フランスの“人間国宝”がつくる「黄金に輝く卵」はどのような料理か? 今だけの10周年記念コース
トゥールダルジャン 東京
「銀の塔」を意味するホテルニューオータニ「トゥールダルジャン 東京」は、来年9月で40周年の節目を迎えます。本店はフランス・セーヌ川のほとりにある「トゥールダルジャン」で、開業したのは1582年。創業から400年もの歴史を誇ります。
1582年といえば、フランスではアンリ三世の時代であり、日本では本能寺の変が勃発した頃です。そこから歴史は進み、19世紀末に、支配人のフレデリック・デレールによる鴨料理が評判となります。手掛けた鴨の一羽一羽ごとに番号を付けるというユニークなアイディアでさらに評判になったのです。
1921年6月21日には、当時皇太子であった昭和天皇が鴨を召し上がりました。その時の番号であった“53211”を記念して、「トゥールダルジャン 東京」では、この次の番号からナンバリングしたという逸話があります。
ルノー・オージエ氏
フランスを代表するレストランというだけあって、「トゥールダルジャン 東京」にはとても素晴らしい料理人がいます。
それは、2013年からエグゼクティブシェフを務めるルノー・オージエ氏です。
オージエ氏は、2011年11月に「テタンジェ インターナショナル料理コンクール」で準優勝。2015年には日本の人間国宝にあたり、フランス料理界最高峰の栄誉である「M.O.F.(Meilleur Ouvrier de France)」=「フランス国家最優秀職人章」でファイナリストに選出。そして、2019年度にはとうとう、日本在住の料理人としては37年ぶりとなり、最年少となる年齢でM.O.F.を受章しました。
日本にいるフランス人シェフは、誰もが非常に優秀ですが、その中でもオージエ氏は、際立つ功績を残しているといってよいでしょう。
そして、日本にも深く寄与するオージエ氏のエグゼクティブ就任10周年を記念して、貴重なフェアが開催されています。
10周年記念
2023年11月2日から5日(5日はディナーのみ)にかけて、日本を代表する料理人であるM.O.F.のオージエ氏と、1982年に受章したM.O.F.の先駆者であるジャック・ボリー氏がコラボレーションした「M.O.F. SUMMIT SPECIAL 4 DAYS 継承~transmission of heritage~」(ランチ 50,000円、ディナー 100,000円、税・サ込)が行われました。
2023年11月8日から12月3日にかけては、「M.O.F. SUMMIT」(ランチ 11,000円、22,000円、ディナー 22,000円、33,000円、税込・サ別)が行われ、特別メニューが体験できます。各内容は次の通りです。
11,000円コース
・ヤガラのマルブレ 洋梨のカネロニと秋色に彩る旬菜のマリネ
・帆立貝と平茸のスフレ 優美なカラメルオニオンのエキューム
・幼鴨のロースト フォワイヨソース ショコラ風味のトゥルトンとトピナンブールのグラタン
・アルデーシュ産マロンのモンブラン ロイヤルミルクティーのアイスクリーム
・トゥールダルジャンブレンド紅茶又はコーヒー、小菓子
22,000円コース
・鮑のヴィネグレットマリネ カリフラワーのムースと彩り豊かなキャロットのトゥルビヨン
・リ・ドゥ・ヴォーとセップ茸のブレゼ ゴダール風 シャトーブリアンソース
・ハタのポワレ グルノーブル風 根セロリのガトーとモンサンミシェルのクロメスキ
・グルーズのロティ ブラックカルダモンの香り 甘美なビーツと赤キャベツと林檎のマルムラード or 幼鴨のロースト ヴィーニュの燻香 マスカットベイリーソース 旬菜のマルムラードと巨峰のパレ
・メイプル香るラ・フランスのコンポートとショコラのムース アイリッシュコーヒーのアイスクリーム
・フレッシュハーブティー又はコーヒー、小菓子
33,000円コース
・ブルターニュ産オマール海老 茄子のコンポートサラダ仕立て アプリコットのヴィネグレット
・甘鯛のヴァプール キャヴィア添え ソースフヌイユ
・黄金に輝く黒トリュフと根セロリのスフレ 黒トリュフソースと芳醇な白ワインソースの饗宴
・マロンのヴルーテ ガトー・ドゥ・フォアとタマゴ茸のピクルス
・幼鴨のロースト マルコポーロ スフレ ヴァンダンジュール 塩キャラメルのアイスクリーム
・フレッシュハーブティー又はコーヒー、小菓子
この中から、いくつかのメニューを紹介しましょう。
甘鯛のヴァプール キャヴィア添え ソースフヌイユ
ボリー氏のスペシャリテです。食味に優れた甘鯛を、甘味のある帆立貝のムースでコーティングし、表面ぎっしりにキャビアをトッピングしました。キャビアの塩味が甘鯛の滋味を引き立てます。ソースは魚の出汁=フュメ・ド・ポワソンに、メニュー名にもあるフヌイユ=ウイキョウを合わせて香り高くしました。
黄金に輝く黒トリュフと根セロリのスフレ 黒トリュフソースと芳醇な白ワインソースの饗宴
“黄金に輝く卵”は、オージエ氏のスペシャリテ。アラカルトでも提供されています。黒トリュフに穏やかに火入れした根セロリのコンフィ、なめらかな真鯛のムースを金箔で包み、スフレ仕立てに仕上げました。非常にやさしいテクスチャと複雑な食味と香りが印象に残ります。薫り高くコクのある黒トリュフソースがかけられていて、目の前でほどよい酸味の白ワインソースが注がれます。
幼鴨のロースト ヴィーニュの燻香 マスカットベイリーソース 旬菜のマルムラードと巨峰のパレ
トゥールダルジャンのスペシャリテ。幼鴨のローストに、旬のぶどうを合わせた季節感のある一品。ソースは日本ワインの“期待の星”であるマスカット・ベーリーAを用いて、エレガントでしなやかな味わい。幼鴨は、乾燥させたぶどうの枝で燻製し、より深みを与えています。
日本におけるフランス料理の伝道者
オージエ氏は、設立が発表されたばかりの「クラブ・ドゥ・レリタージュ・キュリネール・フランセ」のメンバーにも名を連ねており、伝統のフランス料理を大切にすることに注力しています。
・スターシェフや人間国宝がフランス料理協会を発足! 一流料理人を動かした【見過ごせぬ危機感】とは?(東龍)/Yahoo!ニュース
このクラブには日本を代表するフランス料理人たちが結集しているだけに、その“本気度”が窺えることでしょう。
オージエ氏はM.O.F.としてはフランス文化の優れた継承者であり、「クラブ・ドゥ・レリタージュ・キュリネール・フランセ」のメンバーとしては日本におけるフランス料理の伝道者です。
「M.O.F. SUMMIT」にはフランス料理のエッセンスが凝縮されているだけに、フランス料理に少しでも興味があれば、期間中に是非とも訪れてみてください。