これは「アングロ・サクソン的価値観」の終わりの始まりだ
フーテン老人世直し録(104)
長月某日
スコットランドの住民投票は独立反対派が55%を超える票を獲得して勝利した。とりあえず世界の政治と経済が大混乱に陥る危機は免れ世界中がほっとしている。しかし160万人を超える住民が独立を支持した事実は重い。スコットランド独立派を敗者と見る訳にはいかない。
選挙戦の終盤、独立が現実の問題となった事に慌てたイギリス政府はスコットランドの自治権を拡大する約束をした。独立派を切り崩すためである。従って独立は否決されたが独立派は自治権拡大という果実を得た。自治権の拡大はスコットランドにとどまらずウェールズや北アイルランドにも波及する。イギリスの連合体制はこれからが正念場である。
今回のスコットランド独立の動きは、300年前にさかのぼる歴史的な民族問題に起因するとの見方が一般的だが、前回も書いたようにフーテンは冷戦後の世界を主導してきた英米を中心とする「アングロ・サクソン的価値観」が終わりの始まりを迎えたと見ている。つまりイギリスの国内問題というより、世界の構造変化につながる歴史的な出来事だと考えるのである。
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