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世界を悩ますトコジラミ問題 被害を防ぐためには #専門家のまとめ

有吉立アース製薬(株)研究部で害虫飼育を担当
写真はイメージ(写真:イメージマート)

昨年、韓国やフランスで蔓延していたとされるトコジラミ。現在、その影響はどのように広がっているのでしょうか。日本でもトコジラミの発生により、一部の施設が一時的に休館を余儀なくされる状況が見られました。これに対し、韓国では予防策が進められ、アメリカでは法的な枠組みが整備されているようです。これらの状況を踏まえ、日本でトコジラミに対してどのように対処すればよいのかをまとめました。

ココがポイント

ソウル地下鉄は3号線の布製の椅子340席のうち220席を強化プラスチック製に交換する。(中略)トコジラミなどを予防する目的
出典:KOREA WAVE 2024/8/10(土)

現在米国には50州あるが、23州ではすでに何らかの方法でトコジラミ駆除に関する規制(State Bed Bug Law)が設けられている
出典:公益社団法人 日本ペストコントロール協会 

人に害を与える「衛生害虫」の対策をテーマにした講演会が宮城県庁で行われ、旅館などに衛生管理や指導を行う県の担当者が参加
出典:tbc東北放送 2024/9/22(日)

スーパートコジラミに効果が高い「ブロフラニリド」という製剤の入った商品を使用することをお勧めします
出典:Yahoo! ニュース エキスパート 有吉立 2024/4/19(金)

エキスパートの補足・見解

各国のトコジラミ事情として、韓国では予防策として地下鉄の座席を布製からプラスチック製に変更する計画が進められています。これは、トコジラミがツルツルした面を登るのが苦手であることに加え、清掃が容易になることで定着を防ぐ効果が期待されていると考えます。また、アメリカでは23州でトコジラミ駆除に関する法律が制定され、効果的な対策が進められています。

現在、世界中で蔓延しているトコジラミの多くは、「スーパートコジラミ」と呼ばれ、一般的な殺虫剤「ピレスロイド」に対する抵抗性を持っています。このため、従来の駆除方法では十分な効果が得られず、多くの人々が悩んでいます。そこで、「ブロフラニリド」という薬剤が注目されています。この薬剤はスーパートコジラミにも高い効果を発揮し、市販されているため、個人でも手軽に使用することが可能です。

今後、日本でトコジラミの被害を減らすためには、効果的な予防策や駆除方法を多くの人が理解することが大切です。個人でもできる対策をしっかりと行い、安心して暮らせる環境を作りましょう。

アース製薬(株)研究部で害虫飼育を担当

兵庫県出身。都内の美術学校卒業後、 家具店店員、陶芸教室講師など虫とは全く関係のない職業に就いていたが、1998年に地元・赤穂のアース製薬に入社以来、害虫の飼育を担当している。しかし、現在も虫は好きではない。著書に「きらいになれない害虫図鑑」(幻冬舎)※記事は個人としての発信です。

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