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営業の生産性がアップする! 情報共有2つのルール【法人営業大学】

横山信弘経営コラムニスト
情報共有は口頭ですべきではない(写真:アフロ)

■大半のマネジャーは「マネジメント」の意味を知らない

クライアント企業の会議に出席していると、いつも思うことがある。会議の目的が「情報共有」になっているのだ。

「進捗確認をしている」

とマネジャーは言い張るが、見ているとと部下に報告させているだけで、結局は「情報共有」で終わっていることが多い。このように残念なマネジャーほど、マネジメントを「情報管理」だと勘違いしている。だから会議中、最も時間をとるのが「話す時間」であり、「全員で考える時間」が極めて少ない。

本来マネジメントの目的は「目標管理」である。「情報管理」ではない。DXの時代にそんなことをしていたら、マネジャーの存在意義はなくなってしまうだろう。

とはいえマネジメントに「情報共有」は不可欠だ。では、どのように組織で「情報共有」をしたほうがいいのか? 今回はマネジメントに役立つ「情報共有」について徹底解説していく。最後には「情報共有」する場合の2つのコツについても解説する。マネジメントに悩んでいる人は、ぜひ最後まで読んでもらいたい。

■「情報共有」2つのルール

まず、マネジメント目的で押さえておきたいのは「情報共有」のルールである。必ず守ってほしいルールは以下の2つだ。

【ルール】
(1)事前に情報は共有する
(2)共有された情報を全メンバーは確認しておく

このルールの根拠は、次の2つだ。

【根拠】
・会議中に情報共有すると時間がかかる
・フィードバックや対策案の質が落ちる

まず大前提として押さえてほしいのは、認知、解釈のスピードは個人ごとに異なる、ということだ。会議中にいきなり情報を共有されても、正しく認知、解釈できないメンバーがいることを忘れてはならない。相手の立場に立って考えられない人は、マネジメントする資格がない。

だから情報をメンバーが正しく認知、解釈できないまま議論を始めても、質の高い意見、フィードバックを引き出すことはできない。「もっと意見を出せ」「遠慮せずに、何かフィードバックして」と言われても、できないのはこのせいだ。

■マネジメントするうえで「情報共有」すべき内容とは?

続いて「情報共有」すべき内容について解説する。以下に例を書く。

【内容】
・目標(KGI、各種KPI:固定)
・現状(KGI、各種KPI:変動)
・ギャップ(目標-現状)
・ギャップを埋めるための対策
(不要)現状の説明

その根拠は次の2つだ。

【根拠】
・内容と形式を統一することで理解しやすく、対策案も出しやすくなる
・ノイズが増えると本質がわからなくなる

マネジメントの目的は「目標管理」である。「情報管理」ではない。したがって「情報共有」は、まず目標を起点に考える。

目標は「数字」と「期限」で構成されている。これらは固定情報であるため変動しない。変動するのは現状である。現状がどうなっているのかを、同じく「数字」「期限」で表現するのだ。

【目標】

・アポイントの目標 → 10件

・期限 → 5月13日(月)定時

【現状】

・アポイント実績 → 6件

・期限 → 5月17日(金)までズレこみそう

ポイントは、現状のままだと達成時期がどこまでズレるかも表現することだ。期限のズレこみを言葉にできない人は、逆算思考が足りない。思考訓練のためにも、必ず明文化しよう。

目標と現状が分かれば、ギャップは引き算するだけだ。数字で表現していればギャップは瞬時に表現できる。問題の特定もハッキリする。

【ギャップ=問題】

・アポイント → 4件足りない

・期限 → 4日間ズレる

ギャップが明確になれば、対策案も出しやすくなる。例を以下に記そう。

【ギャップを埋める対策=課題】

・リスト数を60件から120件にアップ(K主任と連携する)

・電話の件数を1日10件から20件にアップ

・3月の展示会出席者へのメールを新たに50件送る

課題とは、問題を解決するためにとり得る現実的なテーマである。この課題までを事前に共有することで、以下のように

「リストの数を増やすのではなく、アポイントとれなかった相手にもう一度連絡をとってみたらどうか」

「展示会の出席者にメールを送るなら、私が作ったテンプレートがあるので活用してほしい」

会議中に他メンバーから有益な意見、フィードバックを得られるだろう。

■「情報共有」2つのコツ

最後に、「情報共有」するときのコツを2つお伝えしよう。

【コツ】
(1)資料などの形式は揃える
(2)できる限り客観的なデータを使う

認知度、理解度を妨げるのはノイズだ。資料は必ずシンプルにすること、形式を揃えることを心掛けよう。メンバーが正しく認知し、スムーズに理解するためだ。画面スクロールしないと、全体像がわからないような資料を作るのもやめよう。

共有する情報をデータにすれば、書くほうも、読むほうも、ストレスが少なくなる。「言語力」も「読解力」も必要がなくなるからだ。

たかが情報共有、されど情報共有だ。

マネジメントの目的は「情報管理」ではなく「目標管理」なのだから、正しい情報共有のやり方を身につけよう。

<参考記事>

【大作】頭の回転が遅い人・速い人の違い 「仮説思考」を身につける6つの基本手順

経営コラムニスト

企業の現場に入り、目標を「絶対達成」させるコンサルタント。最低でも目標を達成させる「予材管理」の理論を体系的に整理し、仕組みを構築した考案者として知られる。12年間で1000回以上の関連セミナーや講演、書籍やコラムを通じ「予材管理」の普及に力を注いできた。NTTドコモ、ソフトバンク、サントリーなどの大企業から中小企業にいたるまで、200社以上を支援した実績を持つ。最大のメディアは「メルマガ草創花伝」。4万人超の企業経営者、管理者が購読する。「絶対達成マインドのつくり方」「絶対達成バイブル」など「絶対達成」シリーズの著者であり、著書の多くは、中国、韓国、台湾で翻訳版が発売されている。

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