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「シリア革命」最後の牙城を支配するアル=カーイダ系組織シャーム解放機構の打倒を訴えるデモが各地で発生

青山弘之東京外国語大学 教授
X (@mzmgr941)、2024年4月27日

自由と尊厳の実現をめざす「シリア革命」最後の牙城とされるシリア北西部では、4月26日金曜日にも各地で抗議デモが発生した。

抗議デモを行っているのは、シリア政府(反体制活動家が言うところの「バッシャール・アサド体制」)の支配や弾圧を嫌い、あるいはシリア軍との戦闘に敗れて、シリア各地から逃れてきた人々だ。

彼らは、シリア政府に不満と憎悪を憎み、時に体制打倒を求めて抗議デモを行ってきた。だが、4月26日金曜日の抗議デモで彼らが訴えたのは、シリア北西部の軍事・治安権限を掌握し、この地を支配する国際テロ組織のシャーム解放機構(旧シャームの民のヌスラ戦線)の打倒だった。

反体制活動家はシリア北西部を「解放区」と呼ぶ。だが、その実態は「シリアのアル=カーイダ」として知られるシャーム解放機構による住民への弾圧、恣意的逮捕や拷問が横行しており、自由、尊厳、民主主義、人権など、反体制活動が自らを正当化するために唱道する美辞麗句とは程遠い。

英国で活動する反体制派系NGOのシリア人権監視団や、「シリア革命の咆哮者たち」を名乗るグループのSNSアカウント(https://t.me/s/mzmgr_syriaなど)によると、4月26日の抗議デモは、イドリブ県イドリブ市、カフルタハーリーム町、マアッラトミスリーン市、アリーハー市、クールカーニヤー村、ダイル・ハッサーン村の国内避難民(IDPs)キャンプ、アティマ村のIDPsキャンプ群、サルマダー市、アウラム・ジャウズ村、ハザーヌー町、ビンニシュ市、ジスル・シュグール市、バータブー村、アルマナーズ市、タフタナーズ市、アレッポ県のアターリブ市、アビーン・サムアーン町などで発生、参加者らは、シャーム解放機構の指導者であるアブー・ムハンマド・ジャウラーニーの打倒、治安機関である総合治安機関の解体、刑務所の開放、逮捕者の釈放などを訴えた。

シャーム解放機構に対するデモは2月末から続いており、毎週金曜日には午後の集団礼拝後に各地で大規模な抗議行動が繰り返されている。

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東京外国語大学 教授

1968年東京生まれ。東京外国語大学教授。東京外国語大学卒。一橋大学大学院にて博士号取得。シリアの友ネットワーク@Japan(シリとも、旧サダーカ・イニシアチブ https://sites.google.com/view/sadaqainitiative70)代表。シリアのダマスカス・フランス・アラブ研究所共同研究員、JETROアジア経済研究所研究員を経て現職。専門は現代東アラブ地域の政治、思想、歴史。著書に『混迷するシリア』、『シリア情勢』、『膠着するシリア』、『ロシアとシリア』など。ウェブサイト「シリア・アラブの春顛末記」(http://syriaarabspring.info/)を運営。

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