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アニメ、漫画、ゲーム...日本サブカルの祭典にファン集合。「進撃の巨人」諫山創に会場沸く

安部かすみニューヨーク在住ジャーナリスト、編集者
(c)Kasumi Abe

日本のサブカルチャーの祭典、アニメNYC(ANIME NYC)が今年も18〜20日の3日間、ニューヨークのジャヴィッツ・センターで開催された。

アニメ、漫画、コスプレ、ゲームなどのポップカルチャーファンが大集結し、開催事務局の発表では3日間で5万人を超える来場者があったという。

コロナ禍3年目の今年は、入場者全員に新型コロナのワクチン接種証明書か陰性証明書の提示が義務付けられたが、マスク着用は任意となった。

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個別の会場で行われた講談社USAのトークショーには『進撃の巨人』の漫画家の諫山創氏が登場し、場内は大歓声に包まれた。

同作は特にアメリカでもっとも売れている漫画の1つで、世界累計発行部数の1億部突破が伝えられている。うち販売部数は全体のシリーズを通して約100万部と言われる人気作だ。

ステージに現れた諫山氏は「初めて地球の裏側まで来ました」と通訳を通して挨拶し、冒頭から「オォ〜!」とファンから大歓声が上がった。

小学校の授業の一環で参加した廃品回収で少年漫画に出合ったという諫山氏。人喰い巨人が現れ人類が絶滅寸前というストーリー作りで影響を受けたものとして「山下清の怪獣がやりたかったんです」と言う。「子どもの頃見た怪獣の絵が怖い記憶として残っていた。進撃の巨人はこれに影響を受けたのだと描き終わった後に思い出しました」。

絵が下手だと自覚し、作品を東京の出版社に持ち込んだ時、まさか漫画家になれるともこんなに売れるとも思っていなかったと振り返る。諦めようとしていた矢先、担当者に生まれて初めて面白いと言われた。しかしその時でさえ「嬉しかったけど懐疑的だった」。漫画の世界では「連載が始まっても80%が打ち切りになる」。自分の作品も難しいだろうと思い、当初は「とにかく打ち切りにならない」が最大の目標だった。

『水曜日のダウンタウン』で笑い、サウナで汗を流すことで気分転換しているという日常生活のちょっとしたシーンについての話も。(c)Kasumi Abe
『水曜日のダウンタウン』で笑い、サウナで汗を流すことで気分転換しているという日常生活のちょっとしたシーンについての話も。(c)Kasumi Abe

ストーリー展開について「なんてひどいことするんだ」とか「もっとやれ」「スカッとした」など読者の意見が分かれるのが良かったと言う。結末は最初から決まっていたが、主人公のエレンについては決めていなかった。「描きながらエレンて思っていたよりいい奴ってなって、エレンがここまでやるのに説得力を持たせるためにストーリーを変えていき、結果うまくいかなくなった。ラストは自分でも難しいなと思いながら描いていました。すみません…」と詫びた。これに対してファンからは笑いと同時に「We love you」という声援と大拍手が沸き起こった。感激した諫山氏は「泣かないように...」と俯き、さらに会場が沸いた。

これから挑戦したい人へのメッセージとして、「何をやってもどうせ80%はダメなので、だったらデカく失敗した方がいいくらいに思い切りやって欲しい」と語った。

最前列で時々笑い声を上げながら聞いていたジョージ・ブラムさんは、母親が噛み砕かれるシーンが強烈で通常の漫画と違うと思い『進撃の巨人』にのめり込んだ。「ストーリー全体がダークだが、今日は作品の裏側にある人となりを見て、才能があるだけでなく地に足がついた人だと知りもっと好きになった。カリフォルニアにいる10代の息子はもっとファンなので私のことを羨ましがっています」と感想を述べた。

テキサス在住のメグ・ソレンセンさんは大学で日本語を学び、日本人のクライアントや友人が多く日頃から日本語に触れ合っている。「日本語で理解できたのは良かった。自分の言葉で話してくれ、幼少期の友人の話や自分は昔は貧乏だったとかお金を稼ぐことができて感謝しているなど、フランクに包み隠さず直球的だったので面白かった」。

3日間の開催中はこのほかにも、『機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ』の村瀬修功監督の登壇、『トライガン・スタンピード』『SPY×FAMILY』『モブサイコ100』やアニメ制作会社のパネルディスカッション、声優や漫画家によるサイン会などがあった。

日本人イラストレーター、Acky Bright(アッキーブライト)氏は、来場者を前にライブドローイングを披露した。グラフィックアーティストや漫画家にSNSで取り上げられて海外で知名度が増し、インスタのフォロワー数は今年10万人を突破。それと共にDCコミック、ハズブロ、BMWなど海外案件の仕事も増えている。

今年はLAやNYのイベントに出てみて、海外のアニメ熱の盛り上がりを直に感じたという。「ライブドローイング中の観客の反響やノリも良く、アメリカ最高です」。

画集の購入者へ、イラストとサインを入れるAcky Bright氏(右)。(c)Kasumi Abe
画集の購入者へ、イラストとサインを入れるAcky Bright氏(右)。(c)Kasumi Abe

彼の描くイラストは白黒の女の子とメカやツノなどの対比が特徴で、繊細で可愛くかつ豪快で力強さもある。この日の来場者も、イラストが描かれる過程をじっと興味深く見守っていた。

「ネットで世界にアピールできる時代になったが、日本で伝えられている情報と現地で実際に得られるものが違うと感じる。せっかく日本の文化が注目されているので、日本のアーティストはもっと外に出て行って現地に触れ、ファンと交流するともっと広がりが出ると思う」

今月25〜27日、幕張メッセの「東京コミコン2022」にも参加し、DCコミックのブースでライブドローイングを行うそうだ。

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会場ではこのほか、ガンダムエキスポUSA、東映アニメーション、バンダイナムコ、クランチロール、原神などの展示販売、お好み焼きや弁当、カレーなど日本食の販売などもあった。

来場者はそれぞれのコスチュームで、思い思いの3日間を楽しんだ。

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Anime NYC 2022 Attack on Titan Hajime Isayama's panel highlights 『進撃の巨人』諫山創トークショーハイライト

(Text, photos and video by Kasumi Abe)無断転載禁止

ニューヨーク在住ジャーナリスト、編集者

米国務省外国記者組織所属のジャーナリスト。雑誌、ラジオ、テレビ、オンラインメディアを通し、米最新事情やトレンドを「現地発」で届けている。日本の出版社で雑誌編集者、有名アーティストのインタビュアー、ガイドブック編集長を経て、2002年活動拠点をN.Y.に移す。N.Y.の出版社でシニアエディターとして街ネタ、トレンド、環境・社会問題を取材。日米で計13年半の正社員編集者・記者経験を経て、2014年アメリカで独立。著書「NYのクリエイティブ地区ブルックリンへ」イカロス出版。福岡県生まれ

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