防衛省海上幕僚監部、海幕長会見時の発言を取り消し「飛行甲板上に艦番号は必ず記載→不記載が標準」
防衛省海上幕僚監部は4月3日、酒井良海上幕僚長が前日2日に発言した内容の一部を取り消した。中国や日本のSNS上で拡散されている海上自衛隊最大の護衛艦「いずも」をドローンから撮影したと称する動画の真偽に関連し、筆者が「いずも」の飛行甲板の艦尾に艦番号「83」が記載されているのかと質問したのに対し、酒井海幕長は2日の会見で「一般論で申し上げますと、可動中であれば必ず記載されている。ペイントされているものです」と答えた。
しかし、海上幕僚監部は3日、この発言を訂正し、「現在、海上自衛隊では飛行甲板上に艦番号は記載しないことを標準としているため、上記発言については取り消させていただきます」と防衛記者会所属者や2日の記者会見参加者にメールで連絡した。
SNS上で拡散された問題の動画では、船尾甲板には8のみが見られ、3が見られていない。
ただ、朝日新聞が昨年11月27日に報じた「洋上にみえた中国海軍の艦 空母化しつつある『いずも』で見た神経戦」と題した記事中の動画では、ロービジ(低視認化)塗装されている中でもわりとはっきりと83という艦番号下二桁が見ることができた。
いずれにせよ、横須賀基地などの防衛施設上空でドローンを飛ばすことは、法律で禁じられる行為だ。動画の真偽が取りざたされ、基地周辺の安全性確保に懸念の声が高まっている。
海上自衛隊出身の安全保障ジャーナリストの吉永ケンジ氏は4月3日付の「〈生成AIか、ドローン撮影か?〉中国から拡散する海自護衛艦「いずも」の異常接近映像。日本政府の対応は適切か?」と題する記事で、「防衛省と海自には、人の心に石を投げ込んで波紋を引き起こす企てを、ファクトを示して一刀両断にしてもらいたい」と記した。筆者も同意見だ。動画が本物なのか、偽物(フェイク)なのか、動画の真偽をめぐる調査結果を早急に国民に示してもらいたい。そして、その結果を踏まえて必要な対策を講じてほしい。
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