デ・ブライネのファルソ・ヌエベ(偽背番号9/ゼロトップ)を徹底考察。
ファルソ・ヌエベーー。その登場は、世界のフットボールに大きな影響を及ぼした。
ファルソ・ヌエベ(偽背番号9/ゼロトップ)の使い手として、代表的なのはジョゼップ・グアルディオラ監督だ。グアルディオラ監督はバルセロナ時代にリオネル・メッシをそのポジションに据え、彼の才能を開花させた。
ただ、ファルソ・ヌエベのルーツは、バルセロナでもなければ、グアルディオラでもない。1950年代のハンガリー代表で、それは施行された。ヒデクチ・ナーンドルを最前線に置き、圧倒的な攻撃力を誇るチームは当時最強だと謳われていた。
だが”グアルディオラの監督史”でいえば、初めてファルソ・ヌエベが使われたのは2008-09シーズンである。シーズン後半戦のクラシコで、グアルディオラは3トップの中央にメッシ、左ウィングにティエリ・アンリ、右ウィングにサミュエル・エトーを組み込んだ。
「グアルディオラはシステムチェンジを行った」とは中盤に君臨していたシャビ・エルナンデスの言葉である。「アンリとエトーには、相手のサイドバックとセンターバックの間でプレーするように要求した。レアル・マドリーのセンターバックを分析して、ペップは9番の選手が下がった時にプレッシャーを掛けに行かないと踏んでいた。だからメッシが中盤に降りてきて、ファルソ・ヌエベでプレーすれば、僕たちはボールを保持しながら常に数的優位を作ることができた」
(メッシのファルソ・ヌエベ)
■シティとデブライネのファルソ・ヌエベ
シティでは、デ・ブライネがファルソ・ヌエベのポジションに入った。
正確に言えば、グアルディオラはデ・ブライネとベルナルド・シウバを使い分けながら、ファルソ・ヌエベを進化させてきている。それは同時に【4-3-3】と【4-4-2】の併用を意味した。
守備時にデ・ブライネとB・シウバを2トップ化するシステムで前線からのプレスを強化。そして、攻撃時にそのどちらかがサイドに流れるか中盤に降りることで数的優位の確保が可能になった。
リャド・マフレズとフィル・フォデンが、アンリとエトーになる。つまり、彼らが斜めのランニングで中央に入ってきて、相手のディフェンスラインを揺さぶるのだ。
(全2089文字)
■CFの不在
一方、この戦術で割を喰うのはセルヒオ・アグエロやガブリエウ・ジェズスといったストライカータイプの選手たちだ。
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