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コンピュータグラフィックスの国際会議「SIGGRAPH 2024」を振り返る #専門家のまとめ

五十嵐悠紀お茶の水女子大学 理学部 准教授
SIGGRAPH 2024 https://s2024.siggraph.org

コンピュータグラフィックスとインタラクティブ技術の国際会議SIGGRAPH 2024(シーグラフ)が米国DENVERにて7月28日(日)~8月1日(木)まで開催されました。研究者やエンジニア、アーティスト、デザイナーなど、コンピュータグラフィックス(CG)に携わる多くの人が集まる国際会議で、今年の夏に発表された最新の技術や作品の紹介をしたいと思います。

ココがポイント

グラフィックAIの最前線を知るには、(中略)『SIGGRAPH 2024』で発表された技術論文をあたるとよい。
出典:リアルサウンド 2024/8/30(金)

AI活用を(中略)している研究や、AIの存在がそのCG研究の根幹をなすもの、AIの活用によって新しい領域が開拓されたCG研究を中心に紹介
出典:モリカトロンAIラボ 2024/8/30(金)

NVIDIA Research の 20 を超える論文では、(中略)合成データ生成と逆レンダリング ツールを進化させるイノベーションが紹介されています。
出典:NVIDIA 2024/7/19(金)


Electronic Theater 2024に日本人の学生作品が入選

エキスパートの補足・見解

生成AIというとChatGPTが思い浮かぶかもしれませんが、画像、音楽、テキストなど多岐にわたって活用されています。特に今年のSIGGRAPH 2024の技術論文セッションである「Technical Papers(テクニカルペーパー)」では上記の記事のように生成AIをグラフィックスに活用した研究・技術が多く発表されていました。

また、「Electronic Theater(エレクトロニック・シアター)」は、アカデミー賞のノミネート作品の選考対象となるフィルム・フェスティバルの1つとされており、Electronic Theaterで作品が上映されることは大変名誉あることと言えます。日本人学生の作品「Origami / 折紙」が16年ぶりに入選したとのことで、今年の夏は界隈で話題になっていました。コンピュータグラフィックス(CG)で折り紙を表現するのはとても難しいこと。薄っぺらい紙なので一見厚みを無視してCGで表現できるように思うかもしれませんが、厚みを考慮しないと何度も折り返したり、重なりを適切に表現することができないのです。細かいところまで作り込んであるこの作品に引き込まれた人が多くいたのでしょう。

お茶の水女子大学 理学部 准教授

東京大学大学院工学系研究科博士課程修了.博士(工学).日本学術振興会特別研究員PD, RPD(筑波大学), 明治大学総合数理学部 専任講師,専任准教授を経て,現職.未踏ITのPM兼任.専門はヒューマンコンピュータインタラクションおよびコンピュータグラフィックス.子ども向けにITを使ったワークショップを行うなどアウトリーチ活動も行う.著書に「AI世代のデジタル教育 6歳までにきたえておきたい能力55」(河出書房新書),「スマホに振り回される子 スマホを使いこなす子 (ネット社会の子育て)」(ジアース教育新社),「縫うコンピュータグラフィックス」(オーム社)ほか.

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