大人の日帰りウォーキング 誰かと一緒に楽しむ旅も良いけれど、私は気楽なひとり旅が好きな理由
ようやく、今日の予定の半分を歩いた。まだ、半分だけどね。
朝9時の少し前から歩き始めて、この辺りでようやく15km。公園のベンチで休憩をして、簡単にお昼ご飯も食べた。時間は13時になろうとしている。リュックのポケットに入れているマイボトルのお茶を飲み干して、満タンに入っているボトルに交換して出発する。
すぐ近くには熊谷駅(埼玉県)であり、駅直前の踏切で線路を渡ろうとして、線路の多さに驚いた。まず、踏切で秩父鉄道を渡り、北陸・上越新幹線の高架下をくぐり、最後に高崎線の線路を渡った。100m程の距離に線路がひしめき合っていた。旧中山道はその先で国道17号と合流する。
この辺りの国道17号は、片側二車線の道路に整備されているが、もう少し西側に17号熊谷バイパスが作られているので、こちらの道路にはトラックなど大型車の往来は少ない。
街道沿いに古い建物が点在しており、宿場町であった面影を感じられるが、駅前の街並みと言うほうがしっくりくる。高札場であった場所には、説明版と石碑が作られており、札の辻跡として残されている。
熊谷駅の手前で休憩してお昼ご飯を食べたけれど、何だか食べ足りない。食べたのはおにぎりとお稲荷さん、かんぴょう巻きを各1個で合計3個。炭水化物ばかりで、栄養バランスを無視したおばさんの体には優しくない食事内容である。ご飯の量だけで考えると、食べ過ぎにも感じるけれど、街道歩きは体力を使うのでこれくらいは食べている。
歩く旅をするとおなかが空く。自分が想像する以上におなかが空くので、何時もは、何かしらの食べ物をリュックの中に忍ばせている事が多く、すぐに血糖値が上がり空腹が癒やされるような甘いカステラやバームクーヘンはとても重宝する。
今日はバームクーヘンを持って来ている。お昼を食べたばかりだけれど食べちゃおうか。
近所のスーパーで買ったお買い得価格のバームクーヘンはそれなりに美味しかったけれど、口の中の水分が持っていかれるようで、お茶をごくごくと飲んだ。お値段とおいしさの関係は反比例しないことをこの歳になっても学習せず、同じことを繰り返す貧乏性は私である。今度はしっとり感があるおやつを買おう。
歩き進んだその先で、中山道は国道17号より脇道に入り、次の一里塚についた。熊谷駅手前にあった一里塚が日本橋から16番目だったから、次は17番目になる。
一里塚は石垣で囲われて大きな切り株だけが残っている。説明版を読んでみると、樹齢300年以上のケヤキの大木が残っていたが、平成22年と30年の豪雨により伐採することになったとある。
残念だ。樹齢300年のケヤキの大木を見たかった。もう少し早く街道歩きをしていればなぁと思うけれど、仕方がない。
旧中山道は再び国道17号に合流すると、東京から70kmと書かれている距離標があった。国道17号は東京日本橋が起点であり、中山道に沿って北に伸びている国道である。
ここまで70kmか。よくがんばったなぁ、私。たまには自分で自分を褒めてみる。
旧中山道、国道17号は首都圏を突き抜け、交通量の多い場所を抜けてきた。仮に時速50kmの自動車で走れば、1時間30分程の時間で移動できる距離だと計算になり、文明の利器に感謝するとしか言いようがない。日帰りで歩きつないできた私はすでに4日目になっている。
そして、距離標の下に深谷まで7kmと書かれているのを見逃さなかった。深谷は今日を目的地である。そろそろ先は見えてきた。顔に嬉しさがでてしまう。
再度、国道17号の脇道に入り旧中山道を歩き進む。国道は歩道が整備されていているけれど、旧街道は交通量が少なく落ち着いているので歩きやすい。時々、道を間違えて、歩いて戻ったりするけれど、それも楽しいし思い出に残る。特に、道を間違えた場所は忘れられない。
やはり、1人旅は気楽なのが良い。
誰かと一緒に歩く旅をするのは、それはそれで楽しい。気が乗らない理由があるのかと聞かれると、ある。はい、私はあまり気が乗らない。
もともと、人付き合いが得意ではない。そして、人間関係の中で上手に振る舞うのが苦手なので、渦が出来ると瞬く間に飲み込まれてしまう。だから、人付き合いはできる限り避けて通りたいと思っている。
おばさんになってようやく、子どもの成長にともない親の付き合いがなくなったのは、かなり気持ちが楽になった。もう、これ以上の人間関係を増やしたくない。
これからは、自分の時間を自分が楽しく過ごすのが良いと思っている。人と時間を共有するのは楽しい時間も共有できるけれど、自分1人で気兼ねがなく、自分が楽しいと感じる時間を過ごしても良いじゃないか…。
しかし、私にも今まで生きてきた中での人間関係は少なからずある。上手に生きてこれなかった私の数少ない人間関係を、意図的に減らす必要はないと思う。ましてや、私に連絡をくれる人は片手でも十分数えられる程しかない。由美子さんとも、晴美さんとも今まで通り、つかず離れずの関係を大切にしたいと思っている。
晴美さんと一緒に街道ウォーキングに行く計画を考えないと。東海道はどうかなぁ…。
足が重くなってきた。そろそろ、体力勝負のようになってくる。
目的地まで5kmを過ぎれば、残りは黙々と歩いても到着する。足は重いけれど、歩けないことは程ではない。もう少し、頑張ろうか。
おや、松の木だなぁ。
道路脇に植えられている街路樹が松であることに気が付いた。街路樹に松は珍しい。
深谷宿のはずれになるこの辺りには、江戸時代に松や杉が400本以上もある並木だったという。その松並木にある1本の松の木が見返りの松と言われている。
深谷宿で宿をとった旅人が、一夜の別れを惜しんで振り返ったことから、見返りの松と言われるようになった。見返りの松は平成18年に枯れてしまい、現在では二代目の松になっている。二代目の松も結構大きな松である。
ようやく、目的地であるJR深谷駅に着いた。
レンガ造りの、まるで東京駅のような立派な建物に迫力を感じる。駅の前に銅像があった。深谷だから渋沢栄一氏だよねと思いながら銅像を見上る。日本資本主義の父、一万円札か。
福沢諭吉も良かったな。時代の移り変わりを感じながら、取り残されないように、老害と言われないように、おばさんも大変なのである。結構、大変かも。
そして、近くにあった深谷市のご当地キャラクター、ふっかちゃんのからくり時計がかわいくて、ふっかちゃんグッズをお土産に買って帰ろうかな。そう思ったけれど、歩く旅でおなかが空いた。とりあえずおにぎりを食べたい。深谷駅の階段を上り、まずはコンビニを探した。
今回の歩いたコース
※注 参考書籍:ちゃんと歩ける中山道六十九次東 八木牧夫著 山と渓谷社
これまでの話はこちら<内部リンク>
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中編:健康と運動に悩む友人の誘いを断れず、一緒に行く歩く旅の計画を立ててみる
最初の話:おばさん2人が1日20kmウォーキングにチャレンジする話
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