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ロシアの新型戦闘機スホイ35が墜落――ウクライナ軍が撃墜か

高橋浩祐米外交・安全保障専門オンライン誌「ディプロマット」東京特派員
ロシア戦闘機スホイ35(Su-35)(写真:ロイター/アフロ)

ウクライナ戦争で、ロシアの新型戦闘機スホイ35(Su-35)が墜落した。イギリスの軍事週刊誌「ジェーンズ・ディフェンス・ウィークリー」が4日、画像分析を基に報じた。

ジェーンズによると、ロシア航空宇宙軍(VKS)所属のスホイ35が墜落したのは、ウクライナ東部ハルキウ州イジューム近郊。墜落機は単座型でカナード(先尾翼)がないスホイ35だった。

このスホイ35がウクライナ軍の地対空ミサイルで撃墜されたのか、あるいは機器の故障による墜落か、など詳しい状況は分かっていない。しかし、スホイ35は墜落後、原形をとどめないほど燃え尽きてしまっている。

ウクライナ内務省のアントン・ゲラシュチェンコ顧問がウクライナ軍によるスホイ35撃墜の事実を確認した。パイロットは射出座席を利用して脱出したが、すぐに拘束されたという。

墜落であれ、撃墜であれ、いずれにせよ、ロシア軍が2010年代初めにスホイ35を実戦配備して以来、初めてスホイ35を戦闘で損失したことになる。

ウクライナ軍はスホイ35を撃墜したとして、通信アプリ「テレグラム」で動画を公開した。スホイ35が炎を上げながら墜落している映像が映し出されている。

また、YouTubeでは、スホイ35が堕ちた現場の様子が映し出されている。

かりにスホイ35が実際に撃墜されたのであれば、ウクライナ軍が引き続き、制空権をめぐる戦闘で能力を発揮している一方、ロシア軍がウクライナ侵攻後、1カ月以上経っても制空権を取れない不能ぶりを浮き彫りにしているとジェーンズは指摘している。

例えば、ウクライナ国防省は3月5日、ロシア軍の攻撃ヘリコプターのミル24(Mi-24)を撃墜した映像を公開した。ウクライナ軍はポーランド製の携帯地対空ミサイル(MANPADS)「ピオラン」で同ヘリを撃墜したとみられている。

また、ウクライナ軍は3月18日、キーウ近郊ブチャでロシア軍の戦闘爆撃機スホイ34を携帯式地対空ミサイル「スティンガー」で撃墜したと発表した。ウクライナ軍は4月3日にも、ハルキウ周辺でスホイ34を撃墜したと発表した。

ジェーンズは3月8日、ロシア軍のスホイ35がウクライナの地上配備の防空網を無力化するため、Kh-31PM対レーダーミサイルを搭載し、敵防空網制圧(SEAD)を開始したと報じた。このため、今回スホイ35が撃墜されたのであれば、低空飛行をしていたためにウクライナ軍の攻撃を受けやすかったとみられる。

●スホイ35は第4++世代戦闘機

ロシアの新型戦闘機スホイ35は、第5世代戦闘機に最も近い第4++(プラス・プラス)世代戦闘機だ。NATO(北大西洋条約機構)のコードネームは「フランカーE」となっている。ジェーンズによると、VKSは103機のスホイ35S(スホイ35の量産型)を保有している。スホイ35は能力面でよくアメリカ空軍のボーイング製F15EXイーグルIIと類似していると指摘される。

アメリカ空軍のステルス戦闘機F22やF35、中国空軍のJ20(殲20)と比較されるロシア初の第5世代戦闘機スホイ57(NATOコードネームはフェロン)は、まだ実戦で広く使われておらず、ウクライナ戦争でも投入されていないとみられている。

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米外交・安全保障専門オンライン誌「ディプロマット」東京特派員

英軍事週刊誌「ジェーンズ・ディフェンス・ウィークリー」前東京特派員。コリアタウンがある川崎市川崎区桜本の出身。令和元年度内閣府主催「世界青年の船」日本ナショナルリーダー。米ボルチモア市民栄誉賞受賞。ハフポスト日本版元編集長。元日経CNBCコメンテーター。1993年慶応大学経済学部卒、2004年米コロンビア大学大学院ジャーナリズムスクールとSIPA(国際公共政策大学院)を修了。朝日新聞やアジアタイムズ、ブルームバーグで記者を務める。NK NewsやNikkei Asia、Naval News、東洋経済、週刊文春、論座、英紙ガーディアン、シンガポール紙ストレーツ・タイムズ等に記事掲載。

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