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「新世界秩序」に影響するスコットランドの動き

田中良紹ジャーナリスト

フーテン老人世直し録(103)

長月某日

スコットランド独立の是非を問う住民投票に世界の目が注がれている。独立が支持されれば世界的な混乱が予想され、冷戦後の「新世界秩序」に大きな影響を与えることになるからだ。

そうなればイギリスの連合体制は終わりを告げ、キャメロン首相が辞任を迫られることは必至で、イギリス政治はかつてない混乱に陥る。それはイギリスのEU離脱問題に連鎖し、ヨーロッパ政治全体を揺さぶる事になる。

そしてヨーロッパをはじめ世界各地に点在する分離・独立運動に飛び火する。スペインのカタルーニャ州は独立を求めて11月に住民投票を行うと宣言しているし、バスク地方にもスペインからの独立を求める運動がある。フランス、オランダ、ベルギーにまたがるフランドル地方はEU本部とNATO本部のあるベルギーから独立する動きを見せている。

これはアメリカ及びEUとロシアが対立するウクライナ問題にも影を落とし、ヨーロッパから遠く離れた中国にも影響する。中国には分離・独立を求める少数民族がおり、なかでもチベット独立運動と東トルキスタン独立運動は活発である。新疆ウイグル自治区では東トルキスタン独立運動による衝突事件が頻発している。

そうした中、スコットランドには沖縄からも「琉球独立」を主張する運動家が乗り込んだという。スコットランドの経験を学ぶためだというが、イギリスのガーディアン紙の取材に対し、リーダー格の友知政樹沖縄国際大学准教授は「沖縄は日米共謀の最大の被害者で、独立によって沖縄を米軍基地の重荷から解放し、中国、東南アジアとの貿易によって繁栄する未来を描いている」と語ったという。

これらの動きをフーテンは冷戦後の「新世界秩序」を形成するための混とんの過程と見ている。「ニュー・ワールド・オーダー(新世界秩序)」という言葉を使ったのは、湾岸戦争直前の1990年、ブッシュ(父)大統領によってだと記憶している。前年にベルリンの壁が崩壊し、冷戦の終わりが確実になっていた。

ブッシュ(父)大統領は議会演説で、「分断と対立の世界から自由と人権の尊重が保証される世界への転換」を訴えた。そこには米ソ対立のために機能しなかった国連安保理が、湾岸戦争に対し、史上初めて武力行使容認決議を可決した事への期待感がある。他国への侵略に対し、国際社会が結束して解決に当たる新しい体制が作られつつあった。

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ジャーナリスト

1969年TBS入社。ドキュメンタリー・ディレクターや放送記者としてロッキード事件、田中角栄、日米摩擦などを取材。90年 米国の政治専門テレビC-SPANの配給権を取得。日本に米議会情報を紹介しながら国会の映像公開を提案。98年CS放送で「国会TV」を開局。07年退職し現在はブログ執筆と政治塾を主宰■オンライン「田中塾」の次回日時:11月24日(日)午後3時から4時半まで。パソコンかスマホでご覧いただけます。世界と日本の政治の動きを講義し、皆様からの質問を受け付けます。参加ご希望の方は https://bit.ly/2WUhRgg までお申し込みください。

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