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日本代表メンバー発表会見で改めて露呈した森保監督の隠しきれない本質

杉山茂樹スポーツライター
(写真:なかしまだいすけ/アフロ)

 森保監督に限らず日本人監督の多くは哲学を語ろうとしない。哲学を持ち合わせていないのか。語りたくないだけなのか。サッカー監督に必要な要素だとの認識がないのか。理由は定かではないが、この点こそが外国人監督との1番の違いであると、これまで何度か述べてきた。

 言い換えるならば、それは色だ。他の監督と自分自身は大きく何が違うかという話である。それさえも曖昧にしたがる。「臨機応変」とは2018年7月、日本代表の新監督就任会見で述べた森保監督の台詞だが、カタールW杯の戦い方はまさに臨機応変だった。

 しかしカタールW杯本番で見せた臨機応変の中身は、攻撃的か守備的かと言えば流れ的に後者だった。1試合目、2試合目は試合の途中から、3試合目、4試合目は試合の頭から、ゴール前を5バックで固める布陣で戦っている。森保監督の本性を見た瞬間と言えた。臨機応変の正体は守備的だった。守備的とは言いだしにくかったので、臨機応変という言葉を使ってその場をやり過ごそうとした。そう言われても仕方がない。

 逆に攻撃的サッカーを哲学に持つ人は臨機応変とは言わない。ストレートに攻撃的サッカーだと胸を張るものである。

 想起するのは、ジョゼップ・グアルディオラとジョゼ・モウリーニョの関係だ。攻撃的なグアルディオラに対し、モウリーニョは当初、守備的とは言わなかった。まさに臨機応変だった。試合毎に、相手に合わせるように守備的な布陣、攻撃的な布陣を使い分けていた。

 もっとも4-2-3-1、4-3-3、4-4-2など攻撃的と言われる布陣は、シェア率が5バックになりやすい3バックに比べて断然、高かったので一般的な布陣でもあった。高い位置から網を張ろうとする攻撃的サッカーは、つまり一般的なサッカーだった。

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スポーツライター

スポーツライター、スタジアム評論家。静岡県出身。大学卒業後、取材活動をスタート。得意分野はサッカーで、FIFAW杯取材は、プレスパス所有者として2022年カタール大会で11回連続となる。五輪も夏冬併せ9度取材。モットーは「サッカーらしさ」の追求。著書に「ドーハ以後」(文藝春秋)、「4−2−3−1」「バルサ対マンU」(光文社)、「3−4−3」(集英社)、日本サッカー偏差値52(じっぴコンパクト新書)、「『負け』に向き合う勇気」(星海社新書)、「監督図鑑」(廣済堂出版)など。最新刊は、SOCCER GAME EVIDENCE 「36.4%のゴールはサイドから生まれる」(実業之日本社)

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