笑い声でも舌打ちされる世の中。子連れで公共交通機関を使うためには
先週話題になっていた「舌打ち」。
Twitter上での「電車内で泣く子どもに対して舌打ちをすること」のやりとり(NAVERまとめ)を受けて、Yahoo個人でも小川たまかさんの記事、BLOGOSの本山さんの記事など、話題になっていましたね。
私にも舌打ちされた経験、もちろんあります。けれど、そんな話は、「子どもかわいいですね~!」と言ってくれる女子学生やこれから子どもを産もうとしている女性には実は話したことがありませんでした。
「電車内で大泣きしたら、舌打ちくらいしたくなるわな~」「泣くのは子どもの仕事だからちょっとくらいいいじゃないか」「母親の態度にもよる」など賛否両論あるのはもちろん承知。でも、私が経験したことがあるのは、泣き声に対する舌打ちだけではありません。
何をしてもダメ・・・
泣かないように、いっぱい話しかけて興味をこちらに向かせているときには、「話し声がうるさい!」と言われたり、静かに『いないいないばぁ』をして遊んでいると、笑い声がうるさいと独り言をつぶやかれたり、舌打ちされたり。
もちろん少しでも泣いたら、ビクビクものです。長男が初めて食べた飴は、混雑時に隣のおばさんに口の中に突っ込まれてしまった飴でした…。まだ0歳児だったので慌てて口から出して、「まだ飴を食べたことがないのでごめんなさい」とおばさんに平謝りをして電車を降りましたが、無言で飴を口に突っ込んだおばさんの姿がしばらく忘れられませんでした。
話かけてもダメ、笑わせてもダメ。もちろん泣かせてもダメ。スマホの音なしゲームで遊ばせようものなら、「だから今どきの母親は・・・」ともちろんお小言。
さて、子ども連れの私はどうしたらいいのでしょうか?
空いている時間を選んでもハプニングはある
大学内保育園に預けていた大学院博士課程時代、子連れで1時間通う生活を1年続けました。混雑時を避けるため、空いている電車に乗っていたにも関わらず、事故で途中駅で30分以上停車してしまい、再開時間が不明になったことがありました。その後混雑しだし、子どもは静かに寝ていたにも関わらず、ベビーカーがじゃまだと言われて、降りるよう促されてしまい、途中駅からの後発の電車にはもちろん乗れず。40分以上、ベビーカーを押して歩いて帰る、といったことも経験しました。
でも、きっと同じような経験をしている人はいっぱいいるのでしょう。自分が子連れで電車に乗るときには、自分の子どもが周りに迷惑をかけていないかで精一杯ですが、単身で乗るときには子連れパパママの姿が気になります。妊婦になったときに、世の中こんなに妊婦さんが多かったんだ!と改めて気になったように。そして、少しでもこの対応は素晴らしい!と思ったことは、自分でも取り入れさせてもらっています。
「電車の混雑時間、急いでいる人がいる時間は絶対に避けること」
に加えて大事なのは、
「自分に時間の余裕、心の余裕があること」
注意されたということは、人に不快感を与えたということ。それ対して「子連れで公共交通機関に乗る権利はある!」とはむかっても得るものはないのでぐっと我慢すること。これが5年間子育てをしてきて学んだ知恵ですが、日本は本当にこれで良いのでしょうか?
BLOGOSで本山さんが日本は「人様に迷惑をかけない至上主義」だとおっしゃっていますが、まさにそう。
テクノロジーで解決できることも
電車に乗るときには、使用する駅の駅構内マップをあらかじめじっくり見比べ、ホームにある乗り換え案内をもとに「4号車に改札行きエレベータがある」などの情報を仕入れて家を出発します。
特にエレベータの位置の確認や、階段なしで行けるルートがあるかどうかを念入りにチェック。例えば、A線からB線に乗り換えたいとき、C駅でも隣のD駅でも乗り換えができる、といった箇所が東京にも大阪にも複数個所あります。けれど、「階段ナシにスロープだけで」という条件がついたとたん、「C駅では乗り換えず、D駅で乗り換え」と決まるケースもあります。どうしても階段がある場合には、ベビーカーをあきらめて抱っこひもででかけるという選択肢を取ることも。
そして、最短ルートが最適解ではありません。最短ルートはみなさんが使いたいルートなので、そこにちょうど良いドアはたいてい混雑するからです。
スマホアプリ『こみれぽ』は、電車の混雑具合をユーザ同士が教え合うといったリアルタイムなアプリです。けれど、現状では発信してくれる人が少ないため、乗りたい電車の最新の混雑状況投稿が当日であることはなかなかありません。
ポストマップは、郵便ポストの集荷時間がマッピングされているサイトですが、これはユーザがみんなで作り上げていくサイトです。これが実に便利。このようなユーザ参加型サイトで、電車版混雑予想マップが作ることができたら少しは便利になるのではないかな、と思います。
1時間後に乗れば空いているのか、1時間前にしたほうが空いているのか。さらに、1両目はベビーカーのまま入れそうだけれど、5両目だとたたまないと無理そう、などという車両ごとの混雑具合。自分の乗ったことのある電車は経験上知っていますが、初めて乗る路線でもこれが検索できたらとても便利そうです。
全国の76%で採用されているホームの乗り換え案内も、もともとは個人の売り込みから全国へと広まった例として有名。
子連れ専用車両は今現在はありませんが、みんなで『子連れで○両目に乗ります!』とすれば、乗る人は乗りやすいし、嫌な人はその車両を避ければ良いという構図が生まれる可能性もあります。鉄道会社が動かなくても、世の中を変えることはできるかもしれません。
乳幼児マークの導入
飛行機には予約する際に、赤ちゃん連れを示す『幼児マーク』が出ます。とある出張で飛行機を予約して、事前座席指定をしようと画面に進んだら、このような画面が出てきてびっくり!
なんと幼児連れの多いこと!思わず画面キャプチャしてしまいました。しかし、このような状況だと知らずに乗るのと、知っていて自分で座席指定をしてあきらめ半分で乗るのと、気分が違いますよね。
しかし新幹線の予約にはこのような幼児連れマークはありません。例えば、東海道新幹線の11号車には多目的室がついており、子連れ新幹線の際には、11号車付近の予約を取るのがママさん界隈では定石。しかしそれを知らずに到着駅の出口に近いから、と子どもの泣き声が嫌いな人が予約したら、お互いに不幸ですよね。
新幹線では乳児や幼児は運賃が無料なので飛行機の予約システムのような乳幼児連れマークは出ないのだとは思いますが、大人の切符を買うときに、子連れです!と申告するようなシステムにすれば実現可能ではないでしょうか。
子連れ出勤や出張を促すには
職業柄、子連れで出張に行くことも多いですが、出張先の学会や会議で文句を言われたことは実は皆無。けれど、往復の公共交通機関でへとへとだったりします…。
保育園に入れるかどうか悩んでいる友人に、「職場に託児所作っちゃえば?」と聞いてみたことがあります。彼女の行動力があればそのくらい簡単にできそう、と思ったから聞いてみたのですが、返事は、「子連れの道中が大変」とのこと。「社内でも必要に迫られているママさん多いから、作ろうと動けばできるとは思うんだよね。でも、子連れでの往復の通勤を考えると辛い。」
公共交通機関が子どものいる、いないに関わらず、もっと快適になれば、出先に子どもを連れていく、という選択肢も増えて、待機児童の緩和にも間接的につながっていくのではないでしょうか。