「今日はヨーロッパの近現代史において最も暗い日の1つ」欧州委員会幹部が指摘
「今日は、疑う余地もなくヨーロッパの近現代史において最も暗い日の1つだ」(Today is without any doubt one of the darkest days in modern European history.)
ロシアのプーチン大統領がウクライナ東部の一部地域の独立を承認したことを受け、欧州連合(EU)の欧州委員会のフランス・ティメルマンス上級副委員長は22日、パリで開催されている閣僚フォーラムでこう述べた。
そして、ティメルマンス上級副委員長は「私たちは、ロシアが国際法の基本的なルールである国連憲章に明らかに違反するのを目の当たりにしている」と強く非難した。
リモートで日本から参加した林芳正外相も「今回の一連のロシアの行為は、ウクライナの主権及び領土の一体性を侵害し、国際法に違反するものであり、ロシアの行為は決して認められるものではなく、強く非難する」と述べた。
また、林外相は北朝鮮のミサイル発射実験や中国の海洋進出に触れながら、「各地域において、力の論理がますます幅をきかせ、既存の国際秩序を揺さぶっている」と警鐘を鳴らした。
この閣僚フォーラムはインド太平洋協力に関するもので、EU理事会議長国を務めるフランスと欧州対外行動庁(EEAS)が初めて開催した。筆者もフランス外務省から招聘を受け、パリで取材を続けているが、欧州の閣僚からは、ロシアによる「ドネツク人民共和国」と「ルガンスク人民共和国」の独立承認は、紛争解決に向けたミンスク合意違反だとの厳しい非難の声が相次いでいる。ミンスク合意は2014、15両年にフランスとドイツの仲介でまとめられた。この閣僚フォーラムでも、ロシアに対する制裁が22日午後に急きょ議論されることになっている。
EUのジョセップ・ボレル外交安全保障上級代表(外相)は、22日のパリでの理事会後の記者会見で「(ロシアによる)国際法違反の日付は選ばれていた。決して偶然ではない。2月22日は(親露派の)ウクライナのヴィクトル・ヤヌコーヴィチ氏が国会で大統領の職を追われてから8周年となる日だった。そして、民主主義の勝利が続いた。プーチン大統領は、ウクライナの民主主義ごっこのプレータイムの終わりと言っている。つまり、プーチン大統領は明らかに意図的にこの日を選んで行った」と述べた。ヤヌコーヴィチ氏は2014年2月22日、デモ隊の動きを止められずに騒乱の中、首都キエフを脱出した。
大国が力尽くで小国の主権を侵害することが許されるようになれば、既存の世界秩序が崩れかねない。ロシアが国際法といったルールベースの国際秩序を遵守するよう、日本も欧米などとともに今後もますます声を強めていかなければいけない。