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今さら聞けない!ネット利用をする際には気を付けておきたいフィルターバブルとは #専門家のまとめ

五十嵐悠紀お茶の水女子大学 理学部 准教授
フィルターバブルは内側にいることに気がつけない(提供:イメージマート)

インターネットで検索して情報を入手する際には是非知っていたい言葉である「フィルターバブル」。2011年に提唱された概念ですが、いまだその影響は課題です。インターネット検索などのサービスでは、よく閲覧するものが優先的に上位に表示されたり、SNSでは自分と同じ意見をよく見かけたりしています。一見便利なようですが何に気を付けなければいけないのでしょうか。

ココがポイント

フィルターバブルとは、「自分とは違う意見や情報が見えにくくなっている」状態のこと
出典:データで越境者に寄り添うメディア データのじかん 2018/8/27(月)

パーソナライズされているにも関わらず、「通常」の検索結果だと認識してしまいます。
出典:トレンドマイクロ (JP) 2024/5/16(木)

クリントン氏を支持する(中略)経営者は、選挙期間中にFacebookのフィード上で、一度もそのブログ記事を目にすることがなかった
出典:エレミニスト 2020/10/27(火)

アルゴリズムによって石丸氏の関連動画が(中略)「フィルターバブル」と呼ばれる現象に結びついた可能性もある
出典:産経ニュース 2024/7/8(月)

エキスパートの補足・見解

インターネット上には非常に多くの情報があります。その中から私たちがなるべく早く欲しい情報にたどり着けるように、検索エンジンの会社やSNSなどでは、検索のためのアルゴリズムを個人にあわせて提供しています。これをパーソナライズと言います。その結果、高い利便性がある一方で、フィルターバブルによって視野が狭くなっているかもしれません。SNSで自分と似た意見ばかりに接していると、たとえそれが少数意見だったとしても主流の意見のように感じてしまうという怖さもあります。自分自身ではそのフィルターバブルの中にいることに気がつけないのです。実際に、上記で挙げたように、2016年に行われた米国大統領選挙、2024年7月にあった東京都知事選挙など、選挙においてもフィルターバブルの影響が指摘されています。

フィルターバブルの影響があることを自分自身が知り、視野を広く持つことが大事です。試しに他の人の検索結果と比べてみましょう。また、インターネットだけでなく、新聞や雑誌など異なるメディアから情報収集をすることで、予想外の情報に出会える機会が増え、セレンディピティ(偶然の幸運な発見)がもたらされることも期待できます。

お茶の水女子大学 理学部 准教授

東京大学大学院工学系研究科博士課程修了.博士(工学).日本学術振興会特別研究員PD, RPD(筑波大学), 明治大学総合数理学部 専任講師,専任准教授を経て,現職.未踏ITのPM兼任.専門はヒューマンコンピュータインタラクションおよびコンピュータグラフィックス.子ども向けにITを使ったワークショップを行うなどアウトリーチ活動も行う.著書に「AI世代のデジタル教育 6歳までにきたえておきたい能力55」(河出書房新書),「スマホに振り回される子 スマホを使いこなす子 (ネット社会の子育て)」(ジアース教育新社),「縫うコンピュータグラフィックス」(オーム社)ほか.

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