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社長ブチギレ! スタバで3時間も会社のパソコンを使った若手社員に対して 何が問題?

横山信弘経営コラムニスト
カフェでテレワークは危険がいっぱい(写真:イメージマート)

「その社員を連れてこい!」

「社長、お待ちください。私がしっかり言い聞かせますから」

「ダメだ! 私が直接言う」

めったに怒らない社長が激怒した。ある若手社員がスターバックスで会社のパソコンを3時間以上も使い続けた、と報告を受けたからだという。

なぜ、それほどまでに怒ったのか?

今回はスタバ等で長時間作業をするリスクについて解説する。カフェでの作業に悩んでいる若手社員や、上司から注意を受けたことのある人は、ぜひ最後まで読んでもらいたい。

■カフェ等で作業する際の3つのリスク

カフェで作業するのは気分転換になり、仕事の効率が上がることもある。しかしそこには情報漏洩やウイルス感染など、さまざまな危険が潜んでいるのはご存じか。

2023年のデータ(情報処理推進機構の調べ)によると、国内のセキュリティに関わる事件の総数は916件で、その中で最も多かったのは不正アクセスが222件、次いで誤操作や設定不備が206件だった。

また、個人情報の漏洩や紛失事故も175件発生している。これは前年よりも6.0%増加しているそうだ。

会社のパソコンで仕事をする以上、自分だけでなく取引先や顧客にも迷惑をかけるリスクがある。いくら作業効率を高めようとしても、セキュリティを軽視すれば取り返しのつかない損失につながるのだ。

基本的なセキュリティリスク3つを簡単に解説していこう。

(1)仕組みの盲点

会社のパソコンにはファイアウォールやウイルス対策ソフトなど、さまざまな仕組みが導入されている。しかし公共のWi-Fiに接続すると、危険度がグッと増す。それらの防御をすり抜ける攻撃を受ける可能性があるのだ。

カフェや駅などで提供される無料Wi-Fiは、通信が暗号化されていない場合がある。悪意ある第三者が似たネットワーク名を用意して、情報を盗む手口も報告されている。社内で守られていても、外へ出れば安全は担保されないのだ。

(2)意識の甘さ

どんなにセキュリティ対策を整えていても、それを使う人の意識が低ければ意味がない。

カフェの席では、隣の客にパソコンの画面が見られやすいし、席を離れるときにロックをかけ忘れる人も少なくない。写真にパソコンの画面が映り込んでしまったり、店の場所を特定できるコメントが攻撃者の手がかりになったりする。

油断やうっかりミスが企業の信用を大きく損なう事態を引き起こすのだ。

(3)倫理観の欠如

会社のパソコンは企業の重要な資産だ。顧客情報や契約書類など機密データが保存されていることが多い。

これらの情報は慎重に扱わなければ、企業としての信用に深刻なダメージを与える。若手社員の立場からすると、カフェで仕事をする程度で大げさだと思うかもしれない。だが、経営者からすると見過ごせないリスクである。

「自分の都合で外に持ち出しても平気」

「情報を見られても大したことない」

という思い込みが、最悪の事態を引き起こし得る。

■セキュリティ対策の基本

カフェの無料Wi-Fiを使う場合はVPNを活用するなど、最低限の暗号化を行うほうがいいだろう。

物理的なセキュリティ面では、覗き見防止フィルターの装着や、パソコンを開いたまま席を離れないといった基本が大切だ。

企業側も、社外での作業に関するルールやガイドラインをきちんと定めて周知する必要がある。機密データを社外に持ち出す際には、許可を取ることや時間を制限するなど、具体的な運用ルールが欠かせない。

■社長が激怒した理由とは?

この社長が激怒した背景には、かつて社外での作業によって重要な顧客情報が流出し、大きな損害を被った経験があるからだ。

ある社員が契約先の個人情報をカフェで整理していたところ、周囲の目を気にせず画面を開きっぱなしにしていた。店内には多くの人がいたが、社員は「誰も見ていないだろう」と油断していたらしい。

その結果、その場に居合わせた第三者がそのリストを動画で撮影。後日不審なメールや電話が顧客のもとに殺到する事態となった。

この事件によって、会社の信用は大きく傷ついたという。今回のスタバでの長時間作業を耳にして激怒したのは、こういった理由があるのだ。

■まとめ

公共の場で仕事をすること自体が悪いわけではない。しかし会社の信用とデータを守るために、社員一人ひとりがセキュリティ意識を高める必要がある。

過去にトラブルがあってもなくても、甘く捉えてはいけない。セキュリティに関する事件が増加しているからだ。外で仕事をすることが多いビジネスパーソンは、十分に意識していきたい。

<参考記事>

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経営コラムニスト

企業の現場に入り、目標を「絶対達成」させるコンサルタント。最低でも目標を達成させる「予材管理」の理論を体系的に整理し、仕組みを構築した考案者として知られる。12年間で1000回以上の関連セミナーや講演、書籍やコラムを通じ「予材管理」の普及に力を注いできた。NTTドコモ、ソフトバンク、サントリーなどの大企業から中小企業にいたるまで、200社以上を支援した実績を持つ。最大のメディアは「メルマガ草創花伝」。4万人超の企業経営者、管理者が購読する。「絶対達成マインドのつくり方」「絶対達成バイブル」など「絶対達成」シリーズの著者であり、著書の多くは、中国、韓国、台湾で翻訳版が発売されている。

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