伝説の豚骨ラーメンが復活 博多×長浜×久留米のハイブリッド豚骨とは?
福岡の名店が6年ぶりにラーメン博物館へ
2023年3月14日(火)より『新横浜ラーメン博物館』(神奈川県横浜市港北区新横浜2-14-21)にて、福岡の人気ラーメン店『元祖 名島亭』(福岡県福岡市)が期間限定で出店する。出店期間は4月3日(月)まで。
現在『新横浜ラーメン博物館』では創業30周年記念企画「あの銘店をもう一度」と題して、これまで出店して来た店が入れ替わりで期間限定出店するプロジェクトを展開中だが、『元祖 名島亭』は初の支店として2015年2月から2年間出店。今回6年ぶりにラーメン博物館への復活を果たす。
羽釜を使って日々骨を継ぎ足して作るスープ
『名島亭』の創業は1987(昭和62)年のこと。長浜の人気ラーメン店で長年腕を磨いた城戸修さんが独立し、長浜ラーメンを看板に掲げて創業した。店名の「名島」とは出店した福岡市東区名島の地名から。長浜や博多から離れた郊外の住宅街でありながらも連日行列を作る人気店となった。
城戸さんが作るラーメンは長浜ラーメンを名乗っていながらもオリジナリティがあった。長浜ラーメンはその日のスープはその日に仕込んで使い切る「取り切り」製法が一般的だったが、城戸さんは久留米ラーメンと同じく釜に骨やスープを継ぎ足しながら作る「呼び戻し」製法を応用。寸胴鍋ではなく久留米から鋳鉄製の大きな羽釜を取り寄せてスープを取った。
長年厨房に立ち続けた城戸さんだったが、後継者が見つからなかったこともあり引退を決意。『名島亭』の運営は修業時代の後輩である『博多一風堂』創業者の河原成美さんに託された。その後、創業の地である福岡市名島の本店は店舗の老朽化によって閉店してしまったが、現在は福岡市内に2店舗、横浜市内に1店舗を構えている。
唯一無二の「ハイブリッド」豚骨ラーメン
『元祖 名島亭』のラーメンは城戸さんが長年修業した長浜ラーメンを源流に持ちながらも、久留米ラーメンの製法が応用され、さらに河原さんによって博多ラーメンのエッセンスも加わった。博多、長浜、久留米という福岡の豚骨ラーメンの良さが丼の中で融合し、唯一無二の「ハイブリッド」な豚骨ラーメンとなった。
自慢のスープはもちろんラーメン博物館の厨房内で「呼び戻し」製法によって毎日骨を足しながら旨味を熟成させていく。骨は頭骨をメインにしながらもゲンコツや背骨など異なる部位も組み合わせて、営業用のスープにも骨を追加していきながらフレッシュな豚骨の甘みや香りも加える。臭みのないまろやかでコクのあるスープはさらに進化した印象を受ける。
自家製の麺は切り刃28番という極細の低加水ストレート麺で、6年前にラーメン博物館で提供していた当時の麺を再現。敢えて二等粉を配合することによって、しなやかな中にも素朴な風味と独特な食感が感じられるものになっている。具材はバラ肉チャーシューとキクラゲ、ネギと、長浜ラーメンらしくシンプルに。「飽きのこない毎日でも食べられるラーメン」という創業当初からの思いもしっかりと残っているラーメンだ。
創業者城戸さんも毎日店に立つ
今回のラーメン博物館への復活出店にあたり、引退した創業者の城戸修さんも「大将」として4月3日までの3週間、基本的には毎日店に出るという。話好きでにこやかな笑顔も、平ざるを使った機敏でリズミカルな麺上げも健在だ。
「こうしてまた皆さんと『名島亭』で会えることが嬉しいです。河原会長や一風堂の人たちに感謝ですね。スープも麺も美味しく出来ていると思うので、今の『名島亭』のラーメンを食べて欲しいです。僕も毎日お店に出ていますので、ぜひ声をかけて下さいね」(名島亭 創業者 城戸修さん)
※写真は筆者によるものです。
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