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サイドバックにMF的な役割を課すサッカーがウルグアイ戦で不発に終わった理由

杉山茂樹スポーツライター
(写真:岸本勉/PICSPORT)

「サイドバックをいかに有効活用するか。第2期森保ジャパンの重要なテーマ」であるとは、3月15日発行のブログマガジンのタイトルだが、24日のウルグアイ戦では日本のベンチもそれに呼応するかのように、両SB(左・伊藤洋輝、右・菅原由勢)に従来とは異なる中盤的な役割を課していた。

 ジョゼップ・グアルディオラがバイエルン監督の時代に、右SBフィリップ・ラームをマイボールに転じるや大外ではなく、守備的MFに近い内寄りにポジションをとらせ話題を集めたアイディアである。

 その後、世界各地へと徐々に浸透。Jリーグで最初に実践したのはアンジェ・ポステコグルー(現セルティック監督)で、以来、横浜F・マリノスではそれがスタンダードな方法になっている。

 川崎フロンターレの右SB山根視来も今季、兼MF色の強いプレーをしている。鬼木達監督の指示であることは明白である。Jリーグをリードする2大チームのサッカーに森保監督も従わざるを得なかったと考える。

 だが両SBは、プレッシングの先兵である相手の両ウイングと対峙する格好になる。相手からのハイプレスを真っ先に浴びやすいポジションなのだ。プレッシングの興隆はウイング付きのサッカーの台頭を促す結果になったと言える。そうまでして両SBを潰しにかかる理由は、両SBが試合の行方を左右する、重要なポジションであるとの認識が強いからだ。

「SBが活躍した方が勝つ」とは、かつて欧州取材を通して指導者、評論家などからサッカーの常識として頻繁に聞かされた言葉であるとは、これまでにも再三述べてきた。SBが依然として研究の余地が残されている、仕事内容に上積みが期待できる、可能性を秘めたポジションであるからだ。

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スポーツライター

スポーツライター、スタジアム評論家。静岡県出身。大学卒業後、取材活動をスタート。得意分野はサッカーで、FIFAW杯取材は、プレスパス所有者として2022年カタール大会で11回連続となる。五輪も夏冬併せ9度取材。モットーは「サッカーらしさ」の追求。著書に「ドーハ以後」(文藝春秋)、「4−2−3−1」「バルサ対マンU」(光文社)、「3−4−3」(集英社)、日本サッカー偏差値52(じっぴコンパクト新書)、「『負け』に向き合う勇気」(星海社新書)、「監督図鑑」(廣済堂出版)など。最新刊は、SOCCER GAME EVIDENCE 「36.4%のゴールはサイドから生まれる」(実業之日本社)

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