政権の安定を最優先して「不安定の種」を播いた安倍人事
フーテン老人世直し録(240)
葉月某日
安倍総理が「未来チャレンジ内閣」と名付ける第3次安倍再改造内閣がスタートした。メディアは「安定性を最優先」と評価し、安倍総理が経済重視を継続しながら「任期中の改憲」と「長期政権」を目指していると報じている。
「安定性最優先」とみられるのは主要人事の骨格に手を付けず、安倍総理に近い人材を多く登用しているためだが、フーテンはむしろ自民党が民主党政権を反面教師に「挙党一致」を最優先にしてきたのが、この人事で崩れ始めたとみている。この人事は「安定」ではなく「不安定」の種を播き、それが近い将来に花開く可能性を想像させるのである。
以前のブログでも書いたが安倍政権は微妙なバランスの上に成り立っている。第1次政権以来の盟友である麻生副総理と、第2次政権以降の大番頭である菅官房長官との間に抜き差しならない確執が生まれ、一方で党内で力を増した二階総務会長が無視できない存在となっていた。
この三者はいずれも安倍総理を神輿に担ぎ、それを利用しながら自らの権力基盤を固め、政権を裏から支配すべく虎視眈々としている。安倍総理に対する国民の支持率が高いうちは支えるが、支持率に変化が生ずれば態度を変える可能性がある。
この記事は有料です。
「田中良紹のフーテン老人世直し録」のバックナンバーをお申し込みください。
「田中良紹のフーテン老人世直し録」のバックナンバー 2016年8月
税込550円(記事6本)
2016年8月号の有料記事一覧
※すでに購入済みの方はログインしてください。