森保ジャパンの「サバイバルレース」への違和感。「選考会」の本質とは、どのようにあるべきか。
カタール・ワールドカップまで、残り時間が少なくなってきている。
日本代表はキリンチャレンジカップ2022でパラグアイ代表と対戦した。ホームで行われた国際親善試合で、日本は4−1と快勝している。
2022年のW杯は、変則的な形で行われる。特筆すべきは、開催時期だ。カタールの気候への配慮で、W杯が異例の秋冬開催となる。
そこに向けて、選手が絞られてくる。これは当然の流れだ。本大会のメンバーは、従来であれば23名。だがFIFAは今大会において26名のリスト作成の可能性を検討している。
■選考会の本質
ただ、現状、「選考会」が煽られれば、煽られるほど、違和感を感じる。
テレビで、ネットで、この議論は白熱する。無論、「誰が選ばれて」「誰が落ちるか」というところには、一定の興味が引き付けられるだろう。1998年のフランスW杯直前で、三浦知良がメンバー落ちした前例があるように、何が起こるかは分からない。
しかし、あの頃と、決定的に異なる点がある。それは「海外組」の存在だ。
1998年の時点で、海外でプレーしている日本代表の選手は皆無に等しかった。
それが、いまでは、スタメン組の大半の所属クラブが海外のものになっている。
時代は、変わったのだ。
語弊を恐れずに言えば、ビッグトーナメントに向けて、大事なのは代表に選ばれた時のプレーではない。所属チームでのパフォーマンスだ。
そう、時代は変わった。彼らは海外、主にヨーロッパのトップレベルで、日々いろいろな国籍の選手たちとレギュラーポジションを争い、鎬を削っている。だからこそ、彼らが評価されるべきは、彼らにとっての日常――所属クラブで挙げた成果――でなければならない。そこを外してはいけない。疎かにしては、ならない。そうでなければ、それは逆に彼らに失礼な態度を示すことにつながる。
選考会に踊らされているのは、メデイアと大衆だけだと願っている。仮に、現場の人たちが、この一連のゲームを本気で選考会と捉えているとしたら、森保ジャパンのW杯での上位進出はまったく期待できないだろう。
では、この数試合に、どのように取り組むべきか。答えは簡単だ。組織の、戦術の、練度を高めるために利用するのである。
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■組織と戦術の練度
森保一監督は、基本布陣の【4−3−3】でパラグアイ戦に臨んだ。
パラグアイ戦で、注目すべきだったのは三笘薫だ。
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