冬のアウトドアレジャーに役立つ!山岳ガイドの重点チェックポイント 暖かい登山靴編
12月になると北極圏で生まれた強い寒気がユーラシア大陸を横断し日本列島に近づいてきます。地球全体の大気の循環に左右され、2018年2月の福井豪雪以降、2シーズンは本当に雪の少ない年が続きました。
あと一週間で2021年です。年末寒波がやってくるという気象予報が出ていますが、身近なアウトドアに出かける方もいるかと思います。
日本列島は海抜ゼロメートルから3000mの山岳地帯を有するため、雪山はゴールデンウィークまで5カ月以上楽しめます。
コロナ感染防止対応でお出かけも制限されていますが、防寒対策の一環として参考にしていただければとてもうれしくです。
保温性が高い靴といえば防寒ブーツと冬山登山靴です。それぞれ、どのような特徴があるでしょうか。
☆ 防寒靴(ブーツ)の特徴
防寒靴(ブーツ)は寒冷気候の街中から滑落危険がない山地や雪原でのアクティビティにふさわしいです。保温性に重点が置かれています。
甲から脛にかけてカバーするアッパー形状は踝を覆うミッド丈から脛まで覆うミッド丈が一般的です。素材も保温性重視タイプもあれば、雪などの濡れへの対応を重視したものなどがあります。
寒冷地や雪国への観光、雪原、冬のキャンピングに活躍します。
防寒ブーツは登山靴のように自分の足と靴自体を密着させ一体化するためのつま先から足首までの靴紐で強く締める仕様ではありません。血流を妨げず、足を暖かい布団で包む感覚に近いでしょう。
熱が伝わりにくく、雪や氷の低温でも堅くならずグリップ力を保つラバー材質であったり、氷表面にできる水膜を壊しスリップしにくくする素材を練り込むなど個性的なものが多いです。
注意:堅い雪面、氷化した斜面、アイゼン装着が必要な登山で使いません。
☆ 冬山登山靴の特徴
冬用登山靴は、凍傷の危険が予測される気象条件、且つ堅雪から氷化した雪面、氷化した岩場など目まぐるしく変化する山岳エリアで使います。
最も重点が置かれるのは確実な雪面のグリップとアイゼン(クランポン)の確実な装着といった「命を守る機能」です。
その基本機能に加えて凍傷を予防する「十分な保温性」が備わっています。
1:脛の中ほどまで覆うハイカットタイプです。
ぶ厚い皮革と丈夫な樹脂やラバーを組み合わせた外層と保温層を組み合わせた複層モデルです。
2:靴底はフラットで剛性が高く、厚く、彫りの深いラバーパターンです。
靴底の先端部分形状は歩きを重視した夏山向きモデルに比べて、たいら(フラット)なのはアイゼンと登山靴の一体化のためです。特に前爪を多く使う場面での安定感が良くなります。
アイゼンを装着せずに雪面に蹴り込むキックステップでは高い剛性とフラットな形状は、蹴りこむパワーを無駄に使うことなく雪面に食い込み、疲労を軽減します。
厚く積層された靴底が靴裏からの冷えを低減させます。
積雪は温度や含まれる水分量、結晶の形などでその振る舞いは刻々と変化します。湿雪は靴底にこびりつきます。アイゼンの装着時も同様です。これを「雪団子」といい、スリップ転倒の原因のひとつです。アイゼンには付着防止プレートなど工夫されていますが、小まめなチェックは欠かせません。
ピッケルなどによる「雪団子落とし」は基本的な雪山技術です。安定した場所で練習して身に付けましょう。
⇒ 冬山登山靴を雪のない季節に使うと靴底ラバーに傷がたくさん付きます。傷んだ靴底は雪離れが悪く「雪団子」が付きやすくなります。
3:前爪付10~12本爪アイゼンを確実に装着可能なコバがあります。
つま先(トウ)と踵(ヒール)の両方に彫の深いコバがあるモデルはアイゼンを装着して厳しい環境での登山を意識しています。
登山靴製造各社のフラッグシップモデルに採用されることが多いようです。
スリーシーズン用登山靴の冬使用について
踵(ヒール)のみにコバがあるモデルはアイゼン装着を想定した夏用(氷河と雪渓対応)モデルにも幅広く採用されています。保温性は重視していないモデルです。
⇒ コバが付いていても保温性を強化していないモデルは冬山登山靴とは呼びません。
ただし、太平洋側気候に支配される冬晴れの山岳や1000m級の日帰り雪山において、数時間から半日くらいの歩行の後には安全で温かい場所に下山できるなら、スリーシーズン用の踵コバ付きモデルを試してみる価値は大いにあります。
4:天然素材特有の保温性がある「皮革」に水分を含みにくい加工をした外層と保温層、防水フィルム層を重ねてアッパーはつくられています。
アイゼンストラップや外圧に変形しにくい形状を保ちます。足指は靴の中で動かせる状態が理想です。 ⇒ 冷えた足指が凍傷にならない為です。
5:足入れ部分に追加された「保温のためのネオプレン素材のカフ」は靴と足の隙間から温かい空気が逃げるのを防ぎます。
注意:カフを持たない冬山登山靴もあります。
6:見えにくい内部構造について
* アッパー素材に組み込まれた「保温材(インシュレーション)」
* 厚みのある靴底にサンドイッチされた「保温性が高い素材シート」
* ゴアテックスなどの透湿防水フィルム
7:保温力を向上させる工夫
*ロングゲイターを使います。
雪の侵入と汚れ防止以外に、登山靴アッパーと足首からの熱喪失を減らします。
*インソールを保温性の高いモデルに交換します。
インソールはフットベットともいいます。足裏の冷えを軽減します。乾いた状態を保つのも大切、一日の終わりにはインソールを靴から引き出して乾かしておきましょう。
*新しい靴下に交換しておきます。
毛が抜けて肉厚が減ったソックスは保温性が悪くなってきます。汗で湿った場合は予備と交換すると良いでしょう。
*アッパー素材の撥水性を強化します。
雪や岩で擦られ、泥などで汚れて撥水性が低下していきます。アッパー素材自体が水分を含むと「重くなる・冷えてくる・凍る」といった不都合な状況が出てきます。雪山でも陽の差す日中は気温が上昇します。雪は湿り気を含み重たくなり、登山靴を濡らすことが多くなります。
⇒ 既に汚れている場合は靴専用洗剤で洗い、撥水剤で処理します。雪上のみで使っているならば、定期的に撥水剤を施すことをおすすめします。
自分に最適な冬用登山靴、最適解は意外に少ない、その訳は?
⇒ 足形状とサイズなどの個人差
⇒ メーカーアイテムの木型(ラスト)
⇒ 供給量の少なさ
今後3年程度を目標に冬の雪山に出かける予定があるならば、登山用品店に行って2~3モデルを試し履きしてみましょう。フィットしたものに出会ったなら、そのタイミングで購入してしまうほうが無難です。サイズが小さい方、外反母趾など足に変形がある方は早めに探すのが良いでしょう。
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