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あれ、バルコニーが反り上がっている!?つくったのは「マンションのことなら〜」のあの会社

櫻井幸雄住宅評論家
バルコニーが反り上がっている。これは、かっこいい?危ない?筆者撮影

 マンションのバルコニーがまるで神社仏閣の屋根のように反り上がっている!

 上の写真をよく見ると、側面のバルコニーでもところどころ波打っているところがある……この写真は、千葉県浦安市でこの2月に完成した「ブランシエスタ浦安」のもの。建設したのは、マンションのことなら〜のテレビCMでお馴染みの長谷工グループ、長谷工コーポレーションだ。

 「ブランシエスタ浦安」は、家賃9万円台の1Kがあることにスポットを当て、1Kが家賃9万円!でも人気に。首都圏に“プチ高級賃貸”が続々登場している理由の記事の中でも紹介させていただいた。

 今回は、その建物に凝らされた数々の特徴について解説したい。

なぜ、バルコニーを反り上げた?

 まず、最初に訂正させていただく。

 冒頭の写真、バルコニーが反り上がっているようにみえるが、実際は反っていない。バルコニーの一部が曲線を描くようになっているだけだ。

 同じ建物を少し引いたところから見ると、上層階のバルコニーは反り上がってみえるが、下層階のバルコニーは曲線を描いているだけで反り上がってはいないことが分かる。

上層階のバルコニーは反り上がって見えるが、下層部になるに従って、反りが収まる。2階部分のバルコニーは平坦だ。筆者撮影
上層階のバルコニーは反り上がって見えるが、下層部になるに従って、反りが収まる。2階部分のバルコニーは平坦だ。筆者撮影

 反り上がっていないが、一部が曲線を描くようにカットされている。その視覚効果により、見上げると、上層になるほど反り上がっているように感じるわけだ。

 まるで、だまし絵のような効果である。

 だまし絵効果を生み出すため、バルコニーは手間をかけてつくられている。ガラス手すりの一部が曲線を描いているが、はめ込まれている強化ガラスは平らな板状だ。平らなガラス板を曲線部分に沿わせるため、支柱の間隔を狭くしている。

曲線を描くバルコニーに併せて、支柱の間隔を調整している。手間とお金がかかる施工だが、外観に個性を出すためには効果的だ。筆者撮影
曲線を描くバルコニーに併せて、支柱の間隔を調整している。手間とお金がかかる施工だが、外観に個性を出すためには効果的だ。筆者撮影

 あえて、手間とお金がかかる施工を行っているのだ。

賃貸マンションで採用が続く最先端の工夫

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住宅評論家

年間200物件以上の物件取材を行い、全国の住宅事情に精通。正確な市況分析、わかりやすい解説で定評のある、住宅評論の第一人者。毎日新聞に連載コラムを持ち、テレビ出演も多い。著書多数。

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