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震災復興の一環で誕生した「仙台ー石巻」結ぶ仙石東北ライン 引退発表の「205系」との共演もあと1年?

鉄道乗蔵鉄道ライター
高城町駅で交換するHB-E210系と205系(筆者撮影)

 筆者は、2025年を迎え、リニューアルされた「青春18きっぷ」の使い勝手を検証するために、高崎駅から日本海岸沿いのルートで青森を目指し、そこから北海道に渡り札幌方面を目指そうとした。しかし、青森県内の大雪の影響で大館―弘前間が長期にわたって運休となる見込みとなったことから、急遽行き先を青森から仙台に変更し、仙台からの太平洋フェリーで苫小牧に渡ることにした。このことは、筆者の記事(新「青春18きっぷ」の使い勝手を検証 旅行中の予定ルートに災害運休発生で、元が取れなくなるリスクも?)でも詳しく触れている。

 このとき、仙台フェリーターミナルの最寄り駅となる仙石線の中野栄駅の到着時間に余裕があったことから、筆者は仙台駅から仙石東北ラインの快速石巻行に乗り、仙石線の高城町駅まで向かい、そこからあおば通行の電車で中野栄駅まで戻ることにした。

震災復興の一環で誕生した仙石東北ライン

仙台駅で発車を待つ仙石東北ライン快速石巻行(筆者撮影)
仙台駅で発車を待つ仙石東北ライン快速石巻行(筆者撮影)

 仙石東北ラインは、仙台駅と石巻駅を結ぶ速達ルートとして機能している路線で、東北本線の塩釜―松島間に仙石線の線路と接近している場所があり、そこに東北本線と仙石線を結ぶ単線の連絡線を建設し、仙石線の高城町駅とを結ぶことにより2015年に震災復興の一環として開業した。仙石東北ラインには、快速または特別快速のみの列車が運行され、仙台―石巻間の所要時間はおおむね1時間以内だ。仙石線の各駅停車が仙台―石巻間を1時間30分程度で結んでいることを考えると、大幅な速達性を実現している。

 さらに、仙石東北ラインは、車両に電車ではなくハイブリッド式気動車であるHB-E210系を導入していることも大きな特徴の一つだ。これは、東北本線と仙石線では電化方式が異なるためで、東北本線が交流20,000Vにより電化されているのに対して、仙石線は直流1,500Vで電化されている。この異なる電化方式の路線を直通させるためには、双方の路線を直通できる交直流電車の導入なども方法として考えられるが、車両のコスト面の都合なのか仙石東北ラインではハイブリッド式気動車の導入による直通運転が実現された。

もともとは私鉄路線として誕生した仙石線

東北本線と仙石線を結ぶ連絡線に進入する(筆者撮影)
東北本線と仙石線を結ぶ連絡線に進入する(筆者撮影)

 そんな、仙石東北ラインが高城町駅から直通する仙石線は、もともとは宮城電気鉄道という私鉄路線で、1928年(昭和3年)までに仙台―石巻間の全線が開業しており、当時の国有鉄道が蒸気機関車による運行だった中で宮城電気鉄道は開業当初から直流電化方式による電車による運行がされていた。しかし、宮城電気鉄道は、戦時中の1944年(昭和19年)に戦時買収され国有化され仙石線となった。なお、国鉄東北本線は、交流電化方式により仙台駅まで電化されたのは1961年(昭和36年)になってからのことである。

 現在の仙石線の主力車両は205系電車であるが、昨年12月、この205系電車が新型車両となるE131系に置き換えられワンマン運転が実施されることが発表された。営業開始時期は2025年冬頃とされ、ここから徐々に置き換えが進んでいくものと予想される。JR東日本はこうした流れに先駆けて、2025年3月25日をもって205系「仙石線マンガッタンライナーⅠ」の運転を終了することを発表している。

引退迫る205系

引退が発表された仙石線の205系電車(筆者撮影)
引退が発表された仙石線の205系電車(筆者撮影)

 筆者が、仙石東北ラインに仙台―高城町間で乗車した際には、高城町駅で、HB-E210系と205系の列車交換シーンを目にすることができた。こうした2種類の車両の共演も、今年の年末頃からは徐々にE131系に置き換えられて見られなくなっていくものと思われるので、早めに記録に残しておきたいところである。

(了)

鉄道ライター

鉄道に乗りすぎて頭の中が時刻表になりました。日本の鉄道全路線の乗りつぶしに挑戦中です。学生時代はお金がなかったので青春18きっぷで日本列島縦断修行をしてましたが、社会人になってからは新幹線で日本列島縦断修行ができるようになりました。ステッカーやTシャツなど鉄道乗蔵グッズを作りました。

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