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露見する“クーマン・バルサ攻略法“と丸裸にされるシステム。必要な「可変式」と「静的」なアンカー保護。

森田泰史スポーツライター
ボールを追うアンス・ファティ(写真:なかしまだいすけ/アフロ)

リオネル・メッシが、パリ・サンジェルマンのユニフォームを着てプレーしている姿に、違和感が拭えない。

そう考えているのは、私だけではないだろう。多くのバルセロニスタが、似たような感覚を抱いているはずだ。メッシがバルサ 以外のチームでプレーするなんて、数年前であれば想像さえできなかった。そんな予想を口にするものなら、SNSで叩かれまくっていたはずだ。

だが、それは現実になった。メッシは現在、ネイマール、キリアン・エムバペらと共にタイトルだけを見据えてプレーしている。当然ながら、彼らの最大の野望はビッグイヤー獲得だ。

■メッシの放出

しかも、あろうことか、バルセロナはメッシをフリーで放出した。

先日、ジョアン・ラポルタ会長がスペインのラジオ局『RAC1』に出演した際の発言は、「メッシに無料でプレーして欲しかった」というのを含め、驚きに満ちたものだった。

バルセロナのラポルタ会長
バルセロナのラポルタ会長写真:ロイター/アフロ

「メッシに怒ることはできない。彼を高く評価している。だが我々の財政状況に顧みて、“フェア・プレー“の観点から、これ以上は無理だという瞬間が訪れた。メッシには、バルセロナに残りたいという想いがあった。一方で、他クラブからのオファーがあり、プレッシャーを感じていた」

「あの時点でパリ・サンジェルマンのオファーが具体的にあったかどうかは分からない。しかし、我々と交渉している間に、非常に良いオファーがメッシに届いていたのは確かだ。最後の最後に、メッシが『ノーギャラでもいいから残留したい』と言ってくれないかと期待していた。けれども、あのクラスの選手がそれをするというのは考えられない」

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■財政難に喘いで

無論、メッシの退団が決まった理由は、お金の問題である。

現在のバルセロナの負債は13億5000万ユーロ(約1750億円)だとされている。ジョゼップ・マリア・バルトメウ前会長と前理事会の経営があまりに杜撰であり、そこまで膨れ上がってしまったのである。

その中で、重要だったのがサラリーの問題だ。ラポルタ会長が言うところの“フェア・プレー”というのは、基本的にラ・リーガ版サラリーキャップのことを指し示している。

UEFAのファイナンシャル・フェア・プレー(FFP)とラ・リーガ版サラリーキャップは異なる。ここを勘違いしている人は少なくない。メディアの中にも、普通にいる。

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スポーツライター

執筆業、通訳、解説。東京生まれ。スペイン在住歴10年。2007年に21歳で単身で渡西して、バルセロナを拠点に現地のフットボールを堪能。2011年から執筆業を開始すると同時に活動場所をスペイン北部に移す。2018年に完全帰国。日本有数のラ・リーガ分析と解説に定評。過去・現在の投稿媒体/出演メディアは『DAZN』『U-NEXT』『WOWOW』『J SPORTS』『エルゴラッソ』『Goal.com』『ワールドサッカーキング』『サッカー批評』『フットボリスタ』『J-WAVE』『Foot! MARTES』等。2020年ラ・リーガのセミナー司会。

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