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アニメの一大祭典に日本のクリーピーナッツが現れファン歓喜。デュオ名の意味を米記者に問われる場も

安部かすみニューヨーク在住ジャーナリスト、編集者
(c) Kasumi Abe

日本のサブカルチャーの祭典「アニメNYC(ANIME NYC)」が23〜25日の3日間、ニューヨークで開催された。

今年の来場者数は、主催者発表によると10万1000人。毎年11月の恒例イベントだが、規模拡大に対応すべく、今年から8月開催となった。

会場ではVTuberのライブ、ゲーム展示、声優イベント、グッズや日本食の販売があり、コスプレ姿で来場したアニメ・漫画ファンの熱気に包まれた。

(c) Kasumi Abe
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『ドラゴンボール』のピッコロ役や『機動戦士ガンダム』のカイ・シデン役で知られる声優・古川登志夫さんがトークイベントを行った。

今年3月に亡くなった漫画家・鳥山明さんの追悼イベントも開かれた。

ライブ会場では特別ゲストとして、『マッシュル』の主題歌『Bling-Bang-Bang-Born』などで知られる日本のヒップホップデュオ、Creepy Nuts(クリーピーナッツ)が登場した。

ニューヨークで初ライブをしたクリーピーナッツ。2250席は完売し満席となった。(c) Kasumi Abe
ニューヨークで初ライブをしたクリーピーナッツ。2250席は完売し満席となった。(c) Kasumi Abe

ライブは熱気に包まれ、筆者は一瞬「ここは日本?」と勘違いするほどだった。と言うのも、MCが初めの挨拶以外すべて日本語で行われ、観客からは「最高!」「大好き!」などの返しもあったりと大盛り上がりだったから。観客の多くは、日本語の歌詞やMCの内容を理解しているようだった。

ライブを観に来ていたマイケルさんは『少年サンデー』の大ファンだと言う。「クリーピーナッツのことは最初に『だがしかし』で知り、その後『よふかしのうた』で改めて知りました」と日本語で話した。日本語版の漫画はいつもデジタルで購入しているのだと言う。

アニメ・漫画人気は海外での日本語習得熱にも繋がっていることを筆者は実感したのだった。

クリーピーナッツの(左から)DJ松永さんとR-指定さん。(c) Kasumi Abe
クリーピーナッツの(左から)DJ松永さんとR-指定さん。(c) Kasumi Abe

ライブ後、記者団の質問に答えてくれたクリーピーナッツの2人。これだけ世界のファンに愛されていることへの感想を聞かれると、「まったく想像していなかったけど、生のライブでわぁこんなにのってくれるんや、こんなに聞いてくれているんやって初めて実感しました」と答えた。

また、デュオ名についての質問も上がり、「名前は...後悔しています。日本以外の国の人に認知してもらうと思っていなかったから(こんなネーミングにして)恥ずかしい…」と答えると、場が笑いの渦に包まれた。(注:英語のCreepy Nutsとは人によって捉え方が異なるが、「不気味なもしくはゾッとするナッツ、変人、愚かなやつ」などというような意味にも取ることができる。英語のネイティブスピーカーによると子どもがDamn It!(くそッ)の代わりにNuts!と言うこともあるそうだ)

ほかにも「アニメNYC」の一環として、前夜祭の授賞式「American Manga Awards(アメリカン・マンガ・アワード)」が別の会場で行われた。ここでは、アメリカの漫画人気に大きく貢献したクリエーターらに各賞を授けた。

今年初開催となったこのイベントでは、『鉄腕アトム』や『はだしのゲン』など数々の有名作品の英語翻訳に携わってきたフレデリック・L・ショット(Frederik L. Schodt)さんが「マンガ出版殿堂賞」を受賞した。

マンガ出版殿堂賞を受賞したショット氏(左)ほか、各受賞者たち(日本から参加できなかった矢沢あい氏や九井諒子氏などの代理人も含む)。(c) Kasumi Abe
マンガ出版殿堂賞を受賞したショット氏(左)ほか、各受賞者たち(日本から参加できなかった矢沢あい氏や九井諒子氏などの代理人も含む)。(c) Kasumi Abe

筆者は偶然にも先日、『Barefoot Gen(日本語タイトル:はだしのゲン)』のコミックを読んだばかりだった。あの作品に携わったクリエーターをこのように知ることができ、作品をより身近に感じたのだった。

日本のアニメ・漫画人気は、今後も世界における日本のプレゼンスに大きく貢献していきそうだ。

(Text and photos by Kasumi Abe)無断転載禁止

ニューヨーク在住ジャーナリスト、編集者

米国務省外国記者組織所属のジャーナリスト。雑誌、ラジオ、テレビ、オンラインメディアを通し、米最新事情やトレンドを「現地発」で届けている。日本の出版社で雑誌編集者、有名アーティストのインタビュアー、ガイドブック編集長を経て、2002年活動拠点をN.Y.に移す。N.Y.の出版社でシニアエディターとして街ネタ、トレンド、環境・社会問題を取材。日米で計13年半の正社員編集者・記者経験を経て、2014年アメリカで独立。著書「NYのクリエイティブ地区ブルックリンへ」イカロス出版。福岡県生まれ

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