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「伯父は(第二次大戦時)搭乗した軍用機が撃墜され、人食い人種に食べられた」バイデン氏がイタい失言

飯塚真紀子在米ジャーナリスト
バイデン氏は、“民主主義よりも自由を選ぶのがアメリカ”とする失言も。(写真:ロイター/アフロ)

 “失言製造機”と自称しているバイデン氏が、ペンシルベニア州でしたいくつかの失言が懸念されている記憶力の衰えを示していると取り沙汰されている。

撃墜され、人喰い人種に食べられた

 同州スクラントンにある第二次世界大戦の戦没者慰霊碑を訪ねて、伯父アンブローズ・フィネガン氏(バイデン氏の母親の兄に当たる)をたたえたバイデン氏は、“伯父は人食い人種に食べられた”と示唆する発言をしたのだ。

「伯父はシングル・エンジンの軍用機に乗り、ニューギニア上空で偵察飛行を行っていた。偵察飛行に参加できない者が現れたため、搭乗を志願したのだ。彼の乗った軍用機は撃ち落とされ、遺体は見つからなかった。ニューギニアのあの地域では、実際に、人食い人種が大勢いたからだ」

 しかし、この発言は間違っていることがわかった。公式の軍事記録によると、1944年5月、バイデン氏の伯父が搭乗した軍用機はニューギニア沖の海に墜落して、遺体も空軍機も回収されなかったとあり、バイデン氏の伯父は人食い人種に食べられたわけではないようだ。

 また、FOXニュースのピーター・ドゥーシー氏によると、国防総省は、バイデン氏の伯父が搭乗していた軍用機は撃墜されたのではなく、原因は不明だが不時着を余儀なくされたとしているという。

「2つのエンジンは低空で故障した。なぜバイデン大統領は、伯父は撃墜されたと言っているのか? そんな証拠はない。また、なぜバイデン大統領は伯父が人食い人種に食べられたと言っているのか? ひどい発言だ」とドゥーシー氏はバイデン氏の発言を批判。

 同氏に対し、ジャン・ピエール大統領報道官はこう応酬している。

「バイデン大統領は気持ちが高ぶっていた。彼の伯父は命を落とした。あなたはそれを冗談にすべきではない。彼の伯父は、国を守るために従軍し、命を落とした。それが重要だ。重要なのは、米軍や退役軍人らを日々元気づけている大統領がいるということ。バイデン氏は最高司令官になることがいかに重要であるかを理解している」

民主主義よりも自由を選ぶのがアメリカ

 また、ペンシルベニア州フィラデルフィアで行われた選挙イベントでは、ケネディ大統領の姪、ケリー・ケネディ氏らケネディ家の一族が、バイデン氏の再選を支持すると表明し、話題となったが、このイベントでバイデン氏がした失言も槍玉にあげられている。それは、「分断よりも団結を選ぶ準備はできているか?  破壊よりも尊厳? 嘘よりも真実? 民主主義よりも自由を選ぶ準備はできているか?  それができるのがアメリカだ」という発言の中の「民主主義よりも自由を選ぶ準備はできているか?」という箇所。

 ホワイトハウスの演説記録は、問題視されたバイデン氏の発言について「民主主義と自由を選ぶ準備はできているか?」と訂正しているが、この言い間違えも、バイデン氏の高齢問題を示していると捉えられている。

支持率調査の多くでトランプ氏がリード

 ところで、リアル・クリア・ポリティクスが、9つの世論調査機関が行った大統領候補者たちに対する支持率の平均を出したところ、トランプ氏が41.9%、バイデン氏が40.6%とトランプ氏が1.3ポイントリードしている。具体的には、9つの世論調査機関中5つの機関の調査でトランプ氏がバイデン氏をリードしており、2つは互角、2つがバイデン氏リードとなっている。

世論調査機関の支持率調査の多くで、トランプ氏がバイデン氏をリード。出典:realclearpolling.com
世論調査機関の支持率調査の多くで、トランプ氏がバイデン氏をリード。出典:realclearpolling.com

 また、7州の接戦州(アリゾナ州、ネバダ州、ウィスコンシン州、ミシガン州、ペンシルベニア州、ノースカロライナ州、ジョージア州)における様々な機関の世論調査を見ても、ペンシルベニア州以外は、トランプ氏がリードしている状況だ。

ハイファとラファを混同する失言も

 そんな中、バイデン氏はどう戦って行くのか? 同氏にとっては親パレスチナの有権者離れが一つの問題となっているが、その件に関して、ネクスター・メディアに問われた際の発言も大失敗に終わっていた。同メディアに、親パレスチナの有権者をどう取り戻すか問われた際に、バイデン氏はこう答えたのだ。

「ガザ地区に送る食料、水、医療の量を大幅に増やさなければならないことを明確にしている。また、私はイスラエルにはっきりと伝えた。ハイファには進軍するな」

 ハイファはイスラエルの港湾都市である。バイデン氏はイスラエルの都市ハイファと民間人が多数避難しているガザ地区ラファとを混同してしまったようだ。

 変わらず失言を続けているバイデン氏の今後の戦い方が注目される。

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在米ジャーナリスト

大分県生まれ。早稲田大学卒業。出版社にて編集記者を務めた後、渡米。ロサンゼルスを拠点に、政治、経済、社会、トレンドなどをテーマに、様々なメディアに寄稿している。ノーム・チョムスキー、ロバート・シラー、ジェームズ・ワトソン、ジャレド・ダイアモンド、エズラ・ヴォーゲル、ジム・ロジャーズなど多数の知識人にインタビュー。著書に『9・11の標的をつくった男 天才と差別ー建築家ミノル・ヤマサキの生涯』(講談社刊)、『そしてぼくは銃口を向けた」』、『銃弾の向こう側』、『ある日本人ゲイの告白』(草思社刊)、訳書に『封印された「放射能」の恐怖 フクシマ事故で何人がガンになるのか』(講談社 )がある。

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