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スマホは社会を変えたが、今後は「シェアリングとサブスク」が都市と個人のDXを牽引するだろう

上山信一慶應大学名誉教授、経営コンサルタント

 この20年で我々の生活は激変した。要はインターネットが世界を変えたのだが、最大の転機は2008年のiPhoneの登場だった。インターネットだけでは社会のIT化はここまで進まなかった。GAFAにしても個人がネットを使っていつでもどこでもコンピュータにアクセスできる仕組みができたから巨大化したのだ。とっつきにくいPCに代わって、スマホが大衆を、そして社会を一気にインターネットに近づけた。

●次の20年はDXの時代だが。。。

 さて次の20年はどうなるのか?

 DX(デジタルトランスフォーメーション)が主役というのがもっぱらの定説だ。確かに今後はIoT(インターネット・オブ・シングズ)、つまりモノ同士がデータを介して対話し、そこから膨大なデータが生まれる。それをAI(人工知能)が食べて、人には見えない法則性を抽出してくれる。新たなサービスがそこから生まれる。だからDXは企業だけでなく個人や地域(都市)にも必須だといわれる。しかし未来は技術だけでひらけるわけではない。要はIoT、AI、ビッグデータを使って何をするか、どういう課題が解決できるかが大事だ。

 未来に向けた課題として外せないのが地球温暖化問題だ。これは厳密にはCO2削減、エネルギー消費削減、そして省資源、廃棄物削減の4つの策に落とし込めるが、これとITを重ねると見えてくるのが「サブスクとシェアリング」である。

車の例が典型だがサブスクとシェアリングは現在、5%ともいわえる車の稼働率を劇的に上げる。個人が所有せず社会で共有するようになれば今のような大量の新車の生産は不要になる。ひいては省資源、省エネ、廃棄物とCO2削減に寄与する。

 その意味で筆者はひょっとすると次の20年は車だけでなく、家具や家電商品、産業機械などあらゆるモノの所有がことごとくサブスクとシェアリングに移行し、それがスマホの次に時代を変えるドライバーになるような気がする。

●サブスク&シェアリングによるモノのサービス化に着目

 スマホの次は何かという議論が盛んだが私は「次は腕時計型かメガネ型か」といったどういうデバイスがスマホに代わるのかという話しよりも、今は限定的な「シェアリング」と「サブスクリプション(サブスク)」というサービスの普及ではないかと考える。ちなみにサブスクは単なる“月額課金制度”ではない。「モノの所有」を「サービスの利用」に変えてしまう。そしてさらにそれがシェアリングを伴う場合には商品やサービスの姿、そして企業のビジネスモデルや社会のあり方まで飛躍的に変えると思う。

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慶應大学名誉教授、経営コンサルタント

専門は戦略と改革。国交省(旧運輸省)、マッキンゼー(パートナー)を経て米ジョージタウン大学研究教授、慶應大学総合政策学部教授を歴任。平和堂、スターフライヤー等の社外取締役・監査役、北九州市及び京都市顧問を兼務。東京都・大阪府市・愛知県の3都府県顧問や新潟市都市政策研究所長を歴任。著書に『改革力』『大阪維新』『行政評価の時代』等。京大法、米プリンストン大学院修士卒。これまで世界119か国を旅した。大学院大学至善館特命教授。オンラインサロン「街の未来、日本の未来」主宰 https://lounge.dmm.com/detail/1745/。1957年大阪市生まれ。

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