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シャビ・バルサは守備のチームである。一旦、「クライフの哲学」を放置して。

森田泰史スポーツライター
ドリブルするバルデ(写真:ロイター/アフロ)

タイトル獲得の意味は、小さくない。

スペイン・スーパーカップ決勝、レアル・マドリー対バルセロナの一戦は、3−1でバルセロナが制した。バルセロナにとっては、シャビ・エルナンデス監督の就任後、初のタイトル奪取となっている。

■シャビと守備のチーム

シャビ・バルサは「守備のチーム」だ。それが、現時点での私の結論である。

ファイナルのマドリー戦で、シャビ監督は守備を重視した。ペドリ・ゴンサレスがトニ・クロースのマークを担当し、「アンカー潰し」を行った。

また左WGにガビを配置。ガビ、ペドリ、フレンキー・デ・ヨング、セルヒオ・ブスケッツの4人の中盤が共存して、ピッチ内で躍動した。

「勝利は大事だった。しかし、それ以上に『どのように勝つか』だ。我々は数的優位を作りたかった。ガビはそれを理解してくれた。我々のプランは、完璧に機能した。ボールロストは少なかった。アンフェアな批判を浴びていた選手たちを思うと、非常に嬉しい」とはシャビ監督のコメントだ。

バルセロナのシャビ監督
バルセロナのシャビ監督写真:ロイター/アフロ

一方で、「中盤に人数を増やして、数的優位をつくろうとした」と語ったのはブスケッツだ。

「アラウホがヴィニシウスをストップして、マドリーのカウンターを防いだ。マドリーをサイドに追いやり、そこからプレスを掛けることを考えていた。僕たちはとても快適にプレーできていた」

競り合うブスケッツとヴィニシウス
競り合うブスケッツとヴィニシウス写真:ロイター/アフロ

シャビ監督の采配で、恩恵を受けたのが他ならぬブスケッツだ。

ブスケッツは今季、苦しんできた。バルセロナ対策として、多くのチームが「アンカー潰し」を行ってくる。また、守備面では、スピードと破壊力のある3トップを据える影響で、幾度となく中盤が間延びして、広大なスペースを一人でカバーしなければいけなかった。

そのブスケッツを、デ・ヨングがヘルプする。左インサイドハーフのデ・ヨングが、「左ボランチ化」することでブスケッツが丸裸でプレーするようなシチュエーションを避けた。

左サイドでは、ハードワークできるガビ(WG)、アップダウンを厭わないアレッハンドロ・バルデ(SB)、そしてデ・ヨング(IH)がいて、守備面で効いていた。彼らの存在が、ブスケッツを助けていた。

バルセロナの攻撃のトライアングルについて、このコラムで何度となく触れてきた。しかし、マドリーとの試合では、守備面で左のトライアングルが機能していた。

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スポーツライター

執筆業、通訳、解説。東京生まれ。スペイン在住歴10年。2007年に21歳で単身で渡西して、バルセロナを拠点に現地のフットボールを堪能。2011年から執筆業を開始すると同時に活動場所をスペイン北部に移す。2018年に完全帰国。日本有数のラ・リーガ分析と解説に定評。過去・現在の投稿媒体/出演メディアは『DAZN』『U-NEXT』『WOWOW』『J SPORTS』『エルゴラッソ』『Goal.com』『ワールドサッカーキング』『サッカー批評』『フットボリスタ』『J-WAVE』『Foot! MARTES』等。2020年ラ・リーガのセミナー司会。

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