クラシコの勝敗を分けるポイントは...バルサの「布陣選択」とマドリーの「中盤」に注目すべし。
リオネル・メッシとクリスティアーノ・ロナウド不在のクラシコが、初めて行われる。
「初めて」というのは、適切ではない。無論、彼らがデビューする前には、その種のクラシコがあったのだ。だが2005−06シーズンにメッシがクラシコでデビューして以降、このような日が来るとは想像できなかった。
一方のレアル・マドリーでは、2018年夏にC・ロナウドが去り、この夏にセルヒオ・ラモスがパリ・サンジェルマンに移籍している。象徴的な選手がいなくなり、これまでとは異なる雰囲気のクラシコになるのは確かだろう。
「ファンがこのチームを信頼していないのかは分からない。だが、我々は信頼している」
「会長が毎週のように私を擁護する必要はない。私は自分の仕事が結果次第だと自覚している。我々が正しい道を歩んでいることと、素晴らしいチームであることを証明したい」
クラシコの前の会見で、ロナルド・クーマン監督は珍しく語気を強めた。ここまで、現実的あるいは悲観的なコメントの多かったバルセロナ指揮官であるが、ビッグマッチを前に自信をのぞかせている。
■システムの選択
まず、クラシコで注目すべきポイントのひとつは、バルセロナのシステムだろう。
クーマン監督は【4−3−3】【4−2−3−1】【3−5−2】と複数のシステムを使用してきた。
今季、【3−5−2】ではバイエルン・ミュンヘン戦(0−3)とベンフィカ戦(0−3)を落としている。3バックのシステムが現在のバルセロナに適しているとは言い難い。
直近のディナモ・キエフ戦で足首を痛めたジョルディ・アルバのコンディションは気懸りだ。だがアルバが出場可能なら、クーマン監督は【4−3−3】を採用するべきだろう。
メンフィス・デパイ、アンス・ファティ、フィリップ・コウチーニョを筆頭に、いまのバルセロナには左サイドをプレーエリアとする選手が多い。左右のスペースが、均等に分配されていない。
そこでクーマン監督が解決策として見出したのが、セルジーニョ・デストのウィング化である。
デストの本職はサイドバックだが、アヤックスのカンテラ時代にはウィングでもプレーしていた。そのデストを右WGに配置することで、右サイドのオープンスペースの有効活用が可能になった。
クーマン監督はサイド攻撃を好む監督だ。彼にとって、今季のラ・リーガの初戦のレアル・ソシエダ戦(4−1)だ。その試合では、4ゴールの全てがクロスから生まれていた。
また、今季のリーガにおけるバルセロナの14得点のうち、7得点がクロスから生まれている。今季のバルセロナの1試合平均クロス数はリーガ2位の数字だ。
2020−21シーズンと2019−20シーズンはリーガでワーストの数字だった。
サイド・アタックを容易にするためにも、全体のバランスを整えるためにも、【4−3−3】が得策だ。
■マドリーの中盤
対して、マドリーの課題は中盤の構成である。
この記事は有料です。
誰かに話したくなるサッカー戦術分析のバックナンバーをお申し込みください。
誰かに話したくなるサッカー戦術分析のバックナンバー 2021年10月
税込550円(記事8本)
2021年10月号の有料記事一覧
※すでに購入済みの方はログインしてください。