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せめて倶知安までは残して欲しい! 泥沼化の北海道新幹線「並行在来線」、バス会社社員の悲痛な叫び

鉄道乗蔵鉄道ライター

 北海道小樽市在住のYouTuber北のたぬきさんが運営する「【北海道】乗り物大好きチャンネル」では、北海道新幹線の「並行在来線」問題についてたびたび動画を制作してきており、9月6日に公開された動画も大きな反響があったことは2023年9月8日付記事(もはや北海道庁の存在意義なし 泥沼化の「並行在来線」バス転換協議、YouTuber発信で道庁批判殺到)でも触れたとおりだ。

 そんな北のたぬきさんから、公開した動画に地元バス会社社員の方からの切実な声がコメント欄に寄せられていると、筆者に連絡が寄せられた。

切実な現場の声

 「正直な話、せめて倶知安までは鉄道を残していただきたいのが本心です」ーー。

 YouTubeのコメント欄には、地元のバス会社に勤務をするという方の切実な訴えが書き込まれていた。山線沿線をエリアとする地元バス会社では、長年、鉄道と連携したバス輸送を行ってきているが、今や国際リゾートとなったニセコエリアを抱えて、冬季は大変な混雑をする。

 並行在来線問題については、輸送密度に代表されるような乗車人数のみ注目されがちであるが、特に「外国人観光客は大型のキャリーケースを持って移動することから、定員70名のバスにどんなに詰め込んでも35名程度しか乗せられない現状」があるそうだ。

 この時期は、山線の小樽―倶知安間も大混雑で1両の定員が99名で扉の間口が広いH100形気動車でも乗降に難儀している状況から、「バス1~2台ではとてもじゃないけどさばける状況にはない」という。

 さらに、現状でバス乗務員、整備士ともに人手が足りていない現状は周知のとおりで、これから発生する定年退職者の補充を考えると山線全線のバス転換は「無理」と言わざるを得ないのが本音のようだ。

 こうした現場の声を聞かずに、沿線自治体をいわばだまし討ちのような形で鉄道廃線に強引に同意させ、地域に混乱を与えている北海道庁の罪は重い。

切実な現場の声が寄せられた動画

2023/09/06
 函館本線山線について、驚きの情報が入ってきました。
 北海道新幹線の並行在来線として、すでに廃止が決定していましたが、バスの運転手不足でバス会社との交渉が難航しています。
 そうした中、沿線の倶知安町の道議会議員が、バス転換が難しければ「山線再活用に向けて、議論をさかのぼって再検討するべき」と発言しました。
 道庁に影響力を持つ議員の発言には驚きました。
 詳しく解説します!
出典:【北海道】乗り物大好きチャンネル 速報!「廃止決定されたけど再検討すべき!」倶知安町の北海道議会議員がついに発言!どうなる?函館本線山線は?

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・2023年7月27日付記事(小樽市で開催の並行在来線廃止「問題提起」セミナー Youtuber発信で道庁への批判殺到

・2023年7月30日付記事(鈴木直道知事リコールの声も! Youtuber発信で波紋の北海道新幹線「並行在来線」問題

・2023年9月8日付記事(もはや北海道庁の存在意義なし 泥沼化の「並行在来線」バス転換協議、YouTuber発信で道庁批判殺到

(了)

鉄道ライター

鉄道に乗りすぎて頭の中が時刻表になりました。日本の鉄道全路線の乗りつぶしに挑戦中です。学生時代はお金がなかったので青春18きっぷで日本列島縦断修行をしてましたが、社会人になってからは新幹線で日本列島縦断修行ができるようになりました。ステッカーやTシャツなど鉄道乗蔵グッズを作りました。

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