、2021年7月1日にオープンしたばかりのフォーシーズンズホテル丸の内 東京「セザン(SEZANNE)」です。
・本日オープンしたレストランが世界中から注目されているワケ(東龍)
才能あふれるダニエル・カルバート氏が総料理長
なぜならば、総料理長(エグゼクティブシェフ)を務めるイギリス出身のダニエル・カルバート氏は世界から一目置かれている料理人だからです。1987年生まれと、ラグジュアリーホテルの総料理長にしてはとても若く、実力と実績は文句がありません。
16歳で料理の道に進み、ロンドンの人気店「The Ivy」などの有名店で約5年間研鑽を積みます。ニューヨークの「Per Se」、フランス・パリのパラスホテル「ル ブリストル パリ」のレストラン「Epicure」といった三つ星レストランで修業し、2016年に香港のフレンチビストロ「Belon」のヘッドシェフに就任。ミシュランガイドで2019年から2年連続で一つ星として掲載され、2020年には「アジアのベストレストラン50」で4位にランクインする快挙を成し遂げました。
レストランマネージャーのシモーネ・マクリ氏、ソムリエの大塚信秀氏と共にチームを築き上げ、オープンしてから5ヶ月という短期間でミシュランガイドに登場することになったのは偉業といえるでしょう。
ランチコース
この「セザン」で紹介したいのが水曜日から土曜日のランチタイムに提供されているコース「MENU DU JOUR」(15,180円、税・サ込)。
MENU DU JOUR
・ラディブール
・48ヵ月熟成コンテチーズのグジェール
・北海道産ボタン海老 セロリ
・北海道産毛ガニ 雲丹のナージュ
・北海道産とうもろこしのサワードウ ブルターニュバター
・ツァーインペリアル オシェトラキャビア アボカドと酢橘
・厚岸牡蠣 コシヒカリ米 オゼイユ
・フォアグラ 鴨のコンフィ マディラ
・タリアテッレ フランス ペリゴール産 黒トリュフ
・白糠鹿肉 安納芋 ポアブルソース
・喜界島産シークー アールグレイティー
・福岡県産苺 ブラッターチーズ
・ミニャルディーズ
ランチコースにしては皿数が多く、様々な食材が使われており、非常に充実しています。カルバート氏が紡ぎ出す料理を紹介していきましょう。
ラディブール
フレッシュなラディッシュとバターを用いたクラシックなアミューズを、モダンな球形状に。氷の上にのせられており、瑞々しさも演出しています。辛口のシャンパーニュとの相性は抜群です。
48ヵ月熟成コンテチーズのグジェール
非常に香ばしいコンテチーズを用いたグジェール。温かいので口の中に風味が広がります。上にのせられたチーズのディスクが味わいを深め、可愛らしいです。
北海道産ボタン海老 セロリ
サクサクの生地で、甘いボタン海老とセロリのクリームをサンド。食味と食感にメリハリがあります。
北海道産毛ガニ 雲丹のナージュ
ウニの旨味をたっぷりと讃えたスープ。たっぷりの毛ガニが使われており、滋味に溢れた一品に。
北海道産とうもろこしのサワードウ ブルターニュバター
「セザン」のシグネチャーのひとつとなっている自家製サワードウ。甘味が特徴の北海道産トウモロコシを1週間ゆっくりと乾燥させてからポレンタにし、カルバート氏が数年前から保管している自家製酵母と合わせて自然発酵させています。
クラストはパリっとしていますが、クラムは非常にもっちり。料理にもぴったりで、ほんのりと広がる酸味が癖になるでしょう。
ツァーインペリアル オシェトラキャビア アボカドと酢橘
キャビア、アボカドピューレ、スダチのジュレ、スライスしたアボカドが層になっており、シェルスプーンですくっていただきます。クリーミーながらも爽やか、塩味もあって心地よい味わい。
厚岸牡蠣 コシヒカリ米 オゼイユ
北海道厚岸のカキを主役にし、上にはババロア、下にはレタスとコシヒカリのリゾット。カキの潮の香りが引き立ちます。オゼイユの酸味、フィンガーライムのプチプチ感がアクセントに。
フォアグラ 鴨のコンフィ マディラ
フォアグラとカモのコンフィ、野菜を合わせたタルト。カラメリゼしたクルミに、プルーンのジュレが添えられており、フォアグラとの相性もぴったりです。
タリアテッレ フランス ペリゴール産 黒トリュフ
香港の「Belon」時代からパスタに定評のあったカルバート氏らしい一品。目の前で黒トリュフがたっぷりとスライスされます。自家製タリアテッレの歯ごたえが素晴らしく、ソースにもよくからんで濃厚。
白糠鹿肉 安納芋 ポアブルソース
白糠のエゾシカは美しく均一に火入れされており、ジューシーで滋味が深いです。ナイフがすっと入るほどに、身はやわらか。胡椒風味のソースはエゾシカの風味を引き立てており、付け合せの甘い安納芋のピューレにも合います。
喜界島産シークー アールグレイティー
鹿児島県の離島である喜界島のみかん「シークー」のアールグレイティーをグラニテに。肉料理の後に口中をリフレッシュさせてくれるプレデセールです。
福岡県産苺 ブラッターチーズ
大粒の福岡県産「あまおう」の下には品のあるアマレットのジェノワーズ生地、上には濃厚なブラッターチーズ。軽やかでありながらも、コクのあるデザートに仕上がっています。
ミニャルディーズ
4品もの小菓子が提供されます。定番となっているのが卵型の器に入ったクレームブリュレ。上にかぶせられたカラメルのディスクを割ってからいただきます。他にはマドレーヌ、ブラウニー、シュークリームと最後まで盛りだくさんです。
東京の顔となる美食レストランに
ここまでメニューを詳しく紹介してきましたが、改めて「セザン」の特長は何でしょうか。
第一に挙げたいのはやはり、カルバート氏の料理を食べられること。世界でも高い評価を受けているカルバート氏の料理を、この日本で体験できるのは素晴らしいことです。オープンしてからまだ半年くらいしか経っていませんが、次々と新しいメニューが生み出されています。
次に挙げたいのが、妙々たるワインのラインナップ。クリストフルのワゴンで運ばれてくるシャンパーニュは、グラスだけで4種類も用意されていて、好きなものを選べます。
グラスシャンパーニュの中でも特筆するべきは「ユリス・コラン レ・マイヨン ブラン・ド・ノワール エクストラ・ブリュット」(4,807円、税・サ込)。日本ではなかなか飲めない一本ですが、生産者がカルバート氏の知人であったことから提供される運びとなりました。ピノ・ノワール100%の凝縮した果実味が感じられ、ドサージュ1.7g/Lと、心地よい辛口です。
テーブルウェアも逸品ばかり。プレートはフランス・リモージュのレイノーやレグル。レイノーは高級なフランス料理店でよく見かけられますが、レグルはあまり見かけられない貴重なお皿です。シャンパーニュグラスはクリストフルやバカラ、白ワイングラスと赤ワイングラスはシャンパーニュ地方のレーマンと、どれもフランスの一流メーカー。ミネラルウォーターのグラスとナイフレストもバカラ製と贅沢です。こういった華美なテーブルウェアも忘れられない食体験の一部となるでしょう。
フォーシーズンズホテル丸の内 東京は、東京駅からも近いのでアクセスが便利。カルバート氏が腕をふるう「セザン」が、東京の顔となる美食レストランになることは間違いありません。