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“失言製造機”バイデン氏からヤバい発言続々 世論調査ではトランプ氏の方が大統領にふさわしいとの結果に

飯塚真紀子在米ジャーナリスト
(写真:ロイター/アフロ)

 “失言製造機”とのニックネームを持つバイデン氏が、ヤバい発言を続けている。

 アメリカ同時多発テロから22年目を迎えた9月11日、バイデン氏はグラウンド・ゼロ、ペンタゴン、ペンシルベニア州といったテロ現場やホワイトハウスで追悼しなかった初の現職大統領となったことが批判されたが、この日、アラスカ州アンカレジにある米軍基地を訪問していた同氏がした発言もヤバかった。

 それは、「ニューヨークのグラウンド・ゼロ。私は(テロの)翌日、そこに立ち、ビルを見ていた。地獄の門を覗いているかのように感じた。どこから見てもそれは壊滅的だった」というもの。

 しかし、これは間違っている発言であることがすぐに発覚した。記録によると、バイデン氏は、テロの翌日の9月12日はワシントンDCにおり、グラウンド・ゼロを初めて訪れたのはテロから9日後の9月20日、上院代表団の一員として訪問した時だったからである。

 また、先月、バイデン氏は「ピッツバーグで橋が崩落するのを目撃した」と述べているが、これも間違いであることがわかった。実際には、崩落から6時間後に現場を訪れていたからだ。

 こういった明らかな間違い発言が連発されたのは、バイデン氏の中で記憶の混乱が起きているからだろうか? それとも、選挙運動の中、人心に訴えようと脚色したのか? 実際、テロによる犠牲者の遺族からは「選挙運動用のデタラメ発言だ」との批判の声もあがった。

空気を読めていないのか?

 確かに、大統領自身が目の当たりにした体験談は心に響き、共感を誘う。もっとも、的外れな体験談は時に怒りを買うこともあるようだ。バイデン氏が、8月21日、大規模な山火事が起きたマウイ島の被災地を慰問した際に行った発言は顰蹙を買った。

 演説の中で、バイデン氏は、「困難さの比較をしたくはないが、ジルと私は家を失うことがどういうことか少しは理解している。私はジルや67年型コルベット、猫を(火事で)失いそうになった」と2004年、デラウェア州にある自宅のキッチンで起きたという小火のエピソードを持ち出した。これまでも他の演説で言及したことがあるエピソードだが、バイデン氏は自身の体験談を話すことで、被災者の悲しみに寄り添おうとしたのだろう。しかし、100人以上の死者や多数の住居が焼失した大規模な山火事と短時間の消火で済んだキッチンでの小火とではあまりにも次元が違うことから、この発言を問題視する声もあがった。バイデン氏の発言は時に“空気を読めていない”と揶揄されることもあるが、これもそのいい例と言えそうだ。

同じ話を繰り返したバイデン氏

 9月20日には、選挙資金集めのイベントで、バイデン氏が同じ話を続け様に繰り返したことがX(旧ツイッター)で話題になった。

 バイデン氏に同行取材しているアレックス・トンプソン氏が、Xで「バイデン氏は大統領選に出馬すると決意した時のことを振り返った。彼は、2017年にシャーロッツビルで起きた事件(バージニア州シャーロッツビルで、白人至上主義者の集会に参加した人々とこれに反対する人々が衝突して死傷者が出た事件)が出馬した理由だと言及した。数分後、彼はその話を再び、ほとんど一言一句違わずに話した」という以下の投稿をしたことから、Xでは、バイデン氏が同じ話を繰り返したのは年齢のせいだという見方がされた。

トランプ氏の方が大統領にふさわしい

 年齢が大統領選では足枷になると言われているバイデン氏は、対抗馬になる可能性が高いトランプ氏から世論調査で追い上げられている。

 Yahoo News/YouGov の世論調査によると、「今日、大統領選が行われたら、バイデン氏とトランプ氏のどちらに投票するか?」との問いに対し、8月に行われた調査では、47%がバイデン氏に、41%がトランプ氏に投票すると回答したのに対し、9月14日〜18日に行われた調査では、44%がバイデン氏に、44%がトランプ氏に投票すると回答、両者は引き分けとなった。

 また、大統領としての適性に関する質問では、「トランプ氏はもう1期大統領として務めるのにふさわしいか?」との問いに39%がイエスと答えたのに対し、「バイデン氏はもう1期大統領として務めるのにふさわしいか?」との問いにイエスと答えたのは27%と、適性の点では、はるかに多くの人々がトランプ氏の方がバイデン氏よりも、もう1期大統領として務めるのにふさわしいと考えていることがわかった。

 バイデン氏の大統領としての適性という点で問題となるのは年齢と答えた人は77%、一方、トランプ氏の大統領としての適性という点で問題となるのは刑事告訴と答えた人は64%。「大統領としての適性において、より大きな問題になるのはどちらか?」という問いに対しては、39%がバイデン氏の年齢と答え、42%がトランプ氏の刑事告訴と答えた。

 大統領選まであと1年余り。現状では、バイデン氏vsトランプ氏の争いになる可能性が濃厚だが、追い上げるトランプ氏にバイデン氏がどのように対抗していくのか注目される。

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在米ジャーナリスト

大分県生まれ。早稲田大学卒業。出版社にて編集記者を務めた後、渡米。ロサンゼルスを拠点に、政治、経済、社会、トレンドなどをテーマに、様々なメディアに寄稿している。ノーム・チョムスキー、ロバート・シラー、ジェームズ・ワトソン、ジャレド・ダイアモンド、エズラ・ヴォーゲル、ジム・ロジャーズなど多数の知識人にインタビュー。著書に『9・11の標的をつくった男 天才と差別ー建築家ミノル・ヤマサキの生涯』(講談社刊)、『そしてぼくは銃口を向けた」』、『銃弾の向こう側』、『ある日本人ゲイの告白』(草思社刊)、訳書に『封印された「放射能」の恐怖 フクシマ事故で何人がガンになるのか』(講談社 )がある。

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