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植田日銀次期総裁候補の答弁「共同声明を直ちに見直す必要なし」が持つ含意

土居丈朗慶應義塾大学経済学部教授・東京財団政策研究所研究主幹(客員)
2月24日に衆議院議事運営委員会で所信聴取する植田和男日本銀行総裁候補者(写真:ロイター/アフロ)

4月8日で任期が満了する日本銀行の黒田東彦総裁の後任として、政府は植田和男・共立女子大学教授を次期総裁候補者とし、国会での同意を求めている。

2月24日に、衆議院議事運営委員会において、植田氏の所信聴取と質疑が行われた。その質疑において、早期の2%の物価上昇目標を明記した政府と日銀の共同声明を見直す考えを問われた植田氏は、「政府と日銀は共同声明に沿って必要な政策を実施し、経済は着実に改善した。その中で、物価も持続的に下落するという意味でのデフレではなくなってきており、政策連携が成果を上げてきた。共同声明を直ちに見直す必要があるということは考えていない」と答弁した。

この答弁が持つ含意について考えよう。

今や、日本国債の過半を保有する日本銀行だけに、今後の金融政策の行方は、財政運営にも影響を及ぼす。

そもそも、政府と日銀の共同声明とは、2013年1月22日に内閣府・財務省・日本銀行が共同で公表した「デフレ脱却と持続的な経済成長の実現のための政府・日本銀行の政策連携について(共同声明)」を指す。

この共同声明を発した日銀総裁は、実は黒田総裁ではなく、その前任の白川方明前総裁だった。それを、黒田総裁も見直さずに引き継いだ。

そして、2月24日の植田氏の前掲の答弁である。この答弁に、どのような含意があるのか。それは、

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慶應義塾大学経済学部教授・東京財団政策研究所研究主幹(客員)

1970年生。大阪大学経済学部卒業、東京大学大学院経済学研究科博士課程修了。博士(経済学)。慶應義塾大学准教授等を経て2009年4月から現職。主著に『地方債改革の経済学』日本経済新聞出版社(日経・経済図書文化賞とサントリー学芸賞受賞)、『平成の経済政策はどう決められたか』中央公論新社、『入門財政学(第2版)』日本評論社、『入門公共経済学(第2版)』日本評論社。行政改革推進会議議員、全世代型社会保障構築会議構成員、政府税制調査会委員、国税審議会委員(会長代理)、財政制度等審議会委員(部会長代理)、産業構造審議会臨時委員、経済財政諮問会議経済・財政一体改革推進会議WG委員なども兼務。

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