【Yahoo!ニュース 個人】12月の月間MVAとMVCが決定
■Yahoo!ニュース 個人、12月の「月間MVA(Most Valuable Article)」と「月間MVC(Most Valuable Comment)」が決定しました
社会の課題を伝えている・議論を喚起している・読者の心に響く……などの観点で選出している「月間MVA」。記事のアクセス数ではなく、目指す世界観「発見と言論が社会の課題を解決する」「文化の発展に寄与する」を体現している記事を、編集部を中心とした運営スタッフがアナログで選出しています。あわせて、すぐれたオーサーコメント「月間MVC」も選出しました。厳選5本の記事と1本のオーサーコメントを、筆者の受賞コメントとあわせてご紹介します。
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12月のMVA
■年末年始「救急車を呼ぶべき…?」迷わないために 子どもの救急受診、目安や対処法(坂本昌彦)
筆者による受賞コメント:MVA受賞のお知らせを嬉しく思います。地域の基幹病院で働く医師として医療崩壊と背中合わせの日々です。救急医療も逼迫する中、保護者のホームケアの力を上げることが、不要不急の受診を減らし安心感にも繋がると信じています。今回の記事内容は派手ではないかもしれませんが、小児科医としてなすべき仕事だと信じて執筆しました。思いを受け止めていただき感謝いたします。(坂本昌彦)
選出理由:平時でも判断に迷う「子どもの救急受診の目安や対処法」について、コロナ禍での状況を踏まえて分かりやすくまとめてくださいました。医療体制が逼迫する中、家庭内で救急時対応の基本を見直すことの大切さが分かります。年末年始以外の時期でも、お子さんのいるご家庭にはぜひ読んでいただきたい1本です。
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■風評にも揺るがず、福島のピッチに立つ ドイツから来た20歳のストライカー、「僕は自分の目で判断する」(杉山孝)
筆者による受賞コメント:世界は一変しました。未体験の恐怖にさらされた世間では、フェイクニュースや誤報とも呼べる情報が氾濫し、(少なくとも私には)理解不能な差別が生まれ、風評被害が広がりました。それが大震災後の日本の様子です。10年が経ち、同じことが繰り返されています。今回のインタビューで、国外から来た若きアスリートの言葉は大変示唆に富み、救われる思いがするものでもありました。MVA選出理由の「社会の課題を解決する」という趣旨に、どういうものがそぐうのだろうといつも考えていますが、今回の記事が普段はスポーツに関心のない方々も含めて、何かしらの一助になれば幸いです。(杉山孝)
選出理由:サッカーJ3の福島ユナイテッドで活躍するエメル・トカチ選手を紹介した記事です。筆者はドイツ人の選手が日本行きを決める背景を丁寧にひも解きながら、東日本大震災で甚大な被害を受けた福島のクラブに所属する葛藤を描写しました。また、トカチ選手が語った「自分の目で見る」という言葉は、インターネットで必要な情報が手に入る時代に改めて考えさせる内容です。
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■なぜオリラジは独立した? 芸能事務所のビジネスを崩壊させかねないYouTubeと“フワちゃん”(谷田彰吾)
筆者による受賞コメント:記事を投稿して初めての月にこんな賞をいただけて光栄です。放送作家として、曲がりなりにもエンタメの「中の人」である自分がこんな記事を書くのはどうなのかと迷いましたが、「中の人」の声だからこそ意味のあるものになったのかもしれません。これからも現場の声と客観性のバランスを大切に、メディア変革のど真ん中にいる当事者の声を届けられたらと思います。(谷田彰吾)
選出理由:テレビとYouTubeの力関係の変化に伴って、芸能事務所、そしてタレントのあり方も問われている芸能界。それを象徴するように芸能人の「独立元年」となった2020年、その最後を締めくくったオリエンタルラジオの吉本興業からの独立について、そこにある背景を深く解説した記事をタイムリーに投稿してくれました。
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■コロナ禍の中、来日してくれた白い馬の陣営に、今回のジャパンCについて伺った(平松さとし)
筆者による受賞コメント:このたびはMVAに選出いただき、まことにありがとうございます。今回の記事は2020年のジャパンカップに唯一来日した外国馬の陣営に話を伺って構成したものでした。コロナ禍による渡航制限が厳しい中、1頭でも参加してくれた事でジャパンカップは何とかその意義を維持出来ました。同時にレースそのものの今後や、携わった陣営の馬に対する愛情、日本への感謝の意などをお伝えしたく記させていただきました。新型コロナウイルス騒動による規制が厳しく取材もままならぬ現状ですが、少しでも現場の生の声を今後もお届け出来るよう頑張ります。(平松さとし)
選出理由:アーモンドアイが有終の美を飾ったジャパンカップ。コロナ禍で外国からの来日が難しい中、筆者は唯一参戦したフランスの7歳馬に着目。調教師やスタッフに話を聞き、参戦理由やレース後の感想などを細かく報じました。名牝の勝利にとかく注目が集まる中、1頭の外国馬にもスポットをあて、ジャパンカップの意義まで考えさせられる記事です。
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■全米女子オープン最終日、渋野日向子の敗因は、プレー以前に、すでにあった(舩越園子)
筆者による受賞コメント:渋野日向子選手の全米女子オープンでの戦いぶりは、個人的には「寒い中、よく頑張った」と言ってあげたかったのですが、彼女には大きなポテンシャルがあると感じられたからこそ、あえて苦言を程する記事を書きました。私はアメリカに滞在して現地で取材を続けた25年超の間、選手の良い点を絶賛する一方で、選手の失敗や不足点、改善すべき点をジャーナリストの立場から示し、自身の意見や提言を勇気を持って記事にするアメリカのスポーツジャーナリズムを学びました。今回の記事を渋野選手やサポートスタッフに対する批判だと受け取った人々もいたと思います。しかし私は、彼女に足りなかったことをあえて示すことで、それがエールになると信じて書きました。それが渋野選手の優勝を願っていた人々に伝わり、共感を得たからこそ、あの記事が猛スピードで拡散され、大勢に読んでいただけたのだと思っています。賛否両論が巻き起こったことは、問題提起ができた証であり、ジャーナリスト冥利に尽きます。これからも自分なりのアングルからものごとを眺め、自身の意見を示す姿勢を維持したいと思っています。(舩越園子)
選出理由:2020年の海外メジャー大会「全米女子オープン」で優勝争いを繰り広げた渋野日向子。筆者は単独首位で迎えた最終日に彼女が優勝を逃した理由を独自の視点から分析しました。敗因は渋野選手の防寒対策だったという指摘は、プレーを見なかった読者も関心を寄せたことでしょう。アメリカで長年取材してきたからこそ分かる鋭い着眼点は筆者ならではの内容です。
12月のMVC
■『無形文化遺産に「工匠の技」決定 伝統建築守る17技術、ユネスコ』の記事へのオーサーコメント(関口威人)
筆者による受賞コメント:ユネスコ無形文化遺産に決定された「伝統建築工匠の技」と「耐震偽装事件」との関係は、2年ほど前に建築系メディアでの取材の際に関係者から直接聞いていました。しかし昨年11月、ユネスコの評価機関が「登録勧告」したときは、そうした話が主要メディアの記事には1行も見当たりませんでした。ただ、私自身もそのときはヤフトピ記事にコメントするタイミングを逃してしまいました。それから約1カ月。ユネスコが「正式決定」したとの記事はタイミングよくチェックできたため、今度こそはと書き込んだのが今回のコメントです。地味な内容ではありますが、関係者の長年の思いと本質的な課題の一端を伝えられ、またこうして改めて光を当てていただいたことを、心より嬉しく思います。(関口威人)
選出理由:日本の伝統建築を守る「匠の技」を、ユネスコが無形文化遺産にすることを決めた記事へのコメントです。文化遺産に向けては、15年前の耐震偽装事件が発端になっていること、職人の技を評価してほしいという思いがあったことなどを紹介。さらに、文化遺産の登録後の課題にも言及しており、独自の深い内容になっています。