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「トップ下」は死んだのか?イスコ、ディバラ、グリーズマン...「戦術」と「創造」の狭間で。

森田泰史スポーツライター
ドリブルするイスコ(写真:ムツ・カワモリ/アフロ)

「トップ下」は、死んでしまったのだろうか?

ジネディーヌ・ジダン、ディエゴ・マラドーナ、ロベルト・バッジョ、デニス・ベルカンプ、ジーコ、カカー、ロナウジーニョ…。多くの選手が、中盤の中央付近に陣取り、攻撃のタクトを揮ってきた。

ミランで活躍したカカー
ミランで活躍したカカー写真:アフロ

だが、現在、そのタイプの選手の行き場はなくなってきている。

イスコ、パウロ、ディバラ、デレ・アリ、彼らのような選手は本来であれば「トップ下」が適正ポジションだ。しかしながら、現状、与えられるポジションはウィングや2トップの一角であり、インサイドハーフである。

W杯でのベルカンプのコントロールとシュートは伝説的だ
W杯でのベルカンプのコントロールとシュートは伝説的だ写真:Action Images/アフロ

「フットボールの発展の問題だ。僕が幼い頃は、4−4−2のシステムが主流だった。2トップシステムだ。僕がプロ入りした頃に、セカンドトップというポジションが出てきた。そこでトップ下の概念が生まれたのだと思う」とは現役時代にレアル・マドリーやデポルティボ・ラ・コルーニャでプレーしたビクトル・サンチェス・アモの言葉だ。

「あの時代においては、トップ下はセカンドトップに近かった。得点能力があり、ライン間に落ちて中盤の選手とコンビネーションできる選手。だけど、その後、ポゼッションを重視する流れになって、そういった選手はセンターハーフを務めるようになっていった。4−3−3のシステムで、3番目のMFになった」

(全2326文字)

■トップ下の不在

【4−3−3】では、そもそも、トップ下は存在しない。ペップ・バルサのシャビ・エルナンデスやアンドレス・イニエスタ、ジダン・マドリーのトニ・クロースやルカ・モドリッチが典型例だろう。シャビやクロースはボランチ型、イニエスタやモドリッチはトップ下型であるが、彼らが左右インサイドハーフで共存していたことが何よりの証左だ。

(ペップ・バルサとジダン・マドリー)

「4−3−3」と「ポゼッション」というキーワードで紐解く時、浮かび上がってくるのがペップ・グアルディオラ監督の存在である。先述したように、グアルディオラ監督はシャビ、イニエスタ、そしてリオネル・メッシを共演させた。現在、マンチェスター ・シティでも、少し形を変えながらゼロトップを使っている。

(シティの布陣)

ペップ・シティで興味深いのは、ケヴィン・デ・ブライネやベルナルド・シウバがゼロトップあるいはインサイドハーフで起用されている点である。

バルセロナ時代、メッシはゼロトップかウィングだった。インサイドハーフで起用されることは、決してなかった。無論、シャビやイニエスタがチームにいたから、という側面はある。

ただ一方で、グアルディオラ監督はバルセロナでセイドゥ・ケイタといった選手を重宝していた。現在のシティでは、イルカイ・ギュンドアンがその役割を務めているが、指揮官にとって大事なのは「2列目の飛び出し」なのである。

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スポーツライター

執筆業、通訳、解説。東京生まれ。スペイン在住歴10年。2007年に21歳で単身で渡西して、バルセロナを拠点に現地のフットボールを堪能。2011年から執筆業を開始すると同時に活動場所をスペイン北部に移す。2018年に完全帰国。日本有数のラ・リーガ分析と解説に定評。過去・現在の投稿媒体/出演メディアは『DAZN』『U-NEXT』『WOWOW』『J SPORTS』『エルゴラッソ』『Goal.com』『ワールドサッカーキング』『サッカー批評』『フットボリスタ』『J-WAVE』『Foot! MARTES』等。2020年ラ・リーガのセミナー司会。

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