3月8日は忠犬ハチ公の命日。
2022年はハチ公の生誕99年に当たる年です。
ハチは生後間もなく秋田から松濤にあった上野栄三郎博士の家に引き取られ、博士の急逝後も10年間 渋谷駅前に通って博士を待ち続けた…というのは有名な話ですね。

実はこのハチ公物語の舞台は、今の奥渋谷だったのをご存じでしょうか？ ハチは博士が亡くなった2年後、上野家に出入りしていた犬好きの植木職人 小林菊三郎さんの家に引き取られたのですが、その小林邸（現存せず）が今の富ヶ谷一丁目通り商店街の側にありました。どの辺かというと、白い牛のオブジェが目印の「＆CHEESE STAND」のすぐ裏手あたり。

ハチ公はこの辺りから、松濤にあった上野邸を経由して渋谷駅に毎日通っていたのです。文化村通りに通じるこの道は、今はお洒落なカフェやショップが立ち並ぶ奥渋谷のメインストリートですが、当時は「大向通り」と呼ばれるのどかな通学路（今の東急百貨店本店のある場所に大向小学校があったため）でした。

この道と並行するように、かつて宇田川が流れていた暗渠「宇田川遊歩道」も渋谷に向かって伸びています。ハチが宇田川沿いの道を通って渋谷駅に毎日欠かさず通っていた頃のことを思うと、この白い牛さんにも、どことなくハチの面影が宿っているような…(勝手な妄想です）

富ヶ谷一丁目商店通り街にある「＆CHEESE STAND」は、NHK側にある「SHIBUYA CHEESE STAND」（2012年オープン）の2号店。店内奥にチーズ工房を併設しており、自家製フレッシュチーズをはじめ、チーズに合う商品を提供する食のセレクトショップです。

チーズとのマリアージュを考えたオリーブオイルやはちみつ、ピクルスなどが厳選されており、チーズ好きにはたまらないセレクト。

こちらのチーズはどれも感動的に美味しいのですが、今回気になったのが、2022年3月に登場したばかりの新商品3種。左から「東京ブラウンチーズ」1700円、「東京白カビチーズ」972円、「東京白やなぎ」972円(全て税込）。

中でも特に魅かれた「東京白やなぎ」を賞味してみました。こちらは乳酸発酵によりミルクを固める酸凝固タイプのチーズ。

熟成が進むにつれ、とろっとしたクリーム状の“アフィネ”に変化していくそうで、冷蔵庫で二週間ほど熟成させるつもりだったのですが…欲に負けて禁を破ってしまいました!

乳酸菌由来のしゅっと爽やかな酸味と、ふわっとぬける酵母の奥深い風味は、ちょっと今まで食べたことのない味わい。ハチミツをかけて食べたら、くらっとするほど美味なレアチーズケーキに変身！ ぜひ お試しあれ。

――再び ハチの話に戻りますね。ハチの命日は3月8日ですが、「忠犬ハチ公の日」はその1ヵ月後の4月8日です。ハチは53歳で急逝した上野博士とはわずか1年ほどしか暮らしていないにもかかわらず、生涯ずっと富ヶ谷から渋谷駅に通って博士を待ち続け、最期は今の渋谷ストリーム付近でひっそりと病死していたそうです。

渋谷駅前のハチ公像は、ハチが生きていた1934年に建てられましたが、第二次大戦中にやむなく供出され、現在のハチ公像は戦後の1947年に再建されたものです。100年近い歴史の中で、ハチ公像は激変する渋谷を誰よりもじっと見つめ続けてきた存在といえるかもしれません。今の奥渋谷や高層ビルが林立する渋谷駅周辺を見て、ハチはいったい何を思うのでしょうか――。ハチにインタビューができるなら、ぜひ聞いてみたいです。

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& CHEESE STAND
住所：東京都渋谷区富ヶ谷1-43-7
営業時間：11:00〜20:00　
定休日：月曜日・年末年始(ただし月曜日が祝日の場合翌平日休み)
TEL：080-9446-8411
URL：https://cheese-stand.com/

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