春ドラマで気になる若手女優2人 『Re:リベンジ』後輩記者役・見上愛、『366日』遥斗妹役・中田青渚
4月期の春ドラマスタートから1ヶ月。当初の全体的な盛り上がりから、徐々に作品ごとの明暗が分かれてきているなか、好演でつめあとを残す助演女優が多いのが今期の特徴のように感じる。
とくに気になるのが、『Re:リベンジ-欲望の果てに』で主人公の後輩記者役を演じる見上愛と、『366日』で主人公の妹役の中田青渚だ。
(関連記事:『ふてほど』不良少女役・河合優実、売春を12歳から毒親に強いられる悲痛な少女役の『あんのこと』)
神秘的なオーラをまとう見上愛
『Re:リベンジ』で見上愛が演じるのは、主人公の出版社時代の後輩記者。罠にはめられ孤立した主人公をただ1人信じ、仕事の先輩後輩の間柄を超えて献身的にサポートする。クールで気が強そうなイメージのビジュアルとは正反対の一途な行動のギャップが映えている。
見上愛は、2019年に女優デビュー。翌年に『恋はつづくよどこまでも』で連続ドラマレギュラー出演、2021年に映画『衝動』で映画初主演。2022年にドラマ『liar』でテレビドラマ初主演と実績を積み上げ、放送中のNHK大河ドラマ『光る君へ』では藤原道長の娘・藤原彰子役を演じている。
すでに多くのテレビCMにも出演しているが、印象的なのは長澤まさみと共演するJRA「HERO IS COMING」「UMAJO(ウマジョ)」だろう。デビューからわずか4年で飛躍的に活躍の場を広げている。
そんな彼女の魅力は、特徴的な目力のある表情と、和装が似合いそうな神秘的な雰囲気がまず挙げられる。清廉潔白とはどこか異なる、クセのあるオーラが、演じる役ごとに見上愛ならではのカラーに染まり、そこに芝居の良さが加わることで、群衆の中でもはっきりとわかるような唯一無二の輝きを放っている。
陽陰が混在する複雑な人物像を体現する中田青渚
中田青渚は、『366日』で事故で脳に障がいを負う主人公の妹役を演じている。兄を思う優しい妹の姿だけでなく、兄の恋人にきつい言葉を浴びせるシーンなど、病床の兄を持つ妹の喜怒哀楽の感情を真っ直ぐに届ける心温まる芝居で、毎話視聴者の涙を誘う。
中田青渚のドラマ初出演は2016年。2018年に『中学聖日記』で連続ドラマ初出演、2021年には映画『街の上で』でヒロイン役を演じ、映画賞で新人賞受賞。2022年には、NHK BS『善人長屋』で連続ドラマ初主演を務めている。
ドラマに多く出演しているが、なかでもNHK朝ドラ『らんまん』の田邊彰久(要潤)の妻・田邊聡子役での槙野寿恵子(浜辺美波)との微妙な距離感で感情を交わす好演は、記憶に新しい。
アイドルのようなフォトジェニックなビジュアルだが、気が強いクールな女性役も、物静かな心優しい女性役もしっくりくる。『366日』では、爽やかさのなかに、ときに影がさす複雑な人物像を、説得力のある芝居で体現している。陽陰を混在させたような佇まいが彼女の魅力だろう。
2人とも第一線で広く活躍する新鋭女優だが、今回のドラマでの視聴者に強い印象を残す好演は、この先のさらなる飛躍につながっていく予感がある。
【関連記事】
石原さとみ、スタイルは崩れ肌は荒れ…「自分が崩壊するほど苦しかった」 出産を経た復帰作で悲劇の母親役
“パンツまだ脱いでない”不良少女を体現する河合優実、『不適切にも』可愛らしい悪役が残したつめ跡