NHKの意図的なニュース報道に騙されぬように
フーテン老人世直し録(504)
卯月某日
小池百合子東京都知事が緊急事態措置を打ち出した直後の土日、滅多に外出することのないフーテンだが、どうしても世間の様子を知りたくなり、夕方と夜の2回に渡り家の近所の商店街を歩いた。
都心がガラガラになることは予想できたし、都心の様子はテレビがいやでも伝えてくれる。それよりも人との接触を8割減らせという訳の分からないお達しを、どれほど日本人は言うことを聞くのかと思い、近所を歩いてみることにした。
夕方の商店街はいつもと変わらず大勢の人が出歩いていた。公園もジョギングする人が普段より多く見られた。それを見てフーテンはほっとした。これが無人の商店街や無人の公園を見せられたら、そちらの方が新型コロナウイルスよりよほど恐ろしい。
商店の中には5月6日までの休業、あるいは1週間だけの休業の張り紙を貼り、シャッターを閉めている店もあり、通常通りの営業を行っている店と対応は様々だった。緊急事態と言っても都市封鎖ではないのだから対応が様々なのは当然だ。
新型コロナウイルスで都市封鎖をせずに通常通りの生活を維持しているスウェーデンでは、「我々は大人だから」と言って一律の強制はしない。「大人だから」と言うところが良い。一律のしつけが必要なのは子供であり、大人は個々の判断力が尊重される。
月刊『文芸春秋』で塩野七生氏が「人(国)みな本性を現す」というタイトルで新型コロナウイルスについての考察を行っていたが、商店街を見ているだけでも店主の性格の違いが分かり、それぞれの店の本性を掴めた気がした。
かつてフーテンは「バカでなければ記者にはなれない」というブログを書いた。新聞やテレビの記者は「正論」を主張しているような格好をするが、所詮は数ある「権力」のお先棒を担いでいるだけで、ほとんどが視野狭窄である。
自分の目の前にある情報に飛びつき結果として国民を騙すことが多い。それでも自分は「正論」を主張していると思い込むのだから、フーテンもかつてはその一人だったが、バカでなければ記者にはなれない。
権力というのは政府与党のことだけを言うのではない。野党という権力もある。警察や検察という権力もあれば、経済界、医師会など様々なところに権力はある。それら権力が自分に都合の良いように国民を誘導するお先棒担ぎをやるのが記者の仕事だ。
従って新聞やテレビのニュースを受ける側は、まずはニュースを疑ってかからなければならない。すべてが嘘ではないが、鵜呑みにすれば騙される。ニュースには権力の国民誘導の思惑が必ず隠されているのでそれを読み解く必要がある。どうすればよいか。素朴な疑問を大事にすることである。
このところのNHKニュースはまず感染者数の増大をトップで取り上げ、増えかたが凄いと国民に思わせる。感染者数が増えるのは検査を増やせば増えるのが当たり前。では検査数が増えているのかどうか。それをNHKは報道しない。ここに国民誘導の思惑が隠されている。
次にNHKは米国、特にニューヨークの悲惨な状況を伝える。感染者数でも死者数でも米国は世界一だから、悲惨な映像はいくらでもある。それを視聴者に見せつけて恐怖を与え、今のニューヨークは明日の東京になると医者に言わせる。本当かとフーテンは思う。
10年以上ワシントンに事務所を持っていたフーテンからすれば、米国と日本は医療体制から食生活まで何から何まで異なる国だ。比較できる対象なのかが疑問である。ここにも国民誘導の思惑が隠されている。なぜ日本のテレビは近隣のアジア諸国ではなく米国を見せつけるのか。
まず感染検査数(PCR検査)から考える。英国のオックスフォード大学の研究グループによれば、4月8日の時点で米国の219万を筆頭に、ドイツ132万、イタリア81万、韓国47万と続くが、日本は5万程度で検査数が極めて少ない。だから感染者数も少ないが、にもかかわらず権力は劇的な増大を見せつけて国民の恐怖を煽るように報道させる。
それは簡単だ。前から書いてきたように「東京五輪」が中止にならないように「延期」が決まるまでは検査を抑えてきた。日本では陽性が出れば入院させなければならないから、病床が足りなくなるとか医療崩壊が起こるという理由で抑えてきた。
しかし新型コロナウイルスは8割以上が軽症で、病院でなくとも一時的に隔離すれば良いだけだから、医療崩壊の恐れをことさら言う必要はない。今頃になって軽症者は病院からホテルに移されているが、それを初めからやれば良かった。だが今になってなぜホテルなのかという別の問題もある。
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