「コバエ」をお風呂や洗面所、トイレで見かけたら…水回りの発生源と対処法のポイント
キッチンの排水口を掃除して、食品は放置せず、家の中をキレイにしているはずなのにコバエが飛んでいる…という経験はありませんか。コバエは食品だけに発生するのではありません。実はコバエはさまざまな場所から発生します。今回は、意外と知られていない浴室や洗面所、トイレなど水回りが発生源となる「チョウバエ」という種類のコバエについて生態と対策をご紹介します。
チョウバエとは?
体長1~5mm、体色は、灰色~黒色で全体にモコモコした毛で覆われています。壁などにとまるときは、翅を広げていたり、セミのようにたたんでいたりします。
「チョウバエ」という名前は、形がチョウに似ていることや、チョウのようにひらひらと飛ぶこと、また、 ドイツ語で蝶(Schmetterling)と呼ぶことからきているなど、さまざまなことから日本ではチョウバエと呼ばれるようになったようです。
日本では70種余りが確認されていますが、家の中で見られるのは、体長1~2mmの「ホシチョウバエ」と体長4~5mmの「オオチョウバエ」の2種類です。卵から成虫になるまでの期間は夏場だと2週間程度で、成虫の寿命は約2週間、その間に200個以上の卵を産みます。
発生源は、浴室、洗面所、トイレなどの水回りです。幼虫は、排水口や排水管などのスカム(こびりついた汚れ)やヘドロ、水回りの目地に溜まったバクテリアなどを餌としています。清潔な水では繁殖できません。
夜行性で、日中はあまり活動せず、家の中の暗いジメジメした薄暗い場所にいます。飛翔能力は高くないので、成虫が多数見られる場合は、発生源が近くにあることが多いです。
チョウバエは人を刺すことはありませんが、見た目が不快であったり、不潔感を感じたりするほか、さまざまな「ハエ症」を引き起こすことがあります。チョウバエは食品に入り込むこともあり、幼虫が食物と一緒に偶発的に人の消化器に入ることで、粘膜を刺激して腹痛を起こします。また、稀なケースにはなるのですが、チョウバエが鼻腔に産卵し、孵化した幼虫が軌道内に侵入し気管支炎になった例や、眼の中に産卵し、眼の中で育って成虫になった例などがあります。チョウバエは夜行性なので人が寝ているときに人の口、鼻、眼などに産卵し、孵化幼虫が体内に入ってしまったと考えられます。
ここからはチョウバエの対処方法をお教えします。
外から成虫を侵入させない
チョウバエの発生源がある、浴室や洗面所、トイレなどの水回りに近い窓は網戸を忘れずに閉めましょう。チョウバエを忌避できるスプレー剤を網戸やガラス窓に塗布しておくと侵入を防ぐのに効果的です。
排水口は小まめに掃除をする
チョウバエの幼虫の発生源は主に排水口の中のスカムやヘドロです。キレイな排水口の中ではチョウバエは成育できません。実際、私は仕事でチョウバエを飼育していますが、餌にスカムを用意することはなかなかできないので、代用品を餌としています。その餌をそのまま与えてもあまり増えてくれませんが、餌を水に浸して敢えて腐らせると、チョウバエはどんどん増えてくれるのです。ということは、排水口のヌメリやスカムを除去することでチョウバエにとっての餌がなくなるので、発生を防ぐことができます。排水口専用のクリーナーを定期的に使うこともお勧めです。
熱湯をかけると良いという情報もありますが、チョウバエは駆除できても排水管などを傷める恐れもあるためお勧めはしません。
チョウバエを見つけたらすぐに駆除する
家の中でチョウバエを見つけたら、1匹だからと油断せず、その都度退治しておきましょう。夜行性なので、昼間はじっと壁にとまっていることが多く、コバエ用のスプレー剤をかけるのも簡単です。1匹だからと放っておくと、家の中のどこかで卵を産んで増えてしまいます。
発生源を見つけることが重要
家の中でチョウバエを見つけたらもうひとつ行ってほしいことがあります。それは、発生源を見つけることです。チョウバエはあまり遠くに飛べないので、見かけた場所の近くに発生源があることが多いです。浴槽のエプロン(手前の側面を覆っているカバー)の中や、バリアフリータイプであれば浴室ドア下の排水口、トイレのタンク内など日ごろ見ない場所に発生源があることもありますので、一度確認してみてください。発生源を見つけて掃除をすることで、チョウバエが発生しなくなります。
最後に…
スカムなどから発生することから、不衛生なイメージを感じてしまうチョウバエは、都会のマンションでも見かけることがあります。チョウバエの被害に遭わないためには、発生源である排水口や排水管を定期的に掃除しておくことが大切です。もし、家の中で見かけたら、疑わしい発生場所はすべてチェックすることをお勧めします。
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